30日午後、サムスン電子華城(ファソン)事業場で行われた「非メモリー半導体のビジョン宣布式」で、文在寅(ムン・ジェイン)大統領に会ったサムスン電子のイ・ジェヨン副会長は頭を下げて握手した。文大統領は「サムスン電子の世界1位への飛躍という目標を積極的に支援する」と約束した。
腐敗容疑で起訴され、刑が確定していない財閥トップと最高権力者の頻繁な会合や全面的な支援の約束などは、それ自体で不適切だという指摘が多い。特別赦免権など、国家刑罰体系において大統領は莫大な権限を持っているからだ。
経営権継承に向けた請託のため賄賂を供与した疑いで起訴されたイ副会長は昨年2月、控訴審で執行猶予が言い渡され、釈放された状態だが、依然として最高裁判所の裁判を受けている。「財閥びいき」という批判を受けた控訴審裁判所が認定額を大幅に減らしたにもかかわらず、イ副会長が提供した賄賂は36億ウォン(約3億4千万円)に達する。同じ内容で起訴された朴槿恵(パク・クネ)前大統領の控訴審で、裁判所はイ副会長の賄賂額を87億ウォン(約8億3千万円)と計算した。
最高裁判所の全員合議体は、イ副会長と朴前大統領、陰の実力者チェ・スンシル(改名後チェ・ソウォン)氏ら3人の事件を一つにまとめて審理している。今年2月11日、全員合議体に事件を任せて一つに併合した。最高裁判事13人全員の意見を取りまとめて判決を下す全員合議体は、4月18日まで4回の審理を行った。審理周期が比較的早く、4月宣告説が流れるなど、宣告が差し迫っているという見通しも示された。ただし、最近、検察がサムスンの経営権承継に深く関わっているサムスンバイオロジックスの捜査に拍車をかけており、最高裁が捜査内容をどれだけ“参考”にするかによって、判決時期が遅れる可能性もあるとされる。
ある部長判事は「(粉飾会計の責任者が起訴される可能性が高く)刑事裁判になるサムスンバイオ事件も(最高裁で)論議すべき事案に属する。全員合議体にも関連内容が当然報告される事案だ」と話した。ただし「まだ起訴できておらず、捜査にも時間がかかるものとみられ、検討はしても判決そのものに影響を与えるのは難しいとみられる」と付け加えた。
文大統領とイ副会長が頻繁に会合していることについて、裁判所関係者は「敏感に反応する人もいるかもしれないが、大統領が司る行政の領域と司法の領域は全く別」だと述べた。