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国定教科書の「1948年建国」は抗日・臨時政府の否定

登録:2015-11-09 01:13 修正:2015-11-09 06:18
背景にあるのは「親日附逆」の隠蔽か

 「大韓民国は『政府樹立』とし、北朝鮮は『朝鮮民主主義人民共和国樹立』と記述した歴史教科書があります。 大韓民国はあたかも国家ではなく政府団体が組織されただけのように意味を縮小する一方で、北朝鮮は“政権樹立”ではなく“国家樹立”として建国の意味を大きく付与して、むしろ北朝鮮に国家正統性があるかのように意味を歪曲伝達しています」

 黄教案(ファン・ギョアン)首相が3日、「歴史教科書国定化告示」の記者会見でした話だ。 国定教科書の編纂基準は今月末に発表される予定だが、1948年8月15日を「大韓民国政府樹立」ではなく「大韓民国樹立」と表記することは、学界の反発にもかかわらずすでに教育部が9月の「2015年教育課程」告示の時に確定した事案だ。 それでもこの日、黄首相が再びこの問題を持ち出して「1948年8月15日建国節」を推進するのではないかという論議が起きると、教育部は6日、「国定教科書で『建国節』という表現は使わない」と弁明した。 現行「祝日に関する法律」に規定がないため、教科書に建国節を使うことはできない。 だが、ニューライト勢力が2000年代に入り建国節主張を拡大再生産し、李明博(イ・ミョンバク)・朴槿恵(パク・クネ)大統領もまた、光復節祝辞で「建国」に言及し、事実上建国節と大韓民国樹立は“異音同義語”になってしまった。

憲法価値との衝突憂慮
「3・1運動で大韓民国を建設し…」
「3・1運動で建設された臨時政府の法統継承」
制憲憲法・現行憲法の一貫した規定

1948年8月15日大韓民国政府樹立の根拠 //ハンギョレ新聞社

 このような背景のために主流歴史学界では「大韓民国樹立」という表現が、北朝鮮の代わりに韓国が継承した大韓民国臨時政府の“法的正統性”を朴槿恵政権が自ら否定する措置であり“反憲法”論議を起こす可能性が高いと見る。

 先ず、1948年を大韓民国樹立と見るのは憲法価値と衝突する憂慮がある。 1948年の制憲憲法は「悠久な歴史と伝統に輝く我が大韓国民は、己未3・1運動(1919年の独立万歳運動)で大韓民国を建設し世界に宣言した偉大な独立精神を継承し、民主独立国家を再建」したと明示した。 現行憲法でもやはり前文に「悠久な歴史と伝統に輝く我が大韓国民は3・1運動で建設された大韓民国臨時政府の法統と不義に抵抗した4・19民主理念を継承して」と規定している。

 元国史編纂委員長であるイ・マンヨル淑明女子大名誉教授は先月発表した「『大韓民国政府樹立』と『大韓民国樹立』」という文で「制憲憲法も現行憲法も『3・1運動を通じて独立を宣言し、その独立意志で建国されたのが大韓民国』と明らかにしている」と指摘した。続けてイ名誉教授は「大韓民国の建国後には国家を運用するための政府を樹立(組織)しなければならないが、日帝が国土を強制占領している状況で朝鮮半島内に政府を立てることができず、それで海外に政府を立ててこれを臨時政府と言い、このような独立精神を継承して1948年に民主独立国家を再建し正式政府を宣言した」と説明した。

記録・写真にも「建国ではなく政府樹立」
李承晩、1948年制憲国会祝辞で
「臨時政府継承、大韓民国30年」
8月15日「政府樹立祝賀式」の横断幕

 大韓民国樹立という表現が「国格低下」に該当するという指摘もある。 臨時政府の法統は北朝鮮ではなく韓国が受け継いだということが、これまで一貫した現代史叙述の観点だった。 北朝鮮と建国年度を合わせるとして大韓民国の樹立を1948年にすれば、韓国が継承した誇らしい臨時政府の法統を自ら蹴飛ばすことになる。

 各種の歴史的記録や写真も「大韓民国政府樹立」を証明している。 ニューライト勢力が称賛する李承晩元大統領も、1948年5月31日制憲国会開院式の祝辞で「この国会で作られる政府は己未年にソウルで樹立された民国臨時政府の継承」と明らかにし、年号も「大韓民国30年」とした。 1948年8月15日、当時中央庁前には「大韓民国政府樹立国民祝賀式」という横断幕が掲げられた。 同年9月1日、新政府が刊行した「官報1号」でも発行日時を「民国30年9月1日」と明らかにした。 以後、すべての政権が1948年8月15日を政府樹立日として扱ってきた。

 専門家たちはこのような政治的負担にもかかわらず、現政権が「大韓民国樹立」を固守する背景には、親日附逆(反民族的親日)行為に加担して独立以後に建国主導勢力として参加した親日附逆派とその子孫を“建国功労者”に変身させようとする不純な意図を疑う。 建国節主張の中には現在の大韓民国は独立運動の結果ではないとの解釈が含まれているためだ。

「1948年建国節」主張の意図は…
左右闘争の中で反共国家誕生に意義
親日附逆派・子孫を“建国功労者”に変身させ
独立運動 評価を切り下げ、“テロ活動”と蔑視

 パク・ハンヨン民族問題研究所教育広報室長は、「ニューライト教科書の親日問題認識と問題点」で、「大韓民国を抗日闘争を通じて成立した自主独立国家と規定することより、1945年8月15日から3年間に及ぶ左右闘争の中で朝鮮半島の半分だけでも守った反共国家であり資本主義国家の誕生という点に建国の根本意義を置いている」と説明する。 この論理によれば、大韓民国の建国は日帝に抗して戦った抗日運動の歴史とは関係なく、臨時政府の意味も色あせる。 過去に主導的に親日附逆行為に参加したとしても解放後に反共愛国闘士であれば建国功労者として変身できる。

 イ・ジュンシク歴史正義実践連帯政策委員長は、「建国節を主張する人々の中には親日附逆派の子孫が多く、2000年代中後半以後に『親日(附逆)人名辞典』や大韓民国親日反民族行為真相究明委員会などに対抗して建国節主張が出て来たのは偶然の一致ではない」と指摘する。 その一方で南北分断政府に反対した金九(キム・グ)、金奎植(キム・ギュシク)、呂運亨(ヨ・ウニョン)ら独立活動家は、大韓民国の建国に参加しなかったという理由で評価が切下げられる。 ニューライトによる『代案教科書韓国近・現代史』は、歴史学界が“義烈闘争”とする金九先生の独立運動を“テロ活動”として紹介した。

チョン・ジョンユン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/716535.html 韓国語原文入力:2015-11-08 22:18
訳J.S(2698字)

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