江華島など16万世帯あまり「停電」
稲・落果…農作物「7千ヘクタール」超える被害
北朝鮮でも電柱など相次ぐ被害報道
自治体、停電など復旧急ぐ
豪雨予報の済州・南部、2次被害懸念
7日に朝鮮半島を襲った台風13号「レンレン」は全国で3人が死亡、20人あまりが負傷するなど被害が相次いだ。8日日曜に緊急復旧作業が始まったが、不運が重なるかたちで全国各地に雨が降り、復旧に困難をきたした。済州(チェジュ)には9日までに最大150ミリの大雨が降るものと予想され、追加被害が懸念される。
8日の中央災難安全対策本部と気象庁の説明などを総合すると、台風13号は西海岸に沿って北上し、7日には全国に非常に強い風が吹いた。特に全羅南道新安郡黒山島(フクサンド)では最大瞬間風速が54.4メートルを超え、黒山島での観測史上2番目、歴代台風による最大風速5位を記録した。
記録的な強風をもたらした今回の台風で、全国で3人が命を落とした。忠清南道保寧(ボリョン)ではAさん (75)が納屋の屋根を点検している時に強風に飛ばされて死亡。仁川(インチョン)ではバスの運転手Bさん(39)が、仁荷大学病院の裏門駐車場で強風に倒れた塀の下敷きになり死亡した。京畿道坡州(パジュ)ではCさん(61)が、ゴルフ練習場の建物の屋根で補修工事中に、強風で飛ばされた屋根のかけらが頭に当たり亡くなった。 全国的に住民12人と安全のため措置を行っていた消防公務員、警察官11人が負傷したと集計されている。
施設の被害も相次いだ。民間施設928カ所や学校、道路など公共施設2714カ所など計3600カ所あまりが被害届を出した。全羅南道や済州などでは強風のため船舶35隻が転覆した。停電で仁川の江華島全域(2万1千世帯あまり)を含む全国16万1646世帯の住民が大きな不便を強いられた。
特に、秋夕(チュソク、中秋節)を控えて強風による農作物被害が大きく、農民たちの落胆が深まっている。8日現在、農作物被害は7145ヘクタール(約2161万坪)と暫定集計されている。4253ヘクタールで稲が倒れ、1735ヘクタールが浸水した。果樹園1157ヘクタールでリンゴや梨などに落果の被害が出ており、ビニールハウスの被害面積は42ヘクタールと集計されている。
被害が集中した京畿道は同日から本格的な復旧作業に入った。停電被害が発生した3万4280世帯のうち、すでに98%に当たる3万3604世帯が復旧している。京畿道は今月27日までに人命・施設被害の現地調査を行うなど、正確な台風被害状況を把握するとともに、被災者に救護費と災難支援金を先払いして被害を最小化することにしている。 政府は同日午後4時、李洛淵(イ・ナギョン)首相主宰の対策会議を開き、応急復旧や復旧支援策などを協議した。
台風13号の北上により、北朝鮮地域でも各種の被害が続発した。北朝鮮は台風13号により8日現在5人が死亡するなど、計8人の死傷者が発生したと発表した。朝鮮中央通信は同日午後、「国家非常災害委員会に現在までに集約された資料によると、5人が死亡、3人が負傷して病院で治療を受けている」と伝えた。また、「全国で210棟、460世代あまりの住居と15棟の公共施設が完全および部分的に破壊され、または浸水した」、「4万6千200町歩あまり(約458平方キロメートル)の農耕地で作物が倒れたり、浸水や埋没の被害が出ている」と伝えた。458キロメートルは汝矣島(ヨイド)面積(2.9平方キロメートル)の157倍に達する規模で、台風が北朝鮮最大の穀倉地帯の一つである黄海道を通過したため被害が大きかったものと推定される。
気象庁は8日朝9時、台風13号がロシア・ウラジオストク北西約160キロの陸上で温帯低気圧に変わって消滅したと発表した。また、9日まで済州島と南部地方には突風とともに雷・稲妻が走り、山地などでは150ミリ以上の雨が降る可能性が高いと予報している。
訳D.K
