キム・ヨンチョル統一部長官は2日、「金剛山(クムガンサン)観光を推進する過程で、臨時宿舎として使用されたコンテナが340個ある」とし、「(現代峨山などの)事業者も初歩的な形の整備の必要性は共感している」と述べた。キム長官は同日、ソウルプレスセンターで行われた「寛勲クラブ招請討論会」に出席し、「この施設は(2008年7月の)観光中止以降、放置されてきたのが事実」だとし、このように明らかにした。
キム長官が取り上げた「臨時宿舎のコンテナ340個」は、金剛山観光地区の温井里(オンジョンリ)九龍(クリョン)村と高城(コソン)港の金剛ビレッジにあるコンテナ宿舎を意味する。「再使用が不可能な温情里と高城港周辺の仮設施設物から整備する案を構想中」だとした統一部の方針(11月29日キム・ウンハン統一部副報道官のブリーフィング)を具体的に説明したわけだ。金剛山観光の南側施設問題をめぐっては、北側が要求する「全面撤去」と、南側の「一部老朽化した施設の整備(撤去)」提案が対立している。北側は最近の協議で、「(南側が)撤去計画・日程を決めて通知しなければ、我々が撤去する」という趣旨の圧力をかけてきたという。ただし、まだ金剛山観光地区で、実際の撤去の動きは見られないという。
キム長官は「北朝鮮は一貫して撤去の立場を固守している」とし、「北朝鮮が歩み寄りを見せないのは事実だ」と述べた。一方、韓国政府は「実務会談」(10月28日)と「共同点検団の訪朝」(11月5日)の提案を経て、「一部整備」の必要性を認め、部分的に方針を変えている。北側の一方的な撤去の強行を防ぎ、観光事業再開の糸口を見出すための微調整だ。「放置施設の整備を北朝鮮は撤去として理解してくれるだろう」というキム長官の発言は、これを念頭に置いたものだ。
一方、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が、朝米交渉が失敗した場合に進むと公言した「新たな道」と関連し、キム長官は「北朝鮮が最近、大きく分けて三つのヒントを与えている」と指摘した。対外関係では「チェ・ソンヒ外務省第1次官のロシア訪問など、中ロとの協力強化」、軍事的には「ミサイル発射で見るように抑止力の強化」、内部的には「制裁継続状況で自力による経済建設」の三本軸だ。キム長官は「内部競争の活性化と観光分野への集中投資が、最近の北朝鮮経済政策の二つの特徴」だとし、「制裁が続く中、(計画経済の強化に回帰せず)むしろ市場機能を強化して対応することが興味深い部分」だと述べた。金委員長が公言した「新たな道」の中心が、核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射など、北東アジアの地形を揺るがす戦略的軍事行動ではない可能性があるという慎重な見通しだ。