29人の命を奪った忠清北道提川(チェチョン)の火災の惨事の原因の一つは、ソウルなど大都市と堤川など中小都市の間の消防力の格差であることが分かった。特に、申告を受けてから最初に現場に出動する「先着隊」の人員が、堤川消防署はソウル消防署の半分の水準と表れた。
25日の消防庁の資料によると、申告後5分以内に現場に到着しなければならない消防署先着隊(優先到着隊)の人員は、2016年末基準でソウルの24カ所の消防署の平均は車両15台、隊員44人だが、堤川消防署は11台23人だった。車両は堤川がソウルの73.3%で、隊員は52.3%に過ぎなかった。広域市の平均は15台34人、広域道の平均は12台24人で、農漁村などが含まれた広域道が大都市中心である広域市より隊員が10人も不足していた。
今回の堤川の火事の際、堤川消防署の先着隊(車両11台23人)は実際に指揮車1台4人、消防車2台6人、救急車1台3人など車両4台、隊員13人に過ぎなかった。この数には現場に出動するが火災鎮圧、救助などに投入できない義務消防隊員1名、公益勤務要員1人など2人が含まれていた。現場に出動した隊員らは、初期に火災の鎮圧やガスタンク爆発防止などに集中するため、2階の窓ガラスを割るなど積極的な人命救助を行うことができなかったと、堤川消防署側は説明する。当時、現場人員が不足して堤川消防署は3交代で勤務する全職員の非常召集を命令した。このような状況にもかかわらず、忠清北道は今年下半期に消防官の採用計画人数90人のうち70人のみを採用した。
特に、堤川の火災の時に絶対的に必要だった救助隊の場合、堤川消防署は車両2台、隊員4人で、2台7人のソウル24カ所の消防署の平均より隊員数が3人も少なかった。このように救助隊員が不足して、21日に火災が起きた建物の8階の手すりに避難した市民を救助隊員ではなく堤川消防署内勤行政チーム長がはしご車に乗って上がり救助した。堤川(13万6500人)とソウル(消防署1社当たり42万人)の差を考慮しても、一定規模以上の火災が起きる場合は堤川のような中小都市では現地の消防隊員・装備ではしのぎ難い状況だ。
消防隊と救急隊が含まれた119安全センターの法廷隊員基準もチーム当たり23人、全体69人(3チーム)だが、ソウルの平均はチーム当たり22人、全体66人で基準に近く、提川は10人・30人で半分にも及ばなかった。広域市の平均は16人・48人、広域道は11人・33人で、やはり広域道の隊員がはるかに不足していた。
特に、提川は忠清北道の中でも他の地域よりも救助隊員や救急隊員の数が不足していたことがわかった。忠清北道の消防署の救助隊員不足率は基準に比べて平均36%だったが、提川は53.6%で、救急隊員不足率も忠清北道の平均は13.8%だが、提川は33.3%だった。
この他にも、堤川と同じ地域の中小都市では消防署と安全センターの管轄地域が広く、出動と周辺の消防署の支援にも困難を強いられている。例えば、堤川消防署の管轄面積は883平方キロメートルでソウル消防署(25平方キロ)の35倍であり、安全センターの管轄面積も提川は294平方キロメートルでソウル(5.2平方キロ)の56倍だ。ソウルには24の消防署があるため、大型災難が出た場合近く消防署が相対的に速やかに支援することができる。
キム・チュンシク消防庁報道官は「地域別消防サービスの格差を減らすため、これからは大都会より消防隊員が不足している中小都市や農村・漁村に優先的に人員を充員する計画」だと明らかにした。政府は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の公約によって、2018~2022年不足している消防隊員1万9254人のうち1万8500人を充員する計画だ。
秋美愛(チュ・ミエ)共に民主党代表は25日、堤川の火災惨事現場を訪問し、消防隊員と装備の拡充を強調した。秋代表は「被害が非常に大きかった。消防装備と消防隊員が適切に投入されていたら、という悔しさが残る」とし、「現場に入ることができる救助要員が4人だけだという。専門消防隊員を拡充し、その消防隊員たちが地道に技量を育てなければならない。装備の補強も急がれる」と話した。洪準杓(ホン・ジュンピョ)自由韓国党代表もこの日午前に火災現場を訪れ、「国会で堤川の惨事の原因と責任、対策を徹底的に追及し、二度とこのような惨事が起こらないようにする」と述べた。