ソウル市は、外国人にも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う災害緊急生活費を支給することにした。地方自治体の災害緊急支援金政策から外国人住民が排除されぬよう対策を改善せよという国家人権委員会の勧告を受け入れたことによるものだ。
ソウル市は30日、外国人に対する災害緊急生活費支給の予算が含まれる第3次補正予算案が、同日のソウル市議会本会議で可決されたと発表した。市は、ソウルに居住する外国人に支給する災害緊急生活費の規模を330億ウォン(約29億5000万円)程度と推算している。ソウル市福祉政策課の関係者は「外国人の所得を把握する方策や、未登録移住民などにも支給するかを含めた対象の範囲など、いろいろと詳細に検討している」と説明した。
すでにソウル市は、COVID-19感染の拡散で被害を受けた脆弱階層を支援するため、韓国人の場合は中位所得100%以下の世帯に災害緊急生活費30~50万ウォン(約2万6800~4万4700円)を支給している。一方、外国人の場合、大韓民国国籍を持つ人と結婚したり、その配偶者と離婚したり死別したりして大韓民国国籍を持つ直系尊卑属の世話をしている人、難民認定者などに支給を制限した。これに対し、今年4月、外国国籍の同胞や結婚移住女性などの移住外国人と移住人権団体は人権委に対し「地方自治体が災害緊急支援金政策から地域内に居住する外国人住民を排除したことは差別行為であり人権侵害だ」との陳情を行った。
人権委は先月11日、「ソウル市と京畿道が住民として登録されている外国人住民に対し、災害緊急支援金政策で異なる待遇をしているのは合理的な理由のない差別」とし、平等権を明示した憲法と国際人権規範に違反すると指摘している。