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[社説]「チョ・グク論争」を見つめる若者世代の剥奪感を直視すべき

登録:2019-09-12 07:48 修正:2019-09-12 10:55
青年市民団体「青年チョン・テイル」の会員らが11日午前、京畿道果川総合庁舎前でチョ・グク法務部長官との会談に先立って記者会見を開いている=ぺク・ソア記者//ハンギョレ新聞社

 チョ・グク法務部長官の任命後も、韓国社会の論議は沸騰したままだ。何よりもチョ長官の娘の入試をめぐる疑惑に火がついた若者世代の憤り、そして剥奪感は大きく深い。

 検察の捜査が進められているだけに疑惑は疑惑として究明されるだろうが、「この政府と今の社会が本当に公正で正義なのか」という若い世代の問いに対する答えを探す道ははるかに困難で、苦しい過程となるだろう。チョ長官が11日の就任後初の対外活動で10人あまりの若者に会ったのは、このような若者世代の声に謙虚に耳を傾けるという意味と理解したい。一部の懸念のように、単なる「責任逃れ」や「恩を売る」ための会談に止まってはならないということは、文在寅(ムン・ジェイン)政権もチョ長官もよく分かっているはずだ。

 会談には、先月チョ・グク候補者に公開対談を要求した青年市民団体「青年チョン・テイル」の代表をはじめ、特性化高校(職業教育中心の高校)の卒業生、非正規職、療養病院の治療士、九宜(クイ)駅のキム君(2016年に九宜駅でホームドア修理中に電車にひかれて亡くなった)の友人など、いわゆる「土のスプーン」(低所得家庭)出身と言える若者たちが参加した。「特権学校」となった自私高(運営の自律性が保証された私立高校)・特殊目的高校(特定科目の英才教育を行う高校)の廃止、現在の入試制度の公正性に対する問題提起、公正な就業ルールの必要性などとともに、若者労働者の死を防ぐ対策の必要性と最低賃金、特性化高校の社会的差別問題などについて、余すところなく語ったという。

 大多数の若者には、もしかしたら「違法」よりも「合法の枠内で起こる不平等」のほうが絶望的なのかも知れない。青年チョン・テイルに文章を送ってきたある青年が、「もとから似たような政治家が犯した違法行為よりも大きく傷ついた。この事実はさらに絶望的に感じられた」と述べたように。しかし、チョ長官任命をめぐる論争の過程では、こうした声よりも「合法か違法か」という論争と「陣営間の対決」という側面ばかりが浮き彫りになったことは否めない。ハンギョレが11日の紙面で伝えたように、チョ長官の娘の論争をめぐって「全く異なった世界の話」のように感じられるという若者が多いという点は「剥奪感まで階級化」した現実を端的に示すもので、気が重い。いくつかの大学街のろうそく集会をめぐり、陣営によって極端な批判と賛辞に分裂しているのも望ましい現象ではない。

 86世代の功罪をめぐっては意見が分かれるだろう。しかし、いかなる世代よりも、時代の恩恵を受け、現在は韓国社会の政治・経済の中枢になった86世代に対する厳しい叱咤を度外視するなら、問題解決の道は遠のくばかりだ。何よりも政府と政界の責任が大きい。今日、若者たちが言ったように「公正のはしごを作る」政策を、相手陣営ではなく国民を見つめながら着実に実施してほしい。それこそが国民が3年前にろうそくを掲げた理由だ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/909356.html 韓国語原文入力: 2019-09-11 16:53
訳D.K

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