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お婆さんがお婆さんを世話する「老老ケア」が高齢者福祉の死角を減らす

登録:2015-03-05 05:39 修正:2015-03-05 06:15
ベテランママが初歩者を助ける町内保育班長も
87歳のペク・ジョンスクお婆さん(左)が4日午前、ソウル瑞草区方背洞に住む89歳のキム・ヘインお婆さんを訪ね話し相手をしながら足を揉んでいる。シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 老老ケアを担う町の保育班長が好評
 福祉公務員の不足状況で代案
 「友達であったり姉のようだったり」

 「お婆さん、昨夜は良く寝れましたか? 痛いところはない?」

 4日午前、ソウル瑞草(ソチョ)区 方背(パンベ)洞の多世代住宅地下階。ペク・ジョンスクお婆さん(87)はキム・ヘウンお婆さん(89)の家に入るとすぐ昨夜の具合を尋ねた。キムお婆さんの手首や足首を押してみて、再び「大丈夫?」と話しかける。キムお婆さんが首を縦に振ると、すぐに家のあちこちを見回し、水をかけながらトイレの清掃