「女性という理由で殺害されるなら、この街の私も偶然生きているだけ」
18日、ソウル江南(カンナム)駅10番出口に菊の花が置かれ、数百枚のポストイットのメッセージが貼り出された。ポストイットには、前日未明に江南駅近くのビルのトイレで見知らぬ男に殺害された20代の女性を追悼するメモが書き込まれていた。
同日のポストイットによる追悼は、「通り魔殺人」とマスコミに報道された事件が明白な「女性嫌悪犯罪」という事実を喚起させた一人のネットユーザーの提案から始まった。17日、30代男のキム容疑者が「社会生活で女性に無視された」という理由から見知らぬ女性をナイフで刺して殺害した事件が、通り魔殺人という見出しで報じられた。報道に接したあるネットユーザーは「江南駅殺人事件の公論化」(@0517am1)というツイッターアカウントを設け、「女性暴力・殺害には社会が答えなければならない」とし、「江南駅10番出口に一輪の菊の花とメモ1枚を書き込み被害者を追悼しよう」というメッセージを投稿した。このメッセージは18日までに6200回以上リツウィートされるなどSNSを通じて直ちに伝わり、同日、江南駅には女性嫌悪犯罪被害者を哀悼する市民たちが絶えなかった。
ネットユーザーたちは単純な哀悼の意を超え、女性嫌悪犯罪に対する警戒心を訴えるためオン・オフラインで行動に乗り出す動きを見せている。フェイスブックのページ「MERSギャラリー貯蔵所3」は、この事件はマスコミで報じられた通り魔殺人事件ではなく、女性嫌悪犯罪であることを知らせるという意味で、同日午後5~6時に「江南殺人男」と検索し、ネイバーのリアルタイム検索語に載せようと提案した。また別のネットユーザーは、21日夕方に江南大路で「女性嫌悪犯罪追悼」キャンドル集会を開こうと提案した。
「女性に無視され犯行に及んだ」というキム容疑者の供述が伝わり世論の関心を高まっているが、本当に女性嫌悪を理由とした殺人だったのか追加の確認が必要だ。今回の事件を捜査中のソウル瑞草警察署は同日、「容疑者は2008年から精神分裂症やパニック障害などで4回入院した記録がある」、「周知のとおり、通り魔殺人や女性嫌悪殺人と言い切るのは(まだ)難しい」と明らかにした。この日、警察はキム容疑者に殺人の疑いで逮捕状を申請した。キム容疑者に対する令状実質審査は19日にソウル中央地裁で行われる予定だ。
コ・ハンソル、パク・スジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2016-05-18 21:45