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[ニュース分析]ダースは誰のものなのか…5日、李元大統領の1審で明らかに

登録:2018-10-04 06:28 修正:2018-10-04 10:39
生中継される裁判の主な争点

ダースの所有主  
16件の容疑のうち7件が「ダース」関連  
背を向けた側近ら、口をそろえて「李明博所有」  
迎浦ビルPPP企画案も重要な証拠  
 
イ・ハクス元副会長の自白書  
ダースの米国訴訟費用67億ウォンを代納  
サムスン電子のイ会長の赦免見返りとして支援した情況  
収賄の疑いを裏付ける証拠  
 
イ・パルソン元会長の備忘録  
ウリィ金融会長になるため30億ウォンを支援  
公判証拠めぐりねつ造攻防も

ダース資金横領とサムスン賄賂収受などの容疑で起訴された李明博元大統領が9月6日、ソウル市瑞草区のソウル中央地裁で開かれた結審公判に出席するため護送車から降り法廷に向かっている//ハンギョレ新聞社//ハンギョレ新聞社

 5日午後2時、李明博(イ・ミョンバク)元大統領の1審判決公判が生中継される。彼に適用された容疑は16件だ。「ダースは誰のものか」という質問から出発した裁判は、サムスンのイ・ゴンヒ会長の赦免をめぐる取引や公職任命を見返りにした金品授受、国家情報院の特殊活動費の授受など収賄の容疑にまで広がった。検察は懲役20年と罰金150億ウォン(約15億円)、追徴金約111億ウォン(約11億円)を求刑した。5カ月にわたる1審裁判の主要な場面と主な争点をまとめる。

■背を向けた最側近

 「ダースの主要幹部が任命されるたびに、大統領の意向が反映された。大統領は一度もダースが自分の所有ではないと言ったことがない。所有者のように行動し、他の人もそう思っていた。私もそうだった」(イ・ビョンモ清渓財団事務局長)

 李元大統領をめぐる容疑16件のうち7件が自動車部品メーカー(株)ダースと関連している。検察は、李元大統領がダースの実質所有者という結論を下した。彼に適用された収賄容疑(約111億ウォン)の半分以上(67億ウォン)をサムスンによるダースの米国訴訟費用の代納が占めている。ダースの資金349億ウォン(約35億円)の横領と法人税31億ウォン(約3億円)申告漏れの疑いもある。

 ダースは誰のものなのか。「李明博の執事」や「李明博の金庫番」と呼ばれた李元大統領の最側近はいずれも「李明博のもの」だと口をそろえた。ダースのキム・ソンウ元社長やクォン・スンホ元専務、イ・ドンヒョン副社長(李元大統領の実兄イ・サンウン氏の息子)も、ダースの実質的な所有者は李元大統領だと供述した。

 彼らの供述によると、李元大統領はダースの設立資金を提供し、人事にも影響を及ぼした。周期的に経営状況の報告も受けた。ダース関連者は過去、イ元大統領のソウル市長時代の選挙キャンプなどに派遣されていた。キム・ユンオク夫人は10年間、ダースの法人カードを使用した。大統領府の職員たちもダース訴訟に関与した。「李元大統領はダースが自分のものでなければできない行動をしてきた」(チェ・スンワン元大統領府民政1秘書官室主任行政官)

 検察が今年1月、ソウル迎浦ビルに対する家宅捜索で確保した「PPP企画案」の文書も重要な証拠だ。チェ・スンワン元行政官が作成し、李元大統領に報告した「ポスト・プレジデント・プラン(Post President Plan)」は、李元前大統領がダースの実質的な所有者であることを前提に作成されたというのが検察の判断だ。同文書には「イ・サンウン会長が保有したダースの持分のうち5%をイ・シヒョン(李元大統領の息子)に相続又は贈与」や「イ・サンウン会長の持分5%を李明博元大統領財団に寄付」などの案が盛り込まれた。

■イ・ハクス元副会長の自白書

 「イ・ゴンヒ会長に報告した。『訴訟費用に関して、サムスンが助けてくれればと言われました』。イ会長は『大統領府に言われればやるしかないのではないか。支援しろ』と言った。当時、大統領を支援するのが会社にとって何かと良いと期待した。イ会長が赦免を受けるのに役立のではないかと思った」(イ・ハクス元サムスン電子副会長)

 7月10日の公判ではイ・ハクス元副会長の「自白書」が公開された。イ・ゴンヒ会長を赦免する見返りに、ダースの米国での訴訟費用67億ウォンを代わりに納付したという内容だ。「イ・ハクス自白書」は李元大統領のサムスン収賄容疑を裏付ける核心的な証拠だ。李元大統領は「赦免を見返りにサムスンから賄賂を受け取ったという控訴事実は衝撃であり、侮辱」だとして、強く否定した。

■イ・パルソン元会長の備忘録

 「李明博元大統領と縁を切って再び世を渡っていかなければならないと思うとつらい。私は彼に約30億ウォンを支援した」。「再び李明博に対する憎悪が湧いてくるのはなぜだろう」(イ・パルソン元ウリィ金融持株会長備忘録)

 8月7日の公判に証拠として公開されたイ・パルソン元会長の備忘録の内容は、李元大統領を窮地に追い込んだ。大統領当選直後の2008年1月から同年5月のウリィ金融持株会長選任まで、李元大統領とその一家に対するロビーにもかかわらず、望んでいた地位に就けず“挫折”した記録が、赤裸々に綴られているからだ。検察は、李元大統領がイ・パルソン元会長やキム・ソナム元議員など計5人に、公職任命の見返りに37億ウォン(約3億8千万円)に近いカネを受け取ったとみている。一方、李元大統領側は、備忘録が捏造されたものだと主張している。

コ・ハンソル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/864305.html韓国語原文入力:2018-10-03 20:10
訳H.J

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