12~13日に金剛山(クムガンサン)で行われた今年初の南北民間交流行事に同行した韓国取材陣のノートパソコンなど取材装備の携帯禁止措置は、国連軍司令部の“懸念”表明と統一部の消極的対応のためであることが分かった。しかし、取材目的のノートパソコンの北朝鮮への持ち込みは、南北交流協力法はもとより、米国内法にも禁止規定がなく、法的根拠もなく持ち込みを許可しなかったことになる。言論の自由の侵害という批判が高まっているのもそのためだ。
統一部のペク・テヒョン報道官は13日のブリーフィングで、「政府は、(金剛山行事に同行した)記者団が取材装備を持ち込めるよう協議を進めてきたが、(米国政府との)関連協議が行事以前に完了せず、難しくなった」と述べた。ペク報道官は「この問題について韓米間で大きな意見の隔たりがあるわけではない」としながらも、協議が不十分である具体的な内容は明らかにしなかった。
ハンギョレの取材の結果、先週の金曜日(8日)以降、金鋼山行事と関連した韓米両国政府の協議過程で、国連軍司令部の問題提起があり、米国務省側も韓米作業部会レベルの十分な事前協議の不足を理由に不満を示したという。事情に詳しい政府関係者は「国連軍司令部の懸念表明と問題提起があった」と伝えた。
今回、訪朝記者団のノートパソコンの持ち込みが禁止された最も大きな理由に挙げられるのは、戦略物資の搬出を厳しく統制する米商務省の「米国再輸出規制」(EAR)だ。米国再輸出規制は、国家別の「許可例外事項」または「臨時輸出移転」の規定で、「事前承認」を受けなくても良い分野を設定しているが、北朝鮮にはこれが適用されない。
ただし、一つの例外がある。「公認されたメディアに属する者がニュース収集の目的の物品を北朝鮮で臨時使用する場合、当該物品を実質的・物理的に統制すれば、米国再輸出規制による許可なく(使用が)認められる」という規定だ。取材装備リストを電子メールで米商務省産業安保局に送るだけで済む。承認や許可は要らない。北朝鮮制裁専門家のキム・グァンギル弁護士(法務法人地平)は「米商務省の米国再輸出規制によると、ニュース制作の装備は米政府の許可がなくても臨時で北朝鮮に持ち込むことができる」とし、「言論の自由を重視する米国政策の反映」だと説明した。
一部では、国連安全保障理事会の最後の対北朝鮮制裁決議第2397号(2017年12月22日採択)第7条で、供給・販売・移転を禁止した「産業用機械類(HSコード84、85)」をノートパソコンの持ち込み禁止の根拠として提示するが、取材陣の取材装備は販売・移転目的ではなく、現地取材後に再び持ち帰ることを前提にしたものであり、説得力に欠ける。実際、多数の外国マスコミの訪朝取材の際、これを根拠にノートパソコンなど取材装備の持ち込みを禁止した前例は見当たらない。さらに、昨年5月24日に行われた韓国など5カ国の取材陣による豊渓里(プンゲリ)核実験場爆破現場の取材や、昨年10月4~6日に平壌(ピョンヤン)で開かれた「10・4首脳宣言11周年記念民族統一大会」の際も、ノートパソコンを含む取材装備の持ち込みは問題にならなかった。