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「セウォル号救助責任」、海警指揮部の令状請求書では「海警庁長、的外れな指示」

登録:2020-02-24 10:36 修正:2020-02-27 07:47
海洋警察指揮部、セウォル号と交信を維持 
救助計画樹立の義務を履行せず 
 
退船誘導の指揮もせず 
「有罪」になったキム・ギョンイル艇長の判決も引用
検察によって在宅起訴されたキム・ソクキュン元海洋警察庁長が2014年7月、国会セウォル号国政調査特別委員会に出席し、機関報告の前に宣誓書を読み上げている=イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

 「(セウォル号惨事当日の2014年4月16日午前)9時53分、キム・ソクキュン元海洋警察庁長、キム・スヒョン元西海(ソヘ)海洋警察庁長は、海洋警察の無線通信(周波数共用通信・TRS)で「旅客船に上がって乗客たちが動揺しないよう落ち着かせよ」という的外れな指示を下した」

 先月6日、セウォル号惨事特別捜査団(特捜団)がキム・ソクキュン元庁長など海洋警察指揮部6人に対し、業務上過失致死傷の疑いなどで拘束令状を請求して明らかにした「犯罪事実」の一部だ。23日、ハンギョレが入手したキム元庁長などの拘束令状請求の付属書類「犯罪事実要旨」を見ると、特捜団が海洋警察指揮部のどのような行為に法的責任を問うべきだと判断したのかが現れている。

 特捜団は18日、業務上過失致死傷の疑いでキム元庁長など指揮部10人を在宅起訴したが、彼らの具体的な犯罪容疑が書かれた起訴状は、チュ・ミエ法務部長官の「起訴状非公開措置」によってまだ公開されていなかった。

■海洋警察、セウォル号事故の初期交信指揮がずさん

 特捜団は、海洋警察指揮部が「水難救護法」や「周辺海域での大型海上事故対応マニュアル」、「海洋捜索救助マニュアル」などに規定された救助責任を履行しなかったと見ている。その結果、乗客303人(死亡者304人のうち事故直後に死亡した1名を除く)が死亡、142人が負傷する惨事(業務上過失致死傷)につながったということだ。

 特捜団はまず、セウォル号惨事の当日、海洋警察状況室・指揮部がセウォル号と交信を維持して救助計画を立てる義務を果たさなかったと判断した。木浦(モッポ)海洋警察や西海海洋警察、海洋警察本庁など、各海洋警察の救助本部など全てで同じ問題が指摘された。木浦海洋警察司令室は、2014年4月16日午前8時54分からセウォル号の乗客、乗組員などから多数の122番通報(海洋警察への通報)を受けた。これを通じて海洋警察は「船体が傾き乗客が墜落し、乗客は船内で退船準備をきちんとできていない」という状況を把握した。しかし、木浦海洋警察はこうした状況を把握したにもかかわらず、「セウォル号と交信を試みず、受け付けた通報内容を他の救助勢力に伝えなかった」と特捜団は判断した。

検察の「セウォル号惨事特別捜査団」のイム・グァンヒョク団長=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 特捜団は、西海海洋警察が乗客の「非常脱出」の決定を船長の判断に任せてしまった点も「救助義務」を履行しなかったものと見なした。当日午前9時23分、珍島(チンド)海上交通管制システム(珍島VTS)はセウォル号と交信した後、「セウォル号が50度ほど左舷に傾き、船長が乗客たちを非常脱出させるかを海洋警察に尋ねている」と西海海洋警察状況室に伝えた。しかし、これに対し西海海洋警察は「退船の可否は現地の事情に詳しい船長が判断する事項」(ユ・ヨンシク当時状況担当官)だと一蹴し、議論を呼んだ。海洋警察本庁も、セウォル号の転覆が避けられない状況であることを知らされたにもかかわらず、直接セウォル号と交信して乗客の状態を把握しようとする試みがなかったと特捜団は判断した。

 令状請求書には、海洋警察指揮部及び事故当時出動した木浦海洋警察123艇いずれも、午前8時54分から30分ほどの間、セウォル号の状態や内部の乗客たちの状況、退船準備ができているかなどの把握、救助計画を立てる義務を果たさなかったとされている。

