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[ニュース分析]南北、朝米長官会談は不発でもスタンディング会議・親書外交で対話

登録:2018-08-05 21:54 修正:2018-08-06 07:04
シンガポールASEAN安保フォーラムの決算 
 
カン・ギョンファ外相、晩餐会場でリ・ヨンホ外相と対話 
ポンペオ-リも短い出会い持つ 
ソン・キム大使、北側にトランプ親書を伝達 
 
北朝鮮、EUなど11カ国と二者会談 
昨年に比べ外交の幅広がる
ソン・キム駐フィリピン米国大使(左)が4日、シンガポールで開かれたASEAN地域安保フォーラムでリ・ヨンホ北朝鮮外相にドナルド・トランプ米大統領から金正恩北朝鮮国務委員長に送る親書を渡している=シンガポール/ロイター

 第25回ASEAN地域安保フォーラム(ARF・以下フォーラム)の最大関心事である南北、朝米外交長官間の公式会談は実現しなかった。ただし、南北は「スタンディング略式会談」を、朝米は「(首脳間)親書外交」を通じて、膠着局面の中でも対話のひもを放さなかった。今回のフォーラムで、北朝鮮は昨年の四倍にあたる12カ国と二者会談をする“幅広い外交”を繰り広げ、南北、朝米首脳会談後に変化した情勢を実感させた。

 カン・ギョンファ韓国外相とリ・ヨンホ北朝鮮外相の出会いは、3日夕方に開かれたフォーラム前夜祭にあたる「分散晩餐」で行われた。この席でリ外相は「外相会談に応じる立場ではない」と話したという。5日(現地時間)シンガポール・フォーラム決算記者会見でカン外相は「(リ外相が)まだ外交当局が出る時期でないとの立場」を明らかにしたとしながらも、具体的な説明は避けた。6・12首脳会談の後、朝米が共同声明履行の方法と順序をめぐり激しい駆け引きをしている渦中であり、まだ北側の外交当局が主導する具体的交渉局面に進入できないという認識にともなう行動と解説される。国家安保戦略研究院のチョ・ソンニョル首席研究委員は「リ外相とカン外相は今まで非核化交渉の主体ではなかったので、公式会談をすることには負担がありうる」と指摘した。

 朝米間の「スタンディング外交」は4日午後、会議場でなされた。マイク・ポンペオ米国務長官は、記念撮影でリ外相に近付いて笑顔で挨拶を交わす場面を演出した。米国のソン・キム駐フィリピン大使が、李外相にドナルド・トランプ米大統領の金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長に送る親書を手渡す場面もメディアにリアルタイムで伝えられた。親書は、金委員長が最近トランプ大統領に送った2番目の書信に対する返信だった。ポンペオ長官は、ツイッターにリ外相と「丁重」で「短い」出会いを持ったとし、「私たちの代表団が金委員長の書簡に対する返信を伝える機会もあった」と公開した。正式な二者会談はなかったが、米国は「親書外交」など北朝鮮との接触事実を印象づけ「対話モメンタム」を続けようとしたと見られる。東国大のコ・ユファン教授は「初めからトップダウン方式であったため、下が(実務者が)ふらついても指導者レベルの信頼は依然として堅固だということを象徴的に見せる」と分析した。

 停滞を繰り返している朝米関係に対して米国は、フォーラムで対話の門を開いておきつつも北朝鮮に対する圧迫を継続した。ポンペオ長官は4日、記者会見で北朝鮮の非核化を「楽観している」としつつも「(今回の会議期間)北朝鮮の“最終的で完全に検証された北朝鮮の非核化”(FFVD)を実現するための外交・経済的対北朝鮮圧迫の重要性について強調した」と明らかにした。

 こうした中で、今回のフォーラムで北朝鮮の積極的外交折衝戦も目を引いた。リ外相は、3~4日に中国・タイ・ベトナム・ラオス・インドネシア・ミャンマー・フィリピン・欧州連合(EU)・ニュージーランドなど計12カ国と二者会談をした。中国、ロシア、フィリピン(議長国)の3カ国とのみ二者会談をした前回のフォーラムと対比される。今回のフォーラム演説で「社会主義経済建設総力集中」戦略路線の実現のために「いつにも増して朝鮮半島とその周辺の平和的環境を必要とする」と強調した李外相は、関連各国の協力と支援を訴えたと推定される。

 この他に、フォーラムを契機に南北米中は終戦宣言に関連した議論もした。カン・ギョンファ外相は「米国および中国と(終戦宣言に対する)相当な協議があった」と明らかにした。

シンガポール/キム・ジウン記者、ノ・ジウォン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/856313.html韓国語原文入力:2018-08-05 19:18
訳J.S

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