チョ・グク法務部長官の家族の「私募ファンド」疑惑に関連して、「キーマン」と目されたチョ長官の五親等の甥のJ氏(36)が帰国して検察の調査を受けることになり、疑惑の全貌を明らかにできるかに関心が集まっている。私募ファンド疑惑は、チョ長官の娘の入試、または熊東(ウンドン)学院関連の議論より深刻度が高い事案だが、そこにチョ長官の妻であるチョン・ギョンシム東洋大学教授が、どの程度深く繋がっているかにより、与党やチョ長官、検察のどちらか一方への致命傷は避けられないと見られる。
チョ長官の甥のJ氏は、事件初期から私募ファンド疑惑の「胴体」との疑惑を受けてきた。私募ファンドの運用会社であるコリンク・プライベート・エクイティ(コリンク)での正式な肩書きはないが、「総括代表」の名刺を保有し、中国の会社と投資了解覚書(MOU)を締結する席に参加し、最近は検察がコリンクの元職員から「コリンクはチョ長官の五親等の甥の金で作った借名会社」との陳述を確保したという話まで出ている。
J氏は、チョ長官の家族が14億ウォン(約1.3億円)を投資した私募ファンド「ブルーコアバリューアップ1号」を運用するコリンクを実質的に経営し、コリンクのL代表などと会社の資金数十億ウォン(数億円)を引き出した疑い(横領)を受けている。またJ氏が先月末、私募ファンド疑惑が大きくなり国外に逃避した後、私募ファンドが引き受けた街路灯点滅器製造企業「ウェルズシーエヌティー」のC代表に対し、検察に虚偽の陳述をするよう指示した疑い(証拠隠滅教唆)もある。
しかし、このような嫌疑とは別に、検察がJ氏に確認しようとする核心は他にある。チョ長官と妻のチョン教授が、私募ファンド運用会社のコリンクと私募ファンドの運用などに直接・間接的に関与したかどうかだ。チョ長官とチョン教授はこれまで、コリンクおよび私募ファンドの運用に関与していなかったと一線を引いてきたが、チョン教授とコリンクの関連性が少しずつ明らかになっている。チョン教授は、チョ長官が記者懇談会と国会人事聴聞会などを控えた先月末、コリンク側に、これまで作成していなかった私募ファンドの運用報告書を作成するよう要求していたことが分かった。また、コリンクが投資した二次電池製造企業のWFMから、諮問料名目で昨年末からの7カ月間に月々200万ウォン(約18万円)ずつ、計1400万ウォン(約130万円)を得ていた事実が明らかになりもした。検察はこうした場面にJ氏が全て関与したと見ている。
J氏が私募ファンド疑惑の胴体であるだけに、検察が彼の身柄を確保できるかが、今回の捜査のターニングポイントになる見込みである。検察がJ氏の令状を請求し裁判所がこれを受け入れる場合、私募ファンド関連の捜査の正当性と重大性が一次的に認められる形になるが、前回のL、C代表の時のように令状が棄却されれば、私募ファンド捜査の正当性が大きく傷つくことになる。J氏を飛び石にしてチョ長官の方向に進もうとしている検察の計画にも、一定の支障をきたすことが不可避となる。