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「労使共生の実験」光州型雇用が再始動

登録:2019-01-31 08:40 修正:2019-01-31 14:24
光州市と現代自動車の再交渉が妥結:その意味と展望 
 
雇用創出に向けた社会連帯の第一歩 
賃金削減の代わりに雇用増やす 
フォルクスワーゲン「アウト5000」がモデル 
 
世界自動車市場の供給飽和が問題に 
「賃金団体交渉5年猶予」今後議論になる可能性も 
元請・下請け関係の改善のための具体策立てるべき
今月30日午後、光州市庁中会議室にイ・ヨンソプ光州市長(左)とユン・ジョンヘ韓国労総光州全南本部議長が、光州市政労使民協議会の結果を発表し、両手を上げている。同日、政労使民協議会は光州型雇用に関し、光州市と現代自動車の投資交渉案を受け入れることにした//ハンギョレ新聞社

 文在寅(ムン・ジェイン)政権の国政課題である「光州(クァンジュ)型雇用」は「労使共生型」の雇用創出モデルとして知られる。賃金を既存の完成車メーカーの半分の水準で維持する代わりに、政府と地方自治体が住宅・教育のような“社会的賃金”を支援するものだが、ドイツのフォルクスワーゲン本社がある都市ヴォルフスブルクに設立した「アウト5000」がモデルだ。従来の「利潤主導成長」で雇用の質の低下が広がっており、完成車メーカーの高い賃金水準が原因で、工場が国外へ流出しているという判断が同提案の背景だ。「適正賃金」や「適正労働時間」、「労使責任経営」「元請・下請関係の改善」を4大議題に掲げ、「雇用を中心とした社会連帯」とも言われている。

 光州型雇用モデルは何よりも「共生型雇用」を目指す。企業は人件費を節減しながら多様な投資インセンティブを提供してもらい、労働者は新しい良質の雇用が生じると同時に、責任経営の主体として参加する。地方政府は地域の雇用問題を解決すると共に、該当企業の株主として、公益的価値を高めるため株主権を行使することができる。「光州型雇用」は文在寅政権の100大国政課題の一つで、文大統領は今年の年頭記者会見で「光州型雇用モデル」の重要性を言及した。文在寅政権は光州、自動車を皮切りに、ほかの地域や産業にもこのような共生モデルを拡大していく方針だ。

光州型雇用事業の概要//ハンギョレ新聞社

 地域の政労使政が参加した社会的対話の結果である光州型雇用の前に、「理想(モデル)をそのまま現実に適用できるか」という問題が残っている。何よりも世界の自動車産業は困難に陥っている。世界の自動車市場はすでに供給飽和状態と評価されている。国内自動車工場も遊休施設の規模が年産70万台に達するなど、構造調整の過程にある。ここ数年間、需要の低迷により、国内自動車メーカー各社が深刻な販売減少を経験した結果だ。

 妥結の足かせだったが結局維持された賃金・団体協約交渉の5年間猶予条件も、議論の火種になりかねない。元請・下請関係の改善の具体案が明らかになっていないことも問題だ。光州型雇用が政府の意志のように全国的なモデルに拡散するためには、越えなければならない問題だ。経済社会労働委員会のパク・ミョンジュン首席専門委員は「新設法人の支配構造や市場の懸念を解消する政労協議体など、社会的対話の枠組みをどのように作るかが主要な課題」だと指摘した。

 光州地域はひとまず歓迎している。光州参画自治21のチョン・ジェウォン代表は「経済状況が非常に悪い状況で、雇用を創り出すモデルが出たことに注目している」と話した。ウン・ウグン光州全南教授研究者連合常任議長(光州大学教授)は「単なる完成車工場誘致に終わってはならず、今後、労使の創造的経営の枠組みを作り出すことが重要だ」と強調した。

 一方、労働界は反発している。金属労組現代自動車・起亜自動車支部は直ちに、幹部らを中心に31日に全面ストを実施し、光州型雇用協約式が開かれる光州市庁を抗議訪問することにした。金属労組は声明を発表し、「自動車産業の現実と流れを無視した過剰重複投資だ。委託生産工場は自立できないため、持続可能性がない。低賃金・不安定労働に基づいて生産費用を節減しようとするもので、雇用創出を口実にした反労働政策だ」として、強く反発した。

パク・キヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/880594.html韓国語原文入力:2019-01-30 20:20
訳H.J

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