2年7カ月ぶりに南側取材陣に姿を見せた開城(ケソン)工業団地は、昨日まで機械が回り週末を迎えたかのように見えた。ホテル、ガソリンスタンド、病院、コンビニ、韓国土地公社、韓国電力公社の建物も以前の姿そのままだった。ただし、新しい標識が一つ追加されていた。路肩に「共同連絡事務所」と書かれた立て札が立っていた。
南北を1年365日24時間連結する「南北共同連絡事務所」(以下、連絡事務所)の開所式が14日午前、開城工業団地で開かれた。チョ・ミョンギュン統一部長官とリ・ソングォン祖国平和統一委員会委員長はこの日「南北共同連絡事務所の構成・運営に関する合意書」に署名した。チョン・ヘソン統一部次官が南側連絡事務所長を、チョン・ジョンス祖平統副委員長が北側所長を務めることになった。統一部など関係部署が派遣した南側人材30人が連絡事務所に常駐し、必要ならばいつでも15~20人の北側関係者と南北関係全般について向かい合って協議できる。
この日開所式を終えた後、チョン次官と北側のチョン副委員長は、所長会議を開き、今後の連絡事務所の運営方向を協議した。チョン次官は「首脳会談合意内容の後続措置の履行過程で、連絡事務所が必要な作業をする」と明らかにした。南北は合意により所長会議を毎週一回開き、必要なら追加できる。
開所式に参加したシン・ハンヨン開城工業団地企業協会会長は「南北経済協力の信号弾と言える開城工業団地の正常化が遠からず実現するだろう」という期待とともに「開城工業団地が正常化され、開所式に(他の企業家たちと)皆一緒に来られたらどれほど良かったか」と物足りなさも表わした。彼は「施設は見たところ比較的よく整理整頓されていた」として「北側の話を聞いてみると(工業団地)内部も凍結破損を最小化するために冬に水を抜くなどの措置をしたという。安堵している」と話した。
連絡事務所建物の2階に上がると、開城工業団地が一望できた。「建物なのに、離散家族と対面する感じです」。開城工業団地を眺めた開所式参席者は、複雑で微妙な感情を感じたようだった。2年7カ月ぶりに工業団地を再び訪れたが、数時間後には再び南に帰り、いつまた来れるかも分からないからだ。
チョ・ミョンギュン統一部長官はこの日、記念演説で南北共同連絡事務所を「民族共同繁栄の産室」と表現し、南北当局者と専門家が、鉄道・道路▽山林分野での協力▽10・4首脳宣言履行方案▽新経済構想に対する共同研究を推進することを願うと話した。リ・ソングォン北朝鮮祖国平和統一委員会委員長も、南北共同連絡事務所の開所を祝って「南北関係で提起される問題を、早めに虚心坦壊に議論して、必要な対策を講じていくことができるようになった」と評価した。
開所式参席者たちは「共同連絡事務所がそれぞれ平壌とソウル駐在連絡代表部に発展しなければならない」(チョン・セヒョン元統一部長官)、「常時コミュニケーションの窓口が用意された。南北関係を制度化し、安定的関係を維持できるようになったことを意味する」(コ・ユファン東国大学教授)、「開城工業団地も早急に再開されることを願う。工業団地が再開されれば、さらに高い水準の平和が担保できる」(キム・ジンヒャン開城工業団地支援財団理事長)などの意見を出した。
この日の開所式は10時50分に始まり、20分間行なわれた。今年1月から始まった南北関係の進展を見せる経過映像には、平昌(ピョンチャン)冬季五輪、南北芸術団の公演、南北共同連絡事務所改善補修過程などがすべて入れられた。4・27南北首脳会談で文在寅大統領と金正恩委員長が手を取り合う場面が出てくると会場から拍手が起こった。事務所1階の玄関の表札には「共同連絡事務所」という文字が彫られ、建物の右上には「共同連絡事務所」と書かれた看板がついた。