ドナルド・トランプ米大統領が2回目の朝米首脳会談で、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長に、核兵器や燃料を米国に引き渡すよう要求したと、ロイター通信が29日(現地時間)付で報道した。これは北朝鮮が強く反発してきた「リビアモデル」を連想させるもので、トランプ大統領はハノイに向かう前から“ノー・ディール”まで念頭に置き、非常に包括的な要求事項を準備したものとみられる。
ロイター通信は匿名の消息筋を引用し、トランプ大統領が2月28日、ベトナム・ハノイのメトロポールホテルで開かれた首脳会談で、金委員長にこのような直接的な要求を盛り込んだ韓国語と英語の二つのバージョンの文書を渡したと報道した。
同通信は米国が「北朝鮮の核施設や化学・生物兵器プログラム、これに関連した2重用途能力、すなわち弾道ミサイルや発射台、関連施設の完全な解体」を要求したと報じた。また、核兵器と爆弾燃料を米国に移転するとともに、核プログラムの包括的な申告及び米国・国際査察団の完全なアプローチ▽核関連のすべての活動と新しい核施設の建設中止▽すべての核インフラの除去▽核科学者と技術者の商業的活動への転換を要求した。
消息筋によると、同文書は、米国の言う「最終的かつ完全に検証された非核化」の概念を北朝鮮に明確に伝えるためのものだという。ホワイトハウスのジョン・ボルトン国家安保補佐官は3月初め、マスコミのインタビューで、「ビッグ・ディール文書」をトランプ大統領が金委員長に手渡したと述べたが、核兵器と燃料の引き渡しまで要求したという事実が明らかになったのは初めてだ。
特に核兵器・燃料の米国への移転は、昨年6月に行われた第1回朝米首脳会談の前に、ボルトン補佐官が北朝鮮の非核化の解決策として掲げた「リビアモデル」と類似している。ボルトン補佐官は当時、非核化は「すべての核兵器を廃棄し、米テネシー州オークリッジに持ち込むことを意味する」と述べ、北朝鮮の強い反発を招いた。トランプ大統領は当時、「(北朝鮮と)リビアモデルは異なる」として、鎮火に乗り出した。
ロイター通信は「同文書は金委員長にとっては侮辱的で挑発的に映っただろう」とし、ハノイ会談が物別れに終わった理由を理解するのに、同文書が役立つと指摘した。
4月11日に開かれる韓米首脳会談の調整に向け、30日にワシントンを訪問したキム・ヒョンジョン大統領府国家安保室2次長は、政府が把握した内容と同報道が一致するかどうかを問う記者団の質問に対し、「そうだ。それは私たちも(米国から)報告を受けていた」と答えた。