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文大統領「戦時財政編成の覚悟」…国の財政を最大限供給

登録:2020-05-26 01:57 修正:2020-05-26 07:03
文大統領、財政戦略会議主宰 
「経済の戦時状況…財政力総動員」 
1、2次超える超大型の第3次補正予算を注文 
国の債務の懸念には「危機克服が先」 
出席者「増税は難しいということで意見集約」
文在寅大統領が25日、大統領府で開かれた2020国家財政戦略会議で発言している=大統領府提供//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)大統領は25日、積極的な財政拡大の不可避性を重ねて力説した。政府が持つ財政力を最大限に投入しなければ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)発の経済危機に先制的に対処できないということだ。政府は来年まで財政拡大基調を維持することにした。

 文大統領はこの日、大統領府で2020年国家財政戦略会議を主宰し、「まさに経済の戦時状況だ。火事を消す時も、より早く、初期に十分な水を注がなければ早く消火できず、より大きな被害は防げない。戦時財政を編成するという覚悟で、政府の財政力を総動員しなければならない」と述べた。国家財政戦略会議は、大統領と首相を含む閣僚全員が出席する財政分野の最高位級の意思決定会議だ。この日の会議は、2004年の初会議から数えて17回目となる。

 この日の文大統領による財政拡大の強調には、COVID-19発の経済危機の深刻さは予想を上回るという認識が込められている。実際に、先月の就業者数は昨年同期に比べ47万人あまりも減少し、1999年の通貨危機以来最大の減少幅を記録している。経済成長率もマイナスを記録することが確実視される状況に加え、米中対立も激化ていることから、輸出など外部要因の不確実性も最高潮に達している。文大統領は国家財政の役割を、経済ショックを防ぐ「防波堤」や「ワクチン」、景気回復を早める「呼び水」に例えた。会議後、大統領府のカン・ミンソク報道官は「先制的かつ積極的な財政拡大によって経済の更なる落ち込みを防止するとともに、成長を牽引して好循環の基盤を構築することとした」とし「来年まで財政の積極的な役割を堅持することにした」と発表した。

 第3次補正予算を果敢かつスピード感を持って編成してほしいという注文も出された。文大統領は「雇用や輸出など実体経済の萎縮が本格化しており、より果敢な財政の役割が求められる。第1次、第2次補正予算を上回る第3次補正予算案を速やかに準備してほしい」と述べた。第1次補正予算(11兆7000億ウォン、約1兆100億円)と第2次補正予算(12兆2000億ウォン、約1兆600億円)の規模を上回る「超大型」の補正予算の編成を注文したもの。補正予算案の処理も来月中に終えてほしいと国会に要請した。必要な金を必要な時に民生や経済の現場に供給するためだ。過去に第3次補正予算が編成されたのは1972年が最後だ。

 財政健全性基調の強い企画財政部などの経済関連省庁に対しては「国家財政に対する認識の転換」を求めた。パンデミック(感染症の世界的大流行)がもたらした未曾有の経済危機の前では「十分な財政を投入して早急に危機を克服するとともに、経済成長率を高めることによって財政健全性を回復するという、より息の長い財政投資の好循環を図らねばならない」というのだ。「果敢な財政投入→内需の刺激など景気活性化→国内総生産増加→財政健全性の回復」という「政策的な逆転の発想」を提示したのだ。共に民主党のイ・ヘチャン代表は「今が構造的問題を解決するチャンスとなり得る」とし、社会協約を強調した。

 文大統領は、韓国の国家財政は他国に比べ「非常に健全な方だ」とも述べた。実際、第2次補正予算も反映した韓国の国家債務比率は41%で、経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均値である110%より低い。ただ、必要がないか、緊急でない歳出は最大限減らすことで財政負担を減らす、という考えも明確に示した。「政府がまず倹約する」ということだ。増税は現実的に難しいということで意見がまとまった。出席者たちは「増税は社会的合意が必要だが、現実的に難しいとの結論に至った」と述べた。

ソン・ヨンチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/946449.html韓国語原文入力:2020-05-25 20:56
訳D.K

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