18日にも、検察の刃先は揺るがなかった。2日前に拘束されたキム・ジンモ元大統領府民政2秘書官を呼んで調査するなど、「政治報復捜査」という李明博(イ・ミョンバク)元大統領側の激しい反発にもかかわらず、捜査に拍車をかけている。現在、李元大統領関連の捜査は、国家情報院特殊活動費の上納事件の他にも、ダースの実所有者関連疑惑や国情院・サイバー司令部の選挙・政治介入疑惑など三つの方向から進められている。特に特活費の上納とダース関連の捜査で、李元大統領の最側近が相次いで口を割り始めており、捜査も活気を帯びている。
背を向き始めた「李明博マン」たち
ソウル中央地検特殊2部(部長ソン・ギョンホ)は、国情院特活費が誰の指示で「李明博大統領府」に渡され、このカネどのように使われたのかを集中的に追跡している。捜査は李元大統領の足元まで迫っている。キム・ベクジュン元総務企画官やキム・ジンモ元民政2秘書官、キム・ヒジュン元第1付属室長など3人が特活費を受け取った時期と目的は異なるが、三つの事案すべてに李元大統領が関与した可能性がある。
検察は「2011年10月、国情院特活費をドルに換えて10万ドル(1億ウォン)程度を李元大統領側に渡した」という趣旨のキム元付属室長の供述をもとに、最近、キム・ジェイン元国政広報秘書官を召喚して調査した。当時、李元大統領の米国訪問に同行したキム元秘書官を相手にこのカネを誰がどのように使ったのか確認しようとするものだ。
キム元企画管が国情院から二回にわたり合わせて4億ウォン(約4100万円)を受け取ったことと関連しても、検察はキム・ジュソン元企画調整室長の供述を重要視している。「2008年に2億ウォン(約2千万円)を渡してから、また上納を要求したため、李元大統領と面会して問題になる恐れがあると言った」という彼の供述と、この単独面会を取り持ったリュ・ウイク元秘書室長の供述が一致するからだ。
キム・ジンモ元秘書官が国情院から受け取った5000万ウォン(約500万円)が、民間人査察暴露公務員の“口止め料”に使用された事実も、李元大統領に報告された可能性がある。当時の民間人査察事件は大統領府でも焦眉の関心事だった。
ダースが「決定打になる」との見通しも
検察内外では、特活費よりも自動車部品会社「ダース」の捜査がむしろ李元大統領を縛り付ける“決定打”になるだろと予想する人が多い。ソウル中央地検先端犯罪捜査1部(部長シン・ボンス)は最近、キム・ソンウ元ダース代表から李元大統領の指示でダースの前身である「テブ機工」を設立し、その後も関連の指示を受けたという供述を確保したという。金元代表が2007~2008年に検察と特検の捜査当時、李元大統領と無関係だという自分の供述が間違っていたことを認めるほど捜査に協力的な点も、李元大統領には命取りになりかねない。ダースがBBKへの投資金140億ウォン(約14億5千万円)を回収する過程で、大統領府が介入したという疑惑の全貌が明らかになるのも時間の問題だという分析もある。
ウォン・セフン元国情院長の“口”に注目
国情院と軍政治介入事件で注目される人はウォン・セフン元院長だ。昨年8月、懲役4年を言い渡されて服役中のウォン元院長は、民間人サイバー外郭組織に国情院の予算65億ウォン(約6億7千万円)を使った疑い(特定犯罪加重処罰法上の国庫損失)とキム・ジェチョル元MBC(文化放送)社長と共謀し、公営放送掌握計画を立ててこれを実行した疑い(国情院法上の職権乱用及び業務妨害)などで追加起訴された。今回、国情院特活費上納の疑いまで追加されることもありうる。検察出身のある弁護士は「ウォン元院長がすべてを一人で抱えて行けるかは疑問」だと話した。