国際労働機関(ILO)の核心条約批准同意案と関連する労働関係法の改正案が国会に送られて1カ月余りが過ぎた。通常国会の国政監査期間中は法案を扱うことができないため「国会が遊んでいた」と悪口ばかり言うことはできない。しかし、国政監査が終わって2週間が流れたのに、所管常任委員会である環境労働委員会のみが常任委員17カ所のうち唯一法案審査小委の日程すら合意できなかったという点は、さまざまことを考えさせられる。
国会が扱う争点の中で重要でないものは一つもないが、核心条約批准同意案と労働関係法改正案は、働く人が人間らしく働き、正当に待遇を受ける基礎を固めるものであり、優先的に扱うのが当然だ。にもかかわらず、環労委では関連論議を始めることさえできていないということだ。
政府が国会に提出した批准同意案は、結社の自由と関連した87、98号条約と強制労働を禁止した29号条約である。この中で注目が集まったのは、すべての労働者の団結権、すなわちすべての労働者が労働組合を作ったり加入したりすることを保障し、労組活動を理由に差別されてはならないという結社の自由の条約だ。
憲法で団結権、団体交渉権、団体行動権という労働3権を保障する国で、それとは別に条約を批准する必要があるのかと思うかもしれないが、実際には現在の労働3権の適用範囲は限定的だ。例えば、現行法上消防士は労組を作ったり加入したりできない。防火服すらきちんと支給されず、手袋も私費で購入して使う「極限の労働者」であるにもかかわらず、これを改善するよう集団的に使用者に要求する道は閉ざされているのだ。
解雇者や失業者も同じだ。全国教職員労働組合(全教組)のことを考えるとわかりやすい。教師はみな別の学校で働いているが、使用者は教育部・市道教育庁で、全教組と団体協定を結んでいた。しかし、解雇者がいるという理由で全教組は「労組ではない」身分になってしまった。ある職場で何カ月も働いてクビになり、別のところに入るまでまた何カ月もかかることが繰り返される今の世の中で、単に解雇者・失業者だという理由で労組からも出ていけとは、あまりにもおかしな話ではないか。
これを正そうというのが結社の自由の核心条約だ。財界は万能のカギである「時期尚早論」で核心条約批准に反対し、自由韓国党はこれを輪唱する。「グローバルスタンダード」をあれほど好む人たちが、なぜ労働権保護の問題では「韓国式」に固執するのか、わかるようでわからない。しかし、今回の通常国会で必ず批准同意案と関連法案を可決させるという政府と与党は力不足だ。
このように遅々としていては、批准同意案などが第20代国会で自動廃棄される可能性も排除できない。定期国会が終われば、汝矣島(ヨイド)は来年4月に行われる総選挙に備える体制に転換するはずであり、その時国会議員たちは自分の公認推薦状を獲得するよりも大事なことがあるだろうか?
もしかしたら、この最悪のシナリオが結果的にはまだましなのかもしれない。実際、政府が発議した批准案に関する労働関係法改正案は穴だらけだ。学習誌教師、保険相談員、宅配労働者のような特殊雇用労働者は、核心条約の批准と法改正後も、依然として団結権は保障されない。このように穴からこぼれ落ちる特殊雇用労働者の規模は230万人と推計される。労組による事業場の主要施設占拠の禁止、団体協定の有効期間を3年に延長するなども、核心条約違反に当たるという指摘が多い。それならば、もう少し時間がかかっても、法改正案をきちんと作成して成立させた方が合理的かもしれない。
問題は、このような仮定が実現するはずがないという点だ。法改正案が「労組偏向的」という財界の圧力も労働界の反発に負けず強い。政権下半期、政府は目に見える成果作りに焦りを感じざるを得ない。たとえ政府が改正案を作り直したとしても、財界の要求をさらに受け入れる可能性があるのは明らかだという話だ。
しかも、この核心条約批准を前提に韓国と自由貿易協定(FTA)を結んだ欧州連合(EU)は、すでに韓国が約束を守らないとして、専門家パネルの招集を要請している状況だ。専門家パネルの招集は「紛争解決手続き」で、パネルには韓国と欧州連合、第3国代表が1人ずつ参加し、90日間問題点を調べて勧告・助言等を記した報告書を提出することになる。韓国は労働権の後進国だという恥をかく「機会」がまだ残っているということだ。
このようなすべての状況や過程、可能性を、国会と政府が知らないはずがない。今のように遅れさせて黙っているのが答えではないということを、彼らはもっとよく知っているはずだ。だから、彼らに聞いてみなければならない。国際労働機関の核心条約批准同意案は、国会の敷居を越えることができるのか?