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“非婚同棲家族”の51%が差別・偏見でつらい経験

登録:2017-01-30 23:56 修正:2017-01-31 18:04
保健社会研究院による同棲経験者253人の実態調査 
「政府の恩恵・福祉から除外された」45% 
婚姻申告しないと幸福住宅入居の資格なし 
配偶者が健康を害しても診療相談できず 

同棲公開は6.3%、妊娠計画は4.7%のみ 
「新しい家族と認定し同棲の届出制の導入を 
健康保険の被扶養者・住居支援案など必要」
愛し合う若いカップル//ハンギョレ新聞社

 「新婚夫婦のための幸福(公共)住宅を申請するためには、制約が多いんですよ。結婚式の招待状がなければならないと言うが、そのために結婚することもできないので…」(41歳男性・同棲中)

 「(同棲男性が)あまりにもお酒を飲むので、アルコール中毒なのか確認して相談を受けてみようと精神科を訪ねたが、そこで同棲夫婦はだめだと言われました」(23歳女性・現在未婚の母)

 非婚同棲家族(同棲カップル)の半分以上が同棲による差別を経験したことがあり、社会的偏見などのために同棲の事実を完全に公開しているケースは10人に1人にも満たないことが分かった。同棲を新しい家族の形として受け入れ、さらに婚姻届のように同棲届出をする制度的支援の模索が必要だという提案が出ている。

同棲の事実を公開しない理由//ハンギョレ新聞社

 30日、韓国保健社会研究院のピョン・スジョン研究委員チームが出した研究報告書「多様な家族の出産および子育ての実態から見た政策課題ー非婚同棲家族を中心に」によると、2000年以降同棲したことがあったり、現在同棲中の253人(満18~49歳)を対象に昨年実施した実態調査で、51%が他人の否定的な偏見や良くない見方などで差別を受けたことがあると回答した。このうち、性的に乱れて非道徳的であったり責任感のない人と見るなど、否定的な見方をされた経験が70%に達した。

 また、全体の45.1%は具体的に政府の恩恵やサービスで差別を経験したと答えた。「受けることができる恩恵から、婚姻届をした夫婦でないという理由で除外された」や(34.2%)、「社会サービス利用に限界があった」(31.6%)との回答が最も多かった。14人に対する深層インタビューで、同棲中の34歳の男性は「彼女の会社には社内福祉制度があるが、家族単位でのみ恩恵を受けられるため(結婚をしていない状況なので)残念がっていた」と話した。

 これによって88.6%は韓国社会が同棲家族に対して好意的でないと見ており、みんなに同棲の事実を公開したケースも全体の6.3%に止まった。現在同棲中の32歳の女性は「両親が家に来るというと、彼氏の荷物を全部まとめて片付けるのだが、そのたびに窮屈な気持ちになる」と話した。同棲の事実を公開していない人々の48.5%は「他の人たちがよくないと思ったり偏見を持って見そうで」そうしたと答えた。

政府の恩恵およびサービスなどでの差別経験の内容//ハンギョレ新聞社

 報告書に書かれた国民に対する認識調査の結果(昨年8月、満18~64歳の1013人対象)でも、同棲家族に対する非好意的な認識が伺えた。結婚を前提にした同棲については64.4%が賛成したが、結婚を前提としない同棲に対する賛成は53.2%だった。「結婚しなくても子どもを持つことができる」という見解については69.3%が反対した。全体の56.9%は同棲夫婦に対する支援や恩恵が婚姻届をした夫婦より少なくあるべきだと明らかにした。

 同棲家族で出産や子育てはほぼ行われていないものとみられる。同棲の経験者に対する実態調査で、出産経験のある人は全体の6.7%に止まった。また、婚姻届をせず同棲中に妊娠・出産の計画があるとした人も4.7%だけだ。実際、韓国の婚外出産の割合は1.9%で、経済協力開発機構(OECD)国家の平均40.5%(2014年基準)を大きく下回るだけでなく、最下位の水準だ。

 今回の報告書は、韓国の非婚同棲家族の実態を知ることができる統計調査や研究がほとんど行われていない状況で、国策研究機関が出した研究として注目される。ピョン・スジョン研究委員は「同棲家族に対する偏見を減らし、家族の類型の一つとして受け入れる社会の雰囲気が作られるべきだ」とし、「同棲届を出せるようにし、一定の要件を備えた同棲家族に対する非常時の手術の同意、健康保険の被扶養者登録、住居支援の恩恵などを付与する案を積極的に検討できるだろう」と提案した。

 今回の実態調査でも同棲経験者の72%が婚姻届をした夫婦と同じような保護を受けられる同棲関連制度の導入に賛成した。フランスの場合、1999年に同棲カップルの権利を保障する市民連帯契約(PACS)を導入し、法律婚関係の夫婦と同じ税制や社会保障の恩恵を受けられるようにしている。韓国政府は2015年末、「第3次少子高齢社会基本計画」を発表し、非婚同棲家族に対する社会・制度的差別の改善を推進すると明らかにしている。

ファンボ・ヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/780630.html 韓国語原文入力:2017-01-30 20:59
訳M.C(2084字)

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