朴槿恵(パク・クネ)前大統領(65)が当選してからちょうど4年になった昨年12月19日から、1年を忙しく駆け続けた“影の実力者”チェ・スンシル氏(61)の1審裁判が14日、幕を下ろした。裁判部の宣告公判は遅くとも1月中旬には開かれる見込みだ。昨年10月31日、検察召喚の時に初めて公開的に姿を現わし「死に値する罪を犯した」と泣いて訴えたチェ氏はこの日、法廷で「くやしい」という趣旨の最後の言葉を残した。
ソウル中央地裁刑事22部(裁判長キム・セユン)審理でこの日開かれた結審公判で、検察とパク・ヨンス特別検察官チームはチェ氏を「国政壟断事態の始まりと終わりであり、憲政史上初めて大統領が弾劾された国家危機事態の張本人」と規定し、懲役25年と1185億ウォン(約123億円)の罰金、77億9735万ウォン(約8億円)の追徴を宣告してほしいと裁判部に要請した。検察はまた、アン・ジョンボム元大統領府政策調整首席秘書官(58)には「政務職公務員として(自身の)地位を強固にする目的で朴前大統領とチェ氏の私益追求に協力した」として、懲役6年と罰金1億ウォン(約1030万円)、わいろとして受け取ったカバン2点の没収と追徴金4290万ウォン(約444万円)を求刑した。辛東彬(シン・ドンビン、日本名:重光昭夫)ロッテグループ会長(62)には「政経癒着の積弊をチャンスとみなし、憲法の価値を崩した」として、懲役4年と追徴金70億ウォン(約7億円)を宣告してほしいと裁判部に要請した。
特検チームのチャン・ソンウク特別検察官補はこの日、裁判で「政治権力と資本権力の隠密で不道徳な癒着と、これを十分に活用した影の実力者の貪欲さと悪行が事件の実体」として「チェ氏は裁判で一貫して疑惑を否認し、特検と検察を非難したことは実に厚顔無恥だ」と批判した。SKとロッテのわいろおよび職権乱用などの事件を受け持った検察も「チェ氏は企業の懸案を利用して、天文学的な利益を享有するなど、軍事政権や権威主義政権の積弊をそのまま踏襲した」として、厳しい処罰が必要と強調した。
一方、チェ氏側のイ・ギョンジェ弁護士は“国政壟断”事件を「一部政派と政治検事らが朴槿恵政府の退陣を目的に事実関係を脚色し歪曲した、仕組まれた疑惑事件」と規定して、「チェ氏に実際に過ちがあったとしても、弾劾や拘束起訴される事案ではない。25年の求刑は獄死しろという話」と主張した。
検察が求刑論告を読む間、かすかに笑みを浮かべていたチェ氏は、イ弁護士が最終弁論を始めると感情が激昂した姿を見せた。顔が赤くなり、拳で胸を強く押した。結局、裁判は二度中断され、チェ氏は休廷時間に控室で奇声を上げもした。
1月頃に予想されるチェ氏に対する宣告は、朴前大統領の裁判結果の“予告篇”になると見られる。チェ氏の18の疑惑のうち、11個が重なるためだ。すでに共犯に対する1審の判断が出され、結果が予測可能な事件もある。サムスン・グランドコリアレジャーに対する韓国冬季スポーツ英才センターに対する支援の強要、KT広告受注の強要などの疑惑は、共犯である姪のチャン・シホ氏とチャ・ウンテク氏などが裁判で有罪と認定された。433億ウォン(約45億円)のわいろ供与者と見られているサムスン電子のイ・ジェヨン副会長も1審で一部有罪を宣告された。
これとは別に、チェ氏は娘のチョン・ユラ氏の梨花女子大入学・学士不正等の事件で、控訴審で懲役3年を宣告され最高裁(大法院)の判断を待っている。