本文に移動

[ニュース分析]日本の報復に屈しないという意志…韓日関係の再構成への“信号弾”

登録:2019-08-23 01:41 修正:2019-08-23 07:24
韓日・韓米関係の波紋広がる 
 
光復節記念演説など対話にむけた努力にも 
無視し続けた日本に真っ向勝負 
米国は韓日対立の解消は後回し 
防衛費の引き上げ・ミサイル配備に圧力かける 
 
韓日軍事情報共有のもと 
MD構築と地域同盟への発展目指す 
米国の北東アジア戦略に“亀裂”走る 
「韓米日安保協力の未来が制限される」
文在寅大統領が今月22日午後、大統領府で韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に関する国家安全保障会議(NSC)常任委会議の内容の報告を受けている//ハンギョレ新聞社

 韓国政府が22日、韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を延長しないことに決定したことで、北東アジア秩序の固定軸とされていた韓米日安保協力の枠組みが崩れた。韓米日安保協力の水準は、今回の韓日対立の傷を負ったまま、2016年11月GSOMIA締結以前に戻った。日本の今後の対応によっては、それよりさらに後退しかねないという見通しも示されている。

■北東アジア秩序を揺さぶる引き金

 政府の今回の決定は韓日関係を越え、韓米関係、ひいては北東アジア秩序を揺さぶる引き金になるものと見られる。まず、日本に対しては、歴史認識の問題を安保領域にまで拡大したことへの追及の意味が大きい。米国に対しても、同盟に対する責任と尊重を求める警告と言える。韓日の対立を解消するための韓国の努力には手を拱いたまま、防衛費分担金の引き上げや中距離ミサイル配備カードで韓国を圧迫することに対する、文在寅(ムン・ジェイン)政府のメッセージということだ。米国は、最近訪韓したジョン・ボルトン国家安保補佐官とマーク・エスパー国防長官を通じて、韓国がGSOMIAを維持することを希望したが、韓日の対立は両国が解決しなければならない問題だとして線を引いた。国家安保戦略研究院のチョ・ソンニョル諮問研究委員は「日本は米国とともにインド太平洋戦略を推進しながら、韓日関係を垂直的な関係に変えようとしており、米国は韓国をインド太平洋戦略に抱き込むことに没頭した」と指摘した。

 政府の今回の決定は、朝鮮半島の周辺構図が米国と日本が主導するインド太平洋戦略によって再編される動きに歯止めをかける意味もある。米国の従来の北東アジア戦略は、米国が中心軸となり、韓国と日本が車輪のスポークとして米国と同等の関係を結ぶ構造だった。しかし、中国の浮上を牽制するために米国と日本が推進するインド太平洋戦略では、韓国がASEAN国家とともに下位パートナーに再編される流れが進められている。

 政府の今回の決定で、韓日軍事情報の共有を基に韓米日ミサイル防御体制(MD)を構築し、最後にはこれを地域同盟に発展させるという米国の北東アジア戦略にも亀裂が生じた。米国がこれまで推進してきた韓米日安保協力という戦略的方向が、韓日の対立の中で重大な岐路に立たされたことを意味する。ある軍事専門家は「GSOMIAに次ぐ韓日相互軍需支援協定(ACSA)の締結も白紙化された」とし、「韓米日安保協力の未来が制限されるのは避けられない」と述べた。

 一部では、最近起きた韓日対立の性格が、最初から韓米日安保協力構想と両立できないものだったと指摘する。日本の歪曲した歴史認識に基づいた軍国主義化と韓日協力は衝突するほかないためだ。匿名希望の国防大学院教授は「韓米日安保協力は韓国と日本を活用して中国とロシアを牽制し、北朝鮮の脅威に対抗しようとする米国の構想に基づいている」とし、「日本の軍事大国化と平和憲法改正の動きが強化されるほど、韓国の反発も激しくなる内的矛盾を抱えている」と指摘した。

 政府の今回の決定で、韓米日安保協力の亀裂に対処する課題が浮上した。中国やロシア、北朝鮮など、韓米日安保協力を不都合に思う周辺国は、すでにそのような隙間を狙っている。軍関係者は「韓日の対立が浮き彫りになったことを受け、中国とロシアが東海で軍事演習を行い、ロシア軍用機が領空を侵犯したのも、このような弱点を突いたものといえる」と述べた。

■韓日、長期対立のトンネルへ

 韓日関係は長期対峙または対立の長いトンネルに入ったものとみられる。GSOMIAの終了決定で、韓国が日本の理不尽な要求に屈しないという断固たるメッセージを出したためだ。大統領府は「日本が韓国を『安全保障上信頼できない国』と扱い、ホワイト国(グループA)から除外すると共に安保友好国ともみなさない状況では、韓国もそのような国と敏感な軍事情報を共有するわけにはいかない」と説明した。

 専門家らは、文大統領が光復節記念演説で、日本に向けて対話のシグナルを送ったにもかかわらず、日本がこれを無視して対話を拒否することについて、韓国政府が真っ向勝負する意志を示したと分析する。輸出規制を主導した日本経済産業省は韓国政府の協議の要求を拒否しており、21日に行われた韓日外相会談でも、日本は従来の立場を繰り返した。ソウル大学のナム・ギジョン教授は「日本が妥協できる余地がまったく見せないことについて、政府がGSOMIAの終了という予想より強いカードで反撃した」とし、「日本が韓国をホワイト国から除外したことが、歴史問題から韓日関係再構築の長期的過程へと突入する信号弾ならば、GSOMIAの終了は韓日関係が地政学的再構築の長期的過程に進入する信号弾になると思われる」と述べた。聖公会大学のヤン・ギホ教授は「日本企業には強制動員の被害者に対する和解の意思があったにもかかわらず、日本政府が前面に出て賠償を妨げ、状況を悪化させている」とし、「当分は信頼を回復しにくい状況だ」と述べた。

 韓国がGSOMIAの終了を決定したことで、日本が戦線の拡大に乗り出すかにも注目が集まっている。日本がホワイト国から韓国を除外する施行令を出す28日に、個別の許可を受けなければならない品目を増やし、強硬対応することも考えられる。ヤン・ギホ教授は「日本は『韓国は信頼できない国』だとし、技術覇権を利用した韓国バッシングを強化する可能性もある」とし、「この場合、韓国も福島原発の放射能汚染水の海上放出問題をさらに強く提起し、東京五輪の放射能安全問題を国際的に提起することで対抗することもあり得る」と見通した。

ユ・ガンムン、パク・ミンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/906810.html韓国語原文入力:2019-08-22 22:58
訳H.J

関連記事