韓国西部発電の下請け会社所属の非正規労働者として生涯を終えた故キム・ヨンギュンさんの事故が起きてから1年近くが経ったが、公共・大型事業所10カ所のうち9カ所は依然として下請け労働者たちの安全を図るための処置をしていないことが分かった。故キム・ヨンギュンさんは昨年12月、石炭運搬用コンベア装備に体が挟まって死亡したが、当時も労働者を保護する安全装置はきちんと設置されていなかった。
1日、雇用労働部は社内下請け(協力会社)労働者の割合が高い公共部門の建設現場と民間企業の大型事業場(常時労働者100人以上)など399カ所における安全守則の遵守などを点検した結果を発表した。今回の点検は、故キム・ヨンギュンさんの事故後今年3月に発表された「公共機関の作業場安全強化対策」の後続措置だ。
点検対象事業所のうち、353カ所(88.47%)の事業所で安全・保健措置がきちんと行われておらず、労働部は計1484件の是正命令を下した。また、260カ所(65.16%)には3億9千万ウォンの過料を賦課した。高所作業台など有害または危険な機械・機構を別途の保護装置なしに使用していた12カ所については使用中止命令を下した。
具体的事例をみると、発電公企業(発電5社)が運営する慶尚南道固城(コソン)の発電所では依然として石炭を運搬するベルトコンベアの回転体に労働者が挟まれる事故を防止する“防護柵”を設置していなかった。同発電所はまた、天井クレーンの点検のための作業台にも墜落防止装置を付けていなかった。
建築資材などを生産する忠清北道清州(チョンジュ)のある大企業系列の工場では、建物の外壁補修作業をする時に使われる高所作業台に、高さ制限装置を設置していなかった事実が点検過程で摘発された。同装置がなければ、高所作業台の上に天井のような構造物があるにもかかわらず、作業台が上がり続け、労働者が天井と作業台の間に挟まれる事故が起こる可能性がある。雇用労働部労災予防補償政策局長は、「公共機関や民間企業の大型事業所が模範的に下請労働者の生命を保護し、安全を図る企業文化が産業現場全般に広がるよう、毎年定期的な指導・点検を推進する」と述べた。