10年後、キム・ソンウ、キム・ペクチュン、イ・ビョンモ…
最側近が180度陳述を変え「李明博のもの」
李明博(イ・ミョンバク)元大統領の1審裁判を務めたソウル中央地裁刑事27部(裁判長チョン・ゲソン)が5日、「ダースは誰のものか」という国民皆の質問に「李明博が持ち主」という答を出した。22年間続いたあまりに長い「ダース実所有主論議」が、検察の捜査と裁判所の裁判を通じて整理された。
ダース実所有主論議が初めてふくらんだのは、1996年に遡る。その年、李元大統領は15代総選挙でソウル市鍾路区(チョンノグ)で出馬して再選に成功した。5カ月後、彼の秘書官だったキム・ユチャン氏が“ダース”の存在を初めて大衆の前に明らかにした。彼は当時「総選挙の時に使った世論調査費用など選挙資金は、大富機工(2003年ダースに社名変更)の資金から出た」と暴露した。その後、李元大統領は公職選挙法違反の疑いで起訴され、当選無効刑である罰金400万ウォンが確定した。だが当時、大富機工の代表理事だった長兄イ・サンウン氏は「弟に知らせずに個人的な関心で世論調査を依頼し、費用を支払った」と主張した。
李元大統領が「大統領選挙走者」に上がる契機になった2002年のソウル市長選挙過程でも、ダースの“助力”が注目された。当時、大富機工牙山(アサン)工場管理チーム長だったシン・ハクス氏(その後、大統領府民政1秘書官)が、その年の2月に選挙運動員を動員し李元大統領の本を配布して裁判に付された。シン氏は、ソウル市長出馬記者懇談会、インターネットホームページ管理、選挙事務室賃貸借契約締結などの業務を担当したが、月給は大富機工から受けていた。だが、当時大富機工の関係者らはあらかじめ口裏を合わせたように大富機工と選挙資金の関連性を否定する陳述で一貫し、裁判所は無罪を宣告した。
ダースがすべての国民の関心を集めることになったのは、李元大統領が2007年7月、ハンナラ党の大統領選候補選に出てきた時だ。朴槿恵(パク・クネ)ハンナラ党代表と血みどろの選挙になり、その過程でダース設立の資本金になったソウル市道谷洞(トゴクトン)の土地の実所有主問題が争点に浮上した。李元大統領は「道谷洞の土地がなんだって、BBKがなんだって。真っ赤な嘘です。どうせ当選するのだから李明博を確実に推してください」と訴えた。当時検察は「兄のイ・サンウン氏の持分は第三者のものである可能性があるが、それ以外は根拠がない」という曖昧な捜査結果を出した。
続く大統領選挙本戦でもBBK事件が起きて、ダースが論議の中心に浮上した。李元大統領は、在米同胞のキム・ギョンジュン氏と組んでLKeバンクを設立したが、ダースはBBKとLKeバンクを通じて190億ウォンを投資した。大統領選挙直前の2007年12月、検察は「BBKは李明博の所有ではない」 「ダースも李明博の所有と見るに足る証拠がない」として、事実上免罪符を与えた。
李元大統領の当選直後である2008年1月にスタートしたチョン・ホヨン特別検察官チームの再捜査も同じ結論を出した。「道谷洞の土地はキム・ジェソン、イ・サンウンの共同所有」であり「ダースの株式を李明博が借名所有した事実はない」と釘を刺した。チョン・ホヨン特検は、被疑者である李明博当時大統領当選者とともにテールスープを飲みながら“調査”をし、世論に袋叩きにされた。
李元大統領の任期の最後の年である2012年、内谷洞(ネゴクトン)私邸特検(イ・グァンボム)時にもダースが言及された。退任後に過ごす自宅用地としてソウル市内谷洞の土地を2011年初めに買ったが、購入資金を息子のイ・シヒョン氏と大統領府警護処が分けて出した。当時、特別な財産がなかったイ・シヒョン氏は「伯父(イ・サンウン)に6億ウォンを借りた」と釈明した。再び「ダースは李元大統領の借名会社」であり、6億ウォンもダースの秘密資金であるという疑惑が起こった。だが、私邸特検がダースの実所有主の有無までは明らかにできなかった。
このようにして20年余り続いて来た合理的容疑は、今年初めに“積弊清算”を要求して「ダースは誰のものか」を問う国民的質問が続き全く違う局面を迎えた。キム・ソンウ元ダース社長はもちろん、キム・ペクチュン元大統領府総務企画官、イ・ビョンモ清渓財団事務局長など「李明博の最側近」らが過去の自身の陳述を180度変え始めた。検察は、李元大統領に関連した“不正の貯水池”と判断したソウル迎浦ビルディングを押収捜索し、大統領在職時に大統領府がダースと関連して作成した報告書を確保した。
検察の捜査に対する意志も過去とは違っていた。検察は過去の自分たちの捜査結果を覆した。今回の検察の捜査結果を要約すればこうなる。
「李元大統領とダースの関係は33年前に始まった。1985年、李元大統領は、現代建設管理部長だったキム・ソンウにダースの設立を指示し、創業資金3億9600万ウォンも100%負担した。以後、大統領当選当時までダースの決算内訳、資金運用、大規模設備投資など主要懸案について常に報告を受け処理方向を指示した。息子のイ・シヒョン氏が、ダースに入社(2010年8月)した翌年の2011年1~2月からは、代表理事が主要懸案を決裁する前に息子の合意を経るようにするなど、後継構図まで緻密に準備した」
検察は今年4月、李元大統領を裁判に付して、起訴状にこのように書いた。「2008年の大統領任期開始前に最高裁(大法院)に訴訟が提起されていたならば、当選無効になりえた」