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「非武装地帯の地雷除去、国際地雷行動基準に沿えば5年以内に可能」

登録:2018-11-19 10:05 修正:2018-11-19 17:13
英国のNGO「ヘイロー・トラスト」のバロン・クムノバ氏 
緑色連合など国際シンポジウム「国際NGOの経験活用を」 
「台湾・金門島の地雷除去の事例を韓国も参考にすべき」
国際的なNGO「ヘイロー・トラスト」の地雷除去専門家バロン・クムノバ戦略局長が15日、延世大学で開かれた「南北非武装地帯の地雷除去に向けた国際NGOシンポジウム」で、非武装地帯の地雷除去でNGOの経験を活用することを提案している=写真・平和分かち合い会提供//ハンギョレ新聞社

 「地雷が消えれば子どもたちが思いきり走り回る運動場ができます。人々が集まって住むまちが再び作られます」

 イラク、ソマリア、ラオスなどで地雷除去作業を行ってきた英国の非政府機構「ヘイロー・トラスト」のバロン・クムノバ戦略局長(42)は18日、「地雷除去は子どもたちの命を救う人道主義的活動」と述べた。ユーゴスラビアで生まれコソボ戦争の惨禍を見て地雷除去運動に飛び込んだ彼は、「南北が非武装地帯で進行中の地雷除去作業が成功するためには、国際社会の経験を活用する必要がある」と提案した。

 世界各地の紛争地域を回って地雷除去運動を繰り広げてきた国際非政府組織(NGO)の専門家たちが韓国を訪れた。同団体は延世大学で15日に行われた「南北非武装地帯の地雷除去に向けた国際NGOシンポジウム」を終え、16日に国防部を訪問した。1989年に創設されたヘイロー・トラストは、英国のヘンリー王子、米国の映画俳優アンジェリーナ・ジョリーなどが後援する世界的な地雷除去NGOだ。

 南北は「9・19軍事合意書」により、江原道鉄原(チョルウォン)の非武装地帯で遺体発掘のための地雷除去作業を行っている。非武装地帯には127万個にのぼる地雷が埋められているものと推算される。世界で最も多くの地雷が埋められた場所とされる。政府は地雷除去に天文学的な費用と時間がかかることを懸念している。非武装地帯を含む韓国全域に埋められた地雷を除去するのに1兆340億ウォンの費用と469年の時間がかかるという推定もある。

 しかし、クムノバ局長の考えは違う。彼は「国際社会が遵守する『国際地雷行動基準』(IMAS)に沿えば時間と費用を大幅に減らすことができる」と強調した。英国の「地雷アドバイスグループ」(MAG)は、国際地雷行動基準を適用する場合、非武装地帯の地雷を除去するのにわずか5年しかかからないと推定したという。「国連地雷活動機構」(UNMAS)が2001年に開発した国際地雷行動基準は、地雷除去活動の国際的な規範だ。地雷除去計画から完了まで段階別手続きを規定し、訓練プログラムや技術情報を提供する。

 クムノバ局長は「効率的な非武装地帯の地雷除去のためには、民間専門家の参加が不可欠だ」と助言した。韓国より先に地雷除去に乗り出した国々は、大半が民間専門家を積極的に活用したという。韓国は分断を理由に「対人地雷全面禁止条約」(オタワ条約)の加盟を留保し、地雷除去作業を軍が独占していると指摘する。

台湾陸軍司令部のリ・アンバン大佐(右)が今月15日、延世大学で開かれたシンポジウムで軍と民間の協力で進められた台湾金門島地雷除去の経験を紹介している。左はチャン・シンフィ台湾オックスファームプロジェクトマネージャー=平和分かち合い会提供//ハンギョレ新聞社

 台湾のケースが代表的な成功事例だ。台湾は2006年から国際地雷行動基準を導入し、民間専門家と協力して金門島の地雷を7年ですべて除去した。費用は8400万ドルに過ぎず、1人の負傷者も出ていない。台湾から200キロメートル離れた金門島は、1958年中国人民解放軍の無差別な砲撃を受けた。戦後は中国軍の上陸を防御するために地雷が集中的に埋められた。金門島から除去された地雷と不発弾は、約12万個にのぼる。台湾陸軍司令部のリ・アンバン大佐(49)は「軍と民間専門家らが2チームに分かれて作業を進めた」とし、「民間専門家の経験が大きく役立った」と述べた。

 緑色連合、江原道、京畿道、KOICAが共同主催した今回のシンポジウムの結果は、26~30日に開催される「第17回オタワ条約加盟国会議」で共有され、南北関係の改善と平和体制構築に向けた国際社会の意志を表明する予定だ。

ユ・ガンムン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/870694.html韓国語原文入力:2018-11-18 20:45
訳M.C

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