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「一生懸命働いていた青年を、発電所が殺した」

登録:2018-12-14 08:49 修正:2018-12-14 09:36
故キム・ヨンギュンさん追悼ろうそく文化祭  
光化門広場、泰安ターミナル交差点で同時に開かれる 
同年代の青年たち「キムさんの死は他人事ではない」
11日未明に一人で働いていた途中に死亡した泰安火力の非正規労働者キム・ヨンギュンさんの追悼文化祭が13日夜、ソウル光化門広場で開かれ、出席者らが故人を追悼するろうそくとプラカードを手にしている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 13日夕方、ソウル光化門(クァンファムン)広場のセウォル号テント場。ここに約3坪(9.9平方メートル)あまりの小さな焼香所が設けられた。遺影の中の眼鏡をかけた若々しい青年は、マスクと安全帽をかぶりボードを掲げていた。「私キム・ヨンギュンは、火力発電所で石炭の設備を運転する非正規職労働者です」。11日未明、忠清南道泰安市(テアンシ)の火力発電所9・10号機で巡回業務を行っていたところ、石炭運送設備のコンベアーベルトに挟まれて死亡した状態で見つかった24歳の下請け労働者、故キム・ヨンギュンさんの焼香所に立った市民は、焼香しながら黙祷し、しばらく顔を上げることができなかった。絶えず訪れる焼香客たちの追悼行列に沿って、遺影の前には菊が積み上げられた。

11日未明に一人で働いていた途中に死亡した泰安火力の非正規労働者キム・ヨンギュンさんの追悼文化祭が13日夜、ソウル光化門広場で開かれた=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 この日の夕方7時、ソウル鍾路区の光化門広場と泰安火力のある忠清南道泰安郡泰安ターミナル交差点で「泰安火力非正規職の24歳の故キム・ヨンギュンさん追悼文化祭}が同時に行われた。氷点下2度の真冬の北風の中、光化門広場の追悼祭に集まった200人余りの市民たちは、それぞれ手にろうそくを持ってキム・ヨンギュンさんのようにプラカードを掲げた。プラカードには「いつまで働く場で死ななきゃならないのですか?」「死すら外注化した冷たい世の中で労働者は一人二人と倒れていきます」「文在寅(ムン・ジェイン)大統領、非正規職労働者と会いましょう。私たちはみな火力発電所で石炭設備を運転する非正規職労働者です」などのような言葉が書かれていた。

 発言台に立った故人の同僚たちは、しばらく涙に声を詰まらせていた。発電所の同僚のC氏は「いま法律を制定しようが、対策を立てようが、非常計画を立てようが、どんな行為をしたとしても私たちには有効ではない」と言い、「しかし、今日だけは皆さんと一緒にキム・ヨンギュンさんを悼む時間にしたいと思う」と話した。

 故キム・ヨンギュンさんと名前が同じ発電所の同僚は、事故前の発電所の無責任に、事故後の発電所の無神経さに憤ったと話した。「6日、キム・ヨンギュンさんの誕生日に一緒に酒を飲みながら笑った仲間」と自分を紹介した同僚のキム・ヨンギュンさんは「今回亡くなったヨンギュンさんは、社会に最初の一歩を踏み出した会社が発電所であり、誰よりも夢を持って一生懸命働いていた青年」だと声を高めた。さらにキム氏は「そんな彼がたった3カ月で下請け会社の労働者を牛や豚のように扱う発電所の管理者によって殺された」とし、「会社は事故の収拾人員が足りないと言って、わずか数時間前に一緒に夕飯を食べた同僚に遺体を収拾するよう命令した」と怒りをあらわにした。

11日未明に一人で働いていた途中に死亡した泰安火力の非正規労働者キム・ヨンギュンさんの追悼文化祭が13日夜、ソウル光化門広場で開かれ、出席者らが故人を追悼するろうそくとプラカードを手にしている=キム・ミョンジン記者//ハンギョレ新聞社

 市民たちは、追悼祭に設けられたハガキに、それぞれ追悼の言葉を書いてキム氏の冥福を祈った。市民のパク・ウンスさんは「私たちはみな他人の苦痛にあまりにも無感覚だ。私たちは世の中のすべての差別に対してろうそくを掲げなければならない」と書き、ある市民は「どんな言葉が言えましょうか。これ以上死なないようにしてほしいというあなたやあなたの同僚、私や私たちの要求を忘れません」と誓った。