■退船誘導「ずさんな指揮」責任も記載

 海洋警察指揮部が乗客の退船誘導をきちんと指揮しなかった点も問題点として指摘された。セウォル号の船長と乗組員による退船誘導が行われない中、現場に出動した123艇はセウォル号の乗客が退船できるように救助する義務があった。特捜団は、惨事当日セウォル号の4階左デッキまで完全に浸水した時点になっても、海洋警察指揮部は乗客の退船誘導指揮をしなかったと指摘した。また、キム・ソクキュン元海洋警察庁長とキム・スヒョン元西海海警庁長は「まもなく沈没する」など緊迫した報告を受けても「乗客を落ち着かせろ」などという状況と合わない指示を下したと判断した。また、キム・ムンホン元木浦海洋警察署長は午前9時59分になってようやく123艇長に退船誘導を指示したと見た。

 特捜団は、この指示が「事実上、履行の可能性のない」ものだったと判断した。すでに救助の可能性が低くなった時点だったからだ。キム元署長は他にも退船誘導の時点を実際より54分近く繰り上げ、虚偽で記録した「木浦署長行動事項及び指示事項」文書の作成を指示した疑いも受けている。

 特捜団は、海洋警察指揮部が惨事当日出動した航空機1機、ヘリコプター3機などに退船処置を指揮しなかった責任も適用した。航空救助士らがセウォル号のデッキなどに移動し、メガホンと肉声で船内に待機中の乗客たちに外に出るように退船誘導指揮をするべきだったが、このような処置がなかったということだ。特捜団は海洋警察救助本部について「現場の状況に合わない指示をしたり、現場の救助勢力に対する指揮・統制を十分に行わなかった」と判断した。

「4.16セウォル号惨事の真相究明および安全社会建設のための被害者家族協議会」のメンバーたちが昨年11月5日、国会正論館で、セウォル号惨事の全面再捜査と責任者の処罰を促す記者会見を行っている=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

■123艇長の判決を参考にした特捜団…「隠蔽の試み」疑惑再び

 特捜団は、「退船処置」と関連した海洋警察の義務と当時の状況について、キム・ギョンイル元123艇長に対する判決を参考にした。キム元艇長の「救助放棄」に関して、2015年に最高裁判所(大法廷)は業務上過失致死傷の容疑で懲役3年の刑を確定させた。一審は懲役4年、控訴審は懲役3年をキム元艇長に宣告したが、最高裁は控訴審の判決を正当と見なした。特捜団は令状請求書にキム元艇長の控訴審判決を引用し、セウォル号に待機していた乗客の状況をこう説明した。

 「船内に待機していた一部の乗客が退船放送などを直接聞くことができ、(中略)乗客が携帯電話や肉声で船内にいた他の乗客に退船措置を伝えることができ、(中略)出入り口などを通じて甲板などに出たり海に飛び込んだりできる状況だった」

 当時、控訴審はセウォル号惨事の時の「退船放送」について「海洋警察として履行すべき最も基本的で重要な措置」だと判断した。特捜団はこれを通じてセウォル号惨事当時の海洋警察の義務を規定した。退船放送をしなかったのは海洋警察の基本的義務を果たさなかったという趣旨だ。特捜団が海洋警察指揮部について把握した内容は、2014年に検・警察合同捜査本部が明らかにした内容と大きく変わらない。また、これは監査院がセウォル号に関して海洋警察を監査した結果にもかなり含まれていた内容だ。ただし特捜団はかつての検・警察合同捜査本部と異なり、法的処罰の範囲を現場に出動したキム・ギョンイル元艇長だけでなく、キム・ソクキュン元庁長ら海洋警察指揮部に拡大した。当時、検察が海洋警察司令部ではないキム元艇長1人だけに法的責任を問うた過程など、「事件を縮小する試み」に関する捜査が必要だという指摘が出ている。すでにハンギョレの報道を通じて、当時の海洋警察の捜査に関して隠ぺい疑惑が提起されたこともある。

パク・ジュニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/929409.html韓国語原文入力:2020-02-23 19:47
訳C.M

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