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「軍情報司令部、北朝鮮の海外レストラン従業員の集団脱北の初期過程に関与」

登録:2018-07-18 06:29 修正:2018-07-18 07:26
様々な消息筋「女性従業員など13人 
上海に行く際、情報司が支援  
朴槿恵政権時代の国情院が韓国入国させて収拾」 
政府、南北関係の及ぼす影響に困惑  
国防部・統一部「確認する事項はない」
北朝鮮の海外レストラン「柳京」の従業員たち=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)政権時代、情報機関が“企画”したという疑惑が膨らんでいる中国浙江省寧波にある北朝鮮レストラン「柳京」の支配人と12人の女性従業員が、レストランを離脱して韓国に来る初期過程に、国軍情報司令部(情報司)が関与した疑いが浮上している。これまで同事件に介入した疑惑が浮上した情報機関は国情院だけだったことから、朴槿恵政権時代に政府レベルで介入した疑惑に飛び火し、真相究明の声が大きくなる見込みだ。

 同事件の経過に詳しい複数の消息筋は「柳京のホ・ガンイル支配人と12人の女性従業員らが食堂を抜け出して上海に移動する過程は、国情院ではなく情報司が関与・支援したと聞いている」と話した。彼らは「国情院は彼ら13人が中国の上海からマレーシアに出国し、韓国に入国する過程に関与し、支援を行った」と付け加えた。彼らは「情報司から始まり、国情院が仕上げ・収拾をしたもの」だと話した。

 情報司は国防部の国防情報本部傘下の組織だ。情報司は国情院のように国外に正式に要員を派遣し、「ブラック」と呼ばれる秘密要員を派遣することもある。情報司は国情院と異なり、主に対北朝鮮関連活動を行う機関として知られる。

 柳京の従業員らによる「集団脱北」の初期過程に情報司が介入したという新たな疑惑が提起されたことと関連し、政府は極めて慎重な反応を示している。チェ・ヒョンス国防部報道官は17日の記者会見で「国防部としてはまだ申し上げることがない」とし、「脱北者問題の主務省庁である統一部に確認してほしい」と述べた。統一部当局者は「確認する事項がない」として固く口を閉ざした。この事案の重大さを考慮し、確認も否定もせず、具体的言及も避けるという内部方針に基づいた対応と見られる。

 疑惑の声が高まっている状況と関連し、政府側は困惑を隠せない様子だ。真相を究明すれば、直ちに“答え”が出てくる問題ではないからだ。朴槿恵政権の“問題”とは別に、首脳会談後の南北当局の関係に及ぼす影響や、何より韓国にいる女性従業員ら12人と北側にいる彼女らの家族の人権にかかわる問題だ。この事案に詳しいある関係者は「何より重要なのは、女性従業員ら(と彼女らの家族)の人権や選択」だとし、「韓国社会が深い知恵を発揮すべき事案」だと話した。

 これに先立ち、トーマス・オヘア・キンタナ国連北朝鮮人権特別報告者は10日の記者会見で、韓国政府に「徹底して独立的な真相究明」と「責任者の究明」を勧告しながらも、「何よりも被害者らの決定が尊重されなければならない」と強調した。キンタナ報告者はさらに、「南北間の持続的な対話を通じて、この問題を解決するのが適切だと思う」と付け加えた。

 北朝鮮側はこれまで「朝鮮赤十字会中央委員会スポークスマン」(5月19日)や「朝鮮中央通信」の論評などを通じて、同事件を「集団誘引・拉致犯罪」と規定し、送還を求めてきた。しかし、南北高官級会談や赤十字会談などの公式当局会談ではまだ深刻なイシューとして提起していないという。

イ・ジェフン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/853710.html韓国語原文入力:2018-07-17 21:08
訳H.J

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