働き口減って下位20％は所得据え置き
家計支出はマイナス5％、史上最大幅の急減
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡散にともなう景気不振、雇用減少で、低所得層の所得が据え置かれ、高所得層の所得が相対的に増えたために、所得格差がさらに広がった。感染の心配で外部活動が萎縮し、家計消費支出も史上最大幅で急減した。
21日、統計庁が発表した「2020年第1四半期家計動向調査結果」によれば、全国の世帯の月平均所得は535万8千ウォン(約46.9万円)で、昨年同期より3.7％増えた。勤労所得と事業所得はそれぞれ1.8％、2.2％増加した。年金や児童手当てなど政府が支給する公的移転所得は13.4％増えた。非経常所得が79.8％も急増したのは、COVID-19による退職手当ての増加などが原因と把握された。
階層別に見れば、所得下位20％を意味する1分位は月平均所得が149万8千ウォン(約13.1万円)で昨年と変わらなかった。勤労所得(51万3千ウォン=約4.5万円)は3.3％減少した。だが、政府から受けとる基礎年金など公的移転所得(51万1千ウォン)が昨年より10.3％増えたおかげで全体の所得減少は免れた。
1分位の上の階層である2分位所得(317万ウォン=約27.7万円)は昨年より0.7％の増加にとどまった。中間階層の3分位所得(462万ウォン=約40.4万円)も1.5％増えた。所得が高い階層であるほど増加幅が大きくなった。4分位所得(634万2千ウォン=約56.3万円)は3.7％増え、所得上位20％に属する5分位の所得(1115万8千ウォン=約97万円)は6.7％増加した。
家計所得に大きな比重を占める勤労所得は、1分位(-3.3％)、2分位(-2.5％)、3分位(-4.2％)でそろって減少した。COVID-19による雇用ショックが臨時・日雇いや特殊形態労働従事者など雇用不安定階層に集中した影響と解釈される。
5分位は、大規模事業場就業者が増加した影響で、勤労所得(812万7千ウォン=約71.1万円)が2.6％増えた。高額国民年金受給者の増加などで公的移転所得(51万8千ウォン=約4.5万円)も36.2％も上がった。COVID-19拡散の影響で、一部の産業で希望退職・名誉退職などが増え、退職手当てなど一時的な非経常所得(56万ウォン)も131.5％急増した。
高所得層(5分位)の所得が低所得層(1分位)所得の何倍かを示す「均等化可処分所得5分位倍率」は、昨年の5.18倍から今年は5.41倍になり、格差はさらに広がった。カン・シンウク統計庁長はこの日、ブリーフィングで「勤労所得と事業所得を合わせた雇用部門の所得増加率が、低所得世帯に低く現れたことが全体的な所得分配悪化に作用した」と説明した。
全国の世帯の第1四半期の月平均家計支出は394万5千ウォン(約34.5万円)で、前年同期比4.9％減少した。家計支出で最も大きい部分を占める消費支出(287万8千ウォン=約25.2万円)が6％減った。家計・消費支出ともに、2003年の統計作成以来最大の減少幅となる。世界金融危機があった2009年第1四半期の家計・消費支出の減少幅は、それぞれ1.3％、3.6％だった。
家計所得から税金、社会保険料などを控除し、実際に使える金額を示す可処分所得は月平均429万1千ウォン(約37.5万円)で、1年前より5.1％増加した。可処分所得から消費支出を引いた“黒字額”を見ると、1分位は25万1千ウォンの赤字、2分位は53万4千ウォンの黒字、3分位は103万8千ウォンの黒字、4分位は166万1千ウォンの黒字、5分位は408万2千ウォンの黒字と集計された。
ホン・ナムギ副首相兼企画財政部長官はこの日午前、政府ソウル庁舎で関係長官会議を開き、「4月に入っても臨時・日雇いを中心に就業者減少傾向が拡大するなど、COVID-19による分配悪化が第2四半期以後にも持続するおそれがある」として「雇用市場の安定および低所得層保護政策に万全を期する」と話した。
訳J.S
