韓国と米国の軍当局が、毎年年末に行ってきた韓米合同空中戦訓練「ビジラントエース」を、去年に引き続き今年も実施しないことにした。公式発表を行っていないだけで、事実上、方針が確定したことが明らかになった。年内に追加の朝米実務交渉の再開を含む交渉の進展を図っている韓米両政府の外交努力を害しないという軍当局の後方支援措置と解釈される。 ただし、大規模な韓米合同演習を「北朝鮮に対する敵視政策」と規定して一貫して反対の声を上げてきた北朝鮮が、これを韓米両国の友好的信号と見なして早期に追加の朝米実務交渉などに出るかは不透明だ。
政府関係者は3日、ビジラントエース訓練を実行するかどうかに関して、「(今年は訓練をしない)という方案を含め、関連内容を韓米軍当局が協議している」とし、「公式にまだ確定したことはない」と述べた。しかし、複数の軍消息筋は「韓米が訓練をしないことに事実上方針が定まった」と伝えた。
韓米は、今月中旬にソウルで開かれる第51次韓米例年安保協議会議(SCM)で、このような方針を公式に定める予定だと分かった。代わりに韓国空軍と駐韓米軍第7空軍は、12月中に去年と同様に大隊級以下の規模の訓練は実施する計画と伝えられた。これに先立ち、韓米は毎年行ってきた上半期の合同演習のキーリゾルブ演習とトクスリ訓練(3月)、下半期は乙支フリーダムガーディアン演習(8月)を、今年はすべて終了すると発表した。韓米軍当局は、これらの訓練の名称を19-1、19-2同盟訓練など、やや中立的に変えて大隊級以下の規模で年内に実施すると付け加えた。
「ビジラントエース」は韓米空軍が合同で行う実戦対備空中戦訓練だ。韓米相互作戦の運用能力と戦闘効率性向上が目的である。2015年に「Pen-ORE」(朝鮮半島戦時作戦準備訓練)という名称で初めて実施された。2017年11月、北朝鮮が「火星15」型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した後に直ちに行われたこの訓練には、異例にも米軍の最新鋭ステルス戦闘機F22ラプター6機とF35Aが6機、F35Bが12機など、第5世代の航空機が大挙参加し、北に対する圧迫水位を可能な限り高めた。当時、北朝鮮の祖国平和統一委員会は「核戦争の局面に追いたてる厳重な軍事的挑発」とし、激しく反発した。
ク・カブ北韓大学院大学教授は、韓米軍当局の訓練猶予方針を「良い信号」だと評価しながらも、「ただし、現在の(訓練を一時猶予する)方式は、『いつでもまた訓練できる』というメッセージを掲げるという点で、南北関係を修復したり朝米関係を推進することには力不足」と指摘した。ク教授は「北朝鮮は、(9・19南北軍事分野合意などを通じて)韓米訓練と米国の戦略武器の朝鮮半島展開を禁止することを約束したと主張して、訓練の猶予の持続可能性に疑問を提起することがあり得る」と付け加えた。匿名を要請した国策研究機関の高位関係者も、「(今回の猶予は)最近、F35Aなど前政府が購入した兵器が続々と配備されている状況とかみ合い、北朝鮮にも判断がつかないメッセージを与える」として「交渉が進行される間は、韓米合同訓練や先端兵器の輸入などを行なわないという形の一貫性のある方針の調整が必要だ」と語った。