 追悼祭には、キム氏と同年代の若い青年たちも多く見えた。「文在寅政府は死の外注化を今すぐ中止せよ」というプラカードを手にした大学生のキム・ヨンスさん(25)は、自分よりたった1歳年下のキムさんの死が他人事ではないと言った。キムさんは「生命に関する専攻なので、現場実習に行けば機械を扱わなければならないことがある。私が大学に行かずすぐに就職していたら、あんな目に遭ったのではないかと思った」とし、「ろうそく革命の頃にも九宜(クウィ)駅のキム君が、キム・ヨンギュンさんのように2人1組で働かなかったために亡くなった。その後、何が変わったのか分からない」と頭を横に振った。キムさんはキム・ヨンギュンさんの死が結局自分のことだとし、このように付け加えた。「公企業がコスト削減のために下請けに任せ、一人で働かせたんじゃないですか。私をはじめ公企業を羨望する若者たちの誰でもこのようなことが起こり得るというのが、私たちの年代の悲しみの一つではないかと思います」

泰安市民もろうそくを手にした

 同じ時間、忠清南道泰安郡泰安ターミナル交差点にも、市民やキム・ヨンギュンさんが所属していた韓国西部発電の下請け会社の韓国発展技術の同僚、民主労総の関係者ら約200人が集まり、追悼文化祭を開いた。

 彼らは「人を第一に考えるべきだ、これ以上殺すな」「真相を究明し責任者を処罰しろ」などの掛け声を叫びながらろうそくを手にした。泰安火力死亡事故市民対策委員会のイ・テウィ臨時代表は「眠るときに母さんのお腹を触りながら眠った息子、その息子が死んで、もう自分もこの世にいないという両親に向かって、会社の人間たちはさせてもいないのに一人でそこに入ってしまってこんなことになったと言った」とし、「大統領に会おうと、ピケットを掲げようと提案した人が私だ。解決できずこの死を作ったので、私も罪人だ」と話した。イ代表は「ご両親が最後まで真相調査するように市民対策委に任せてくれた」とし、「ちゃんと真相調査をして、二度とこのような死が発生しないまで闘う。来週、棺を担いで大統領府に攻め込むつもりだ」と付け加えた。

13日、泰安火力のある忠清南道泰安郡泰安ターミナル交差点に200人余りの市民が集まり、泰安火力の非正規職の「24歳の故キム・ヨンギュンさん」を追悼する文化祭を開いた=泰安/ソン・ダムン記者//ハンギョレ新聞社

 キム・ヨンギュンさんの死を世の中に知らせた発電労組非正規職連帯会議のイ・テソン幹事は、「(死亡したキム・ヨンギュンさんを)発見したのは119センターや警察ではない。同僚らが死んだ彼の体を救出した。届出も発電会社ではなく下請け労働者がやった。これが信じられるか」とし、「雇用労働部が作業中止命令を下したにもかかわらず、発電会社は電気を生産するために機械を回した。発電会社はそのような記録がモニターにそのまま残るのを知らなかった」と主張した。イ幹事は「元請けは私たちを犬のように利用しながら私たちを死に追いやっている」とし、「これ以上死なないように、私たちは今回必ず死の外注化を終わらせよう」と訴えた。

 正義党のユン・ソハ院内代表も現場を訪れ「今後、現政府はむやみに労働尊重社会という言葉を使うな」とし「この死に対して政治家らが来て弔意を表すのは尊重するが、彼らは国会に行ってまた弾力労働制を拡大しようと主張するだろう。これが大韓民国の国会だ。私は政治家の一人として容認できない」と述べた。

 10代もろうそくを掲げた。泰安女子高2年生のチョン・ソジンさん(17)とペク・ギョンムンさん(17)は口をそろえて「キム・ヨンギュンさんが私たちと年があまり変わらないからか哀れに思った」とし、「卒業して就職する先輩の大部分が銀行などに非正規職として就職する。就職した先輩のうち、西部発電に就職した人もいる。学校を卒業して大学進学の代わりに就職するつもりなので、非正規職問題は他人事ではない。それで今回の問題に関心をもった」と話した。

イム・ジェウ記者、泰安/ソン・ダムン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/874372.html韓国語原文入力:2018-12-13 22:05
訳M.C