不合理な政治資金法
現役議員に有利な寄付金
選挙のための固定費用だけで数億ウォンなのに
国会議員は選挙時に3億ウォンの募金が可能
院外政治家や政治志望生には“絵にかいた餅”
巨大政党に集中する補助金
国庫補助の半分が交渉団体に配分される
昨年、共に民主党126億ウォン、正義党27億ウォン
群小政党には不利な構造
寄付金も、特定政党を指定できず
「結局金持ちだけが政治しろということか」
進歩政治の“スター”ノ・フェチャン正義党議員も、結局政治資金の“くびき”を逃れることができなかった。政界の内外では、現行の政治資金法について、「ノ・フェチャンすらも守れない法」という批判の声があがっている。政治資金法が規定している政党への国庫補助金や後援金募集などが、現役議員と巨大政党に絶対的に有利な構造であるため、少数政党や新人政治家、院外政治家の政界進出を阻む壁となっているという指摘だ。
■「現役との競争が困難な構造」
24日、政界関係者の発言を総合すると、韓国で政治活動を行っていくには、基本的に“高コスト”は避けられない。選挙区事務室や管理費用、人件費は基本で、さらに政策開発費や人に会う食事代、車両維持費、生活費などが必要だ。選挙を控えては、選挙名刺や横断幕、車両運行費、ショートメール送信費など、“すべて”が費用だ。ある与党議員補佐官は「選挙区に事務所を借りて職員を雇うためには、月1000万~1500万ウォン(約100万~150万円)の固定費用が必要だ。落選すれば自分の金で返済しなければならない」と話した。ノ・フェチャン議員がキム・ドンウォン(ペンネーム「ドゥルキング」)側のある弁護士から金銭を受け取った時期は2016年3月だ。「サムスンXファイルの暴露」に対する最高裁(大法院)の判決で、第19代議員職を失い、第20代総選挙を準備していた時期だった。
それでも、現役議員らは任期中、寄付金を集め、選挙費用を調達できる。政治資金法上、寄付金を募集できる資格は国会議員や国会議員予備候補、地方自治団体長候補、大統領候補及び予備候補などに限られる。地方議員や地方議員候補者は寄付金を集めることができない。国会議員予備候補は、総選挙120日前に予備候補登録を行うことができる。ある政界の関係者は「議員ではなく、政治志望生にも寄付金の窓口を開く必要がある。少なくとも選挙1年前からは地域の人々に会わなければならないが、(寄付金の募集を禁止して)それを阻むから、現役議員らに有利なゲームになる」と話した。
■巨大政党に集中する国家補助金
中央選挙管理委員会が政党に配分する国庫補助金と寄託金も巨大政党に集中するように設計された構造だ。現行の国庫補助金は、全体補助金の半分を交渉団体(20席以上)に優先的に配分された後、残りの50%を議席数と選挙の得票率によっていくつかの段階に差をつけて支給される。昨年、選挙管理委員会が7つの政党に支給した経常補助金421億ウォン(約41億3千万円)のうち、共に民主党と自由韓国党はそれぞれ126億ウォン(12億3千万円)ずつ受け取ったが、正義党には27億ウォン(約2億6500万円)が配られた。このため、少数政党は最初から不利なスタートラインに立たされると訴えている。正義党関係者は「公党として大韓民国のすべての懸案を把握し、計画を立てなければならない。国会議員の数は少なくとも党職員の数はあまり変わらない」と話した。
2016年、選挙管理委員会は交渉団体に政党補助金の総額の50%を優先支給する方式を廃止すべきとする政治資金法改正意見を国会に提出したが、巨大両党の反対に阻まれている。選挙管理委員会が政治資金寄付者の寄付を受けて、一定の要件を満たす政党に配分する「寄託金制度」も、政党補助金の配分と同様の基準が適用される。ソン・ヒョクジェ京幾市民社会フォーラム代表は「国民が選挙管理委員会に寄託金を送る際、政党を選べるようにして、国民の意思を反映しなければならない」と話した。
■政治資金法の“入口”をどれほど広げるべきか
現行の政治資金法において、国会議員は寄付金を年間1億5000万ウォン(約1470万円)を募金できる。選挙がある年は3億ウォン(約2950万円)まで集められる。法人や団体は寄付できない。個人が特定国会議員1人に寄付できる金額も最大500万ウォン(約50万円)までだ。2002年の違法大統領選挙資金をめぐる議論の末、「金権政治」をなくすため2004年に改正され、現在まで維持されている。これについても、政界では「米国など外国のように、企業や団体も政治家に寄付できるよう、規制を緩和する代わりに、使途の透明性を高めなければならない」という声も高まっている。しかし、政経癒着を防ぐためには、現行制度を維持しなければならないという意見もある。イム・ソンハク・ソウル市立大学教授は「政治資金法によって、過去に比べて政治環境がかなり改善された」としながらも、「ただし、予備候補資格期間や寄付金の金額などは調整する必要がある」と話した。