文在寅(ムン・ジェイン)大統領が8日、大統領秘書室長にノ・ヨンミン駐中国大使、政務首席と国民疎通首席にそれぞれカン・ギジョン元共に民主党議員とユン・ドハン元文化放送(MBC)論説委員を任命する第2期大統領府人事に踏み切る予定だ。秘書室長と政務首席に自分の意中をよく把握している側近を起用し、国政掌握力を高め、政権3年目の成果を出すよう手綱を締める狙いとみられる。
複数の大統領府関係者らは7日「文大統領は8日、ノ大使を秘書室長、カン元議員を政務首席、ユン元論説委員を国民疎通首席に任命する第2期大統領府人事を断行する」とし、「後続の秘書官級人事は9日、順次進める予定だ」と述べた。大統領府は7日、彼らに対する検証をすべて終えたという。政策室と国家安保室は、今回の改編に該当しないという。
文大統領が政権3年目に入ってすぐに文大統領に近い関係者たちで大統領府秘書室を再編したのは、早期に内部の戦列刷新を通じて大統領府と政府の掌握力を高め、国政の成果を得るのにスピードを出すという意志を込めたものとみられる。ノ駐中大使は、2012年の大統領選挙の時、文在寅候補の秘書室長を務め、昨年の大統領選挙の時も組職本部長を務めた“文在寅派”の代表的な人物だ。カン元議員も政権初期から政務首席候補に挙がったが、光州市長への出馬を理由に2回の政務首席職の提案を断ったという。ある大統領府関係者は「イム・ジョンソク秘書室長を中心とした第1期の大統領府関係者が蕩平(党争をなくすため党派間の均衡をはかる政策)と和合に重点を置いたとすれば、ノ駐中大使を中心とする第2期大統領府関係者は、政権中盤に入る時期に誰よりも大統領の意中をよく知る人を抜擢して実績を出すという意味が込められている」と説明した。別の大統領府関係者は「ノ駐中国大使とカン元議員は、文大統領と2012年の大統領選挙の失敗の経験を共有しながら凝縮した『同志的結合』という共感が強い」とし、「文大統領が支持率下落などで危機を迎えた状況で団結力を高め、揺るぎなく国政を率いていく考えのようだ」と述べた。しかし、民主党内では「来年の総選挙で勝利するには人事の幅を広げなければならないのに、“文在寅派”人事に偏ったのは残念だ」という批判もある。
文大統領は、重鎮議員出身の参謀を抜擢することで、党・政・大統領府はもちろん、野党との疎通を強化し、主な改革立法の課題を解決するという意味も込めたようだ。ノ駐中大使とカン元議員は、いずれも当選3回の国会議員出身だ。文大統領は昨年31日、民主党指導部との送年会合で「最も重要なのは成果だ。政務的な問題でも党・政・大統領府間の協議がもっと活発にならなければならない」と強調した。文大統領が再選議員出身のイム・ジョンソク秘書室長や初当選議員出身のハン・ビョンド政務首席よりも、党、国会経歴の豊かな2人を参謀に配置し、重みを上げたという解釈が出ている。大統領府関係者は「国民が体感できる成果を出すためには、国会立法という関門を通過しなければならない」とし、「党との結合力を高め、国会に留まっている司法改革、公正経済関連立法などに主導的に取り組むという意味が込められているようだ」と述べた。
また、文大統領は国民とのコミュニケーションを担当する国民疎通首席には、最初から政治家ではないマスコミ政策、コミュニケーションの専門家を起用する基準を立てていたという。国民疎通首席に内定したとされるユン元論説委員は、1987年の文化放送の労働組合創立メンバーで、昨年には社長公募に志願もした。大統領府の関係者は「ノ駐中大使やカン元議員など正統的な文在寅派の人物を起用しながら、疎通首席は政治色が薄い外部の人物を登用して、世論を客観的に見てマスコミ政策全般を担当させるという意味」だと述べた。
一方、文大統領は9日に秘書官級人事に踏み切るという。クォン・ヒョッキ春秋館長の後任にはユ・ソンファ第2付属秘書官が、新任の第2付属秘書官にはシン・ジヨン海外言論秘書官が内定した。
野党は批判的な態度を見せた。自由韓国党のユン・ヨンソク首席代弁人は「単に最側近という理由で平均的な道徳基準に大きく及ばない人を重用すれば、莫大な非難と国民的な憤りに直面するだろう」とし、ノ駐中大使の議員時代の詩集強売疑惑を批判した。キム・グァニョン正しい未来党院内代表は「人事検証の失敗、キム・テウ事件などの責任を負ってチョ・グク民政首席が退任すべきだ」と述べた。