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“拷問捜査官”裁判の傍聴に来た被害者たち「謝罪を聞きたかった」

登録:2018-03-15 22:41 修正:2018-03-16 10:09
「在日同胞スパイねつ造事件」被害者ユン・ジョンホン氏 
自身の再審裁判で「拷問していない」と偽証した 
元保安司捜査官の裁判傍聴に日本から来た 
「なぜ拷問したのか…罪の代価を払って欲しい」 
元捜査官「今回謝ろうと考えていた、申し訳ありません」
ユン・ジョンホン氏が15日、自身の再審裁判に証人として出てきて「拷問していない」と虚偽の証言をした容疑で起訴された元国軍保安司令部捜査官の裁判を聞くために裁判所を訪れた=キム・ミンギョン記者//ハンギョレ新聞社

 「一度も私や他の被害者に謝ったことがありません。私は当然、被害者に謝り犯した罪に対する代価を払うべきだと思います」

 15日昼、ソウル中央地裁501号法廷に「在日同胞スパイねつ造事件」の拷問被害者であるユン・ジョンホン氏(65)が立った。ユン氏は、自身の再審裁判に証人として出てきて「拷問していない」と偽証した容疑で起訴された元国軍保安司令部(保安司・現、機務司令部)の捜査官、コ・ビョンチョン氏(79)の裁判を見るために韓国を訪れた。

 ソウル中央地裁刑事19単独イ・ソンウン判事の審理でこの日開かれたコ氏の二回目の裁判で、ユン氏は被害者として発言する機会を得た。ユン氏は「私の事件は30年前に起きたことですが、再審の過程で被告人は検察側証人として出てきて、すべてについて「していない、知らなかった」として嘘をつき続けました。私だけでなく他の被害者も数人いて、このまま見過ごせないと考え告訴することにしました」と話した。続けて「保安司が今までそのような事(拷問)を多くしてきたのに、こうした裁判を受けることになったのはこの人が初めてのようです。これまで法廷で否認して嘘をついてきましたが、一度も私や他の被害者に謝ったことはありません。私は当然、被害者に謝り犯した罪に対する代価を払うべきだと思います」とユン氏は淡々と話を繋いでいった。耳がよく聞こえないコ氏は、左耳に手を添えてユン氏の話に聴き入った。

 コ氏の弁護人はこの日、検事側のすべての証拠に同意し容疑についても自白した。在日同胞留学生からスパイを探し出すという保安司の「捜査根源発掘計画」により、コ氏が属した捜査2係は、1982年11月にイ・ジョンス氏と1984年8月にユン・ジョンホン氏を令状もなく連行した。保安司捜査官は二人に対し、スパイの疑いを自白しろと言い、鉄椅子に座らせ棒で殴ったり、鼻に水を注ぎ込み、エレベーター拷問を加えた。スパイの濡れ衣を着せられたユン氏は再審を請求したが、コ氏は2010年12月ユン氏の再審裁判に証人として出てきて「殴打や脅迫など苛酷行為をした事実はありませんか?」という検事の質問に「はい」と答えた。再審で無罪判決を受けたものの、コ氏を忘れられなかったユン氏は、2012年に偽証の疑いでソウル中央地検にコ氏を告訴し、検察は偽証罪の公訴時効である7年(2017年12月15日)を2日後に控えた昨年12月13日にようやく起訴した。

 裁判が終わった後、法廷の外でユン氏はコ氏と会った。「謝ってください」というユン氏に対してコ氏は「今回謝ろうと考えていました。申し訳ありませんでした」という言葉を残して裁判所を出て行った。「ユン氏を覚えているか」という記者たちの質問に対し、コ氏は「裁判で会って思い出した」と答え、残りは次回に話すとして言葉をひかえた。ユン氏は「謝罪の一言を聞こうと日本から来た。どうして私を拷問したのかもはっきり訊きたい。謝罪をしても、厳重な処罰を受けて欲しい」と話した。

キム・ミンギョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/836223.html韓国語原文入力:2018-03-15 15:12
訳J.S

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