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選別診療所の来訪者増加で…患者の選別に頭を抱える医療陣

登録:2020-02-08 08:45 修正:2020-02-08 09:56
新型コロナ診断検査拡大の初日 
 
日本や東南アジアを旅行した人たちが診療所を訪れ 
潜伏期を過ぎた人や風邪の患者まで 
現場での2次感染と過剰診療の恐れも
今月7日午前、新型コロナウイルス感染症の選別診療所が設けられたソウル西大軍区延喜洞西大門区保健所で、市民たちが医療陣の案内を受けている=パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 中国ではない新型コロナウイルス流行国への渡航歴があり、感染が疑われる患者に対する感染診断検査が7日から拡大施行された。施行初日の同日、検査の第一関門の選別診療所を訪れる人は大幅に増えておらず、比較的落ち着いた雰囲気だったが、対象者が増え、関連の問い合わせも多くなったことを受け、現場の医療陣は負担を打ち明けた。

 韓国保健当局は、同日から新型コロナウイルスへの感染の有無を検査できる民間の医療機関を46カ所追加した。検査時間も6時間ほどに減った。感染の疑いのある患者が検査を受けるためには、まず疾病管理本部のコールセンター(1339)と電話相談の後、管轄の保健所の選別診療所を訪問しなければならない。そこで医師の判断を経て、検体の採取などが行われる。検査の依頼は西大門区(ソデムング)保健所など全国124カ所でできる。

 同日昼、ソウル西大門区保健所の選別診療所を訪れたKさん(24)は「日本に家族旅行に行って4日に帰国したが、昨日の夜から熱が37.8度まで上がったため、検査を受けに来た」と話した。同地域は、武漢から入国した50代の中国人女性(23人目の患者)が滞在していたため、住民の不安が高まっている状況だ。中国以外の国を訪れた市民の訪問も相次いだ。京畿道高陽市一山(イルサン)西区保健所は「選別診療所を訪れた9人のうち4人(午後2時現在)がマレーシア(2人)やベトナム(1人)、タイ(1人)への渡航歴がある人」だと述べた。

 最長潜伏期間の14日がすでに過ぎた人たちも診療所を訪れている。京畿道金浦市(キンポシ)の保健所を訪れたNさん(53)は「先月10日、中国上海に出張に行って来たが、今月5日から発熱と咳の症状が現れ、不安に駆られて診療を受けに来た」と話した。診療所は同日、Nさんの検体を採取して検査を依頼した。風邪気味ではあるものの最近外国に行ったことのないHさん(27)は、相談後検査を受けることなく引き返した。

 選別診療所のある各区役所には問い合わせの電話が殺到している。19人目の患者(36・韓国人男性)が住んでいるソウル松坡区(ソンパグ)は「前日まで1日300通ほどだった問い合わせが、今日はさらに増えた。ほとんどが軽い症状を訴え、どの程度深刻であれば診療所で診療を受けることができるかに関するもの」だと伝えた。前日まで診療所を訪れた市民はたった4人だったという恩平区(ウンピョング)も「外国人との接触が多い免税店やホテルなどで働く人々が不安に駆られて問い合わせの電話をする場合が多い」と話した。

 選別診療所を運営する機関は、診療所内で発生しうる「2次感染」の恐れと優先順位の患者の決定などをめぐり、負担を感じている模様だ。松坡区庁の担当者は「陰圧施設を備えているものの、感染の疑いのある患者が出入りする場所であるため、感染の危険にさらされる恐れもある」とし、「これを考慮し、検査が必要な人だけ訪問するように案内している」と述べた。ある選別診療所の責任者は「感染流行国から入国した後に発熱などの症状が現れた人と、最近外国を訪問しておらず、感染者と接触したことがないのに、風邪の症状があるという理由で来た患者を、区別せず同じ診療空間に入れてもいいのか不安だ」と話した。また「外国への渡航歴はないものの、中国人の多い済州島を訪れた人が新型コロナウイルス感染症と似ている症状を示して診療所を訪れた場合も、判断が難しい」と述べた。

 同日行われた措置について、専門家らは院内感染遮断するのに役立つと評価しながらも、人が殺到した場合、むしろ感染が拡大し、重症度患者に対する優先処置に支障をきたす恐れがあると懸念を示した。高麗大学安岩病院のソン・ジャンウク感染内科教授は「選別診療で医師の裁量権を与えたのは肯定的だ」としながらも、「ただし、診療過程で感染患者を見逃すことを懸念し、過剰診療が発生する可能性もあり、劣悪な選別診療所で感染が起きる可能性も少なくない」と指摘した。高麗大学安岩病院のチェ・ウォンソク感染内科教授は「選別診療所に人が殺到すると、発見しなければならない患者を見逃したり、診断が遅れたりする可能性がある」とし、「医療資源がすべて新型コロナウイルスに集中されれば、他の診療が疎かになり、保健の側面では損害があり得る」と懸念を示した。このため、診断検査拡大以降に発生する患者数に応じて柔軟な政策が必要だという声もあがっている。

 一方、同日現在、韓国国内における新型コロナウイルス感染症の患者数は24人に増えた。疾病管理本部は感染者との接触者が1386人であり、このうち1083人を自宅隔離中だと明らかにした。

ソン・ダムン、パク・ヒョンジョン、パク・ギョンマン、オ・ヨンソ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/927441.html韓国語原文入力:2020-02-08 02:35
訳H.J

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