これから火災時に消防車の通行を妨げる車は強制的に除去・移動される。特に、違法駐車された車は強制移動される過程で生じた破損については補償を受けられないことになる。
消防庁は今後、消防車の緊急出動を妨害する位置に駐・停車された車両を積極的に除去することにしたと7日、発表した。特に、違法駐車して消防車の通行と消防活動を妨げた場合は損失補償もしないことにした。これは昨年12月21日、忠清北道提川(チェチョン)火災の際、違法駐車された車が火災の鎮圧や救助に大きな支障を来したことがきっかけとなった。堤川火災当時、消防装備の通行を妨げた違法駐車車両は20台以上に達した。外国では違法駐車で消防活動を妨害する車両は消防車で押したり、車両の窓ガラスを割って移動させることまで認められている。
このような処置は改正された消防基本法が施行される6月27日から本格的に施行される見込みだ。既存の消防基本法第25条3項も、緊急出動に妨げになる車を除去・移動させことができるように定めているが、これによって車両が毀損された場合、民事・刑事上の責任をめぐり問題になることが多かった。このため、今回改正された消防基本法第49条2項では違法駐・停車された車については、原則的に損失補償義務を負わないように規定した。消防庁は改正された消防法を施行するに先立ち、消防道路における違法駐・停車の取り締まりも強化することにした。
しかし、実際、消防士が火災の際、違法駐車された車を強制的に移動させて車が損傷された場合、問題になる可能性は残る。全国の駐車場の普及率はまだ94%であるうえ、都市の駐車場は新築されたマンションや商業・業務施設に集中されているからだ。駐車場が不足するため、違法駐車せざるを得ない古いマンションや住宅街では反発が起きる恐れがある。さらに、住宅街の駐車場の不足は車庫証明制の放棄など政府政策の失敗とも関連がある。
慶ミン大学のイ・ヨンジェ消防安全管理科教授は、「消防活動中に毀損された車両の所有者と紛争が起きるのは目に見えている。これは違法駐車の取り締まりでは解決できない。中長期的に各地域に必要なレベルの駐車場を確保しなければならない」と話した。