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「暴行・脅迫による強制」が罪の判断基準…加害者が「強要なかった」言い張る理由に

登録:2018-03-08 07:34 修正:2018-03-08 09:08
時代遅れの強姦罪判断 
 
加害者の暴行・脅迫が深刻だったり 
被害者の強い抵抗・逃亡のときにのみ限定 
裁判所が構成要件を厳しく解釈してきたために 
昨年の相談124件のうち15件のみが該当 
 
カナダは積極的同意があるかどうかが基準 
独では「被害者が嫌だったら性暴力」
ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 「性関係に強要はありませんでした」

 「#Me Too」運動が本格化した後、被害者の性暴力の証言に直面した加害者の典型的な最初の反応の一つだ。性関係はあったが、合意や同意があったということだ。なぜ加害者たちは一様に「強要はなかった」ことを強調するのだろうか。

 現行の刑法および性暴力犯罪の処罰などに関する特例法は、性的暴行(強姦)を「暴行・脅迫」による強制的性関係と規定している。そして裁判所はこの暴行・脅迫を判断する基準を、加害者が深刻な水準の暴行・脅迫をしたり▽被害者が強く抵抗または逃げた場合などに厳格に限定して提示している。Me Too運動を通じて加害者として名指しされた人々が、「暴行・脅迫」はなかったと主張するのはこのような理由からだ。

 実際、韓国性暴力相談所が昨年届け出を受けた性的暴行被害の相談事例を分析した結果、半分ほどは現在の基準では強姦罪での処罰が難しいケースだと分かった。性的暴行被害の相談事例124件のうち、「強姦罪」疑惑が認められる条件を備えたケースは15件(12.1%)にすぎないことが分かった。拒絶の意思を表したが厳格な意味の条件を満たしていない事例は半分に近い54件(43.5%)に達した。残りの55件(44.3%)は、相談内容だけでは判断し難いケースだった。

 暴行や物理的な強圧が伴ってはじめて「性的暴行」に認定する厳格な法的基準と判例のために、望まない性関係は性的暴行だとみなす被害者の認識とは大きなギャップを見せている。このため、一部では法を変えたり裁判所の解釈範囲を広げることで、性的暴行の判断基準を「自由な合意や同意のない」性関係に拡張しなければならないという指摘が出ている。

 性暴力相談所のイ・ミギョン所長は「合意または同意の不在を性的暴行の判断基準とするようになれば、現在暴行・脅迫の有無や被害者の抵抗に集中している捜査の枠組みが、加害者が被害者に明示的な同意を受けたかどうかに変わり、実質的な加害者に対する捜査に集中させることができる」とし、「これは性的自己決定権の侵害を禁止する方向に社会規範が定着するきっかけもなりうる」と強調した。

 ソウル中央地裁のある判事は「これまで裁判所も性犯罪の構成要件を過度に厳格に解釈してきた傾向がある」とし、「当時の状況と被害者と加害者の関係を脈絡的に考慮し、強く抵抗しなかったとしても被害者が性的自己決定権を行使できなかった理由を判断しなければならない」と話した。

 このように相手が「同意」したか否かを性暴力の基準とするのは、世界的な流れでもある。韓国性暴力相談所によると、カナダの裁判所は2016年「デート性的暴行」で起訴されたムスタファ・ウルヤ事件で、性的暴行の基準として「積極的合意」を掲げた。当時の判決は「積極的合意とは、性行為に参加することに対する積極的で、意識的で、自発的な同意であり、沈黙や抵抗がなかったことを同意と解釈してはならない」と性的暴行基準を広く解釈した。ドイツでは2016年、ケルン広場で起きた集団性暴力事件をきっかけに法が改正され、被害者の内外的意思表現が「嫌だ」という側なら同意のない性暴力と規定している。

シン・ジミン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/835115.html韓国語原文入力:2018-03-08 05:01
訳M.C

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