「あなたの日常を見るのは11年ぶりですね」
4日朝、眠れずに出勤の途についたハン・サンギュン前民主労総委員長に、妻から一通のショートメッセージが届いた。妻は11年ぶりに平凡に出勤する夫の後ろ姿を写真に撮って送ってきた。2009年に整理解雇されてからハン前委員長が再び平凡に出勤するまで、丸10年と11カ月がかかった。双龍車の被解雇労働者のうち、最後の35人の復職者が出勤した同日未明5時30分ごろ、京畿道平沢市(ピョンテクシ)の双龍自動車平沢工場を訪れたハン前委員長は、いつにも増して明るい様子だった。
一睡もせず工場の正門に到着したキム・ドゥクチュン双龍車支部長も興奮した表情だった。約11年ぶりに「社員」として双龍車工場に向かう出勤の途では、妻のペ・ウンギョンさんが書いた手紙も携えていた。手紙には、復職する人々に対する祝いの言葉と、彼らの困難な闘いに連帯してくれた人々に対する感謝の気持ちが書かれていた。「手をつないで(損害賠償仮差し押さえを捕らえよう!手に手をとって)」のペ・チュンファン代表が代読した手紙で、妻のペさんはこの11年間を振り返りながら次のように述べた。
「私は夫の復職という夢が現実では叶わないだろうと考えながら過ごしてきました。しかし、夫は常に必ず復職できるという気持ちで、最初から今まで意志を曲げず、誰が何と言おうと復職する道に全力を尽くしてきました。今になって考えてみると、最後まで共に闘ってくださった方々のおかげです。皆様に感謝し、これからは解雇のない社会になることを願っております」。この日、復職した35人は出勤に先立って、双龍車工場の正門前で記者会見を行った。当初、47人が出勤することになっていたが、12人は個人的な事情で今年末まで休職を延長した。この日復職したチョ・ムンギョン組合員は「これまで多くの国民や団体が連帯して支援してくださったからこそ、ついに今日の初出勤を迎えることができた。力を合わせてくださった皆様に感謝する」と感想を述べた。キム・ドゥクチュン支部長は「この11年間、双龍車解雇労働者が挫折する度に手を取り合ってくれた多くの国民に感謝する。うまく適応して品質の良い車を作ってみせる」と述べた。
最後の復職者たちは、2018年9月の大統領直属の経済社会労働委員会の仲裁で妥結した労使合意に則り、年明けから出勤することになっていたが、会社は昨年12月、経営悪化などを理由に無期限の有給休職を通知してきた。これに対し、民主労総金属労組双龍車支部などは1月、京畿地方労働委員会に不当休職救済を申請するなど反発した。結局、今年2月に双龍自動車労組、民主労総金属労組、双龍自動車、経済社会労働委員会は、休職処理された復職者を5月に部署配置することで合意した。
復職者たちは今後、非正規労働者などとも差別なく連帯するという立場を明らかにした。ハン・サンギュン前委員長は「(今日の出勤は)『共に生きよう』と叫んだ双龍車労働者が、今後も共に生きるための多くの連帯の先頭に立つ第一歩」と強調した。そして「工場の中にいる非正規労働者の生活を第一に考える。彼らと共に差別のない工場を作る」と誓った。
ただし、100億ウォン(約8億7000万円)台の損害賠償仮差し押さえ問題が残っているうえ、会社の経営状況もよくないため、復職者の表情は単に明るいだけではなかった。キム・ドゥクチュン支部長は「まだ100億ウォン台に達する損害賠償仮差し押さえ問題が課題として残っており、考えるたびに気が遠くなるが、労使と政府が適切な役割を果たすと信じ、われわれも最善を尽くしたい」と述べた。