2日に文在寅(ムン・ジェイン)政府の3人目の法務部長官となったチュ・ミエ長官の今後の動きの中で、最も注目される部分は人事権の行使だ。彼女が人事権を使って検察組織の掌握に乗り出すものと見られる中、選挙介入疑惑など大統領府を捜査する捜査チームと、捜査チームを率いているいわゆる「ユン・ソクヨル師団」をいつ、どの程度交代させるのかに関心が集まっている。
長官候補の時には人事関連の言及を控えてきたチュ長官は、先月30日の人事聴聞会で「意見なら聞くが、人事は検察総長と協議して行うものではない」としたうえで、「検察に対する国民の信頼回復のため、組織の再編が必要だ」と述べるなど、積極的な人事権行使の可能性を示唆した。
法曹界では、検事長級の人事が早ければ来週、遅くとも再来週に行われるものと予想している。法務部が昨年12月中旬から司法研修院28~30期の検事を対象に人事検証同意書と関連資料の提出を要求するなど、人事作業に着手しており、人事権を持つ大統領府も最近、警察に検事約150人の世評の収集を指示するなど、検事長人事の準備を急いでいる。昨年7月の人事の際、27期の一部が検事長に昇進し、今回は27~29期が検事長への昇進対象で、30期は次長検事に昇進するものとみられる。法務部関係者は「平検事の赴任の日程が来月3日であり、検事長級人事は旧正月(1月25日)前に、遅くても再来週には行う必要がある」と話した。
今回の人事でもう一つ注目すべきなのは、人事の幅と対象だ。特に、「大統領府選挙介入疑惑」や「ユ・ジェス監察もみ消し疑惑」、「チョ・グク一家不正捜査」など、大統領府を捜査した検察の捜査チームと、これを指揮した幹部らが人事の対象になるかどうかが関心事だ。法曹界では、ペ・ソンボム・ソウル中央地検長やハン・ドンフン最高検察庁反腐敗強力部長、パク・チャンホ最高検察庁公共捜査部長など大統領府捜査の指揮ラインが、高等検察庁長への“左遷に近い栄転”か、地方検事長への水平移動になると見ている。現在、大田(テジョン)・大邱(テグ)・光州(クァンジュ)高検長と釜山(プサン)・水原(スウォン)高検次長、法務研修院企画部長など、検事長級以上六つのポストが空いており、彼らに異動の余地はある。
部長検事を含む一線の捜査チームまで人事対象になるかについては意見が分かれる。チュ長官が「組織の再編」を強調しただけに、捜査チームを含め大規模の人事を行うとの見通しと、実務捜査チームを交代させた場合、報復人事という逆風を受けかねないだけに、小幅にとどまるとの見通しもある。
法曹界では文在寅政府の検察人事が即興的だという批判の声もあがっている。これに先立ち、大統領府は昨年7月、期数や専門分野などに関わらず、特捜部中心の「ユン・ソクヨル師団」を最高検察庁の主要ポストなどに全面配置したが、彼らが自分たちを捜査すると、わずか半年でこれを覆そうとしているということだ。検察関係者は「政府は『選ばれた権力が検察を統制する』と言っているが、これはつまり政権に忠誠を示せという意味だ」と指摘した。大規模な人事が行われれば組織的反発もあり得るが、その場合でも反発は大きくないという見通しもある。ある部長級検事は「法務部が最高検察庁の主要ラインを変えても、現場にいる検事たちと最高検察庁が乖離しており、反発は大きくはないだろう」とし、「ユン総長の側近で最高検察庁を埋め尽くした過去の人事の結果が、今ブーメランとなって返ってきている」と話した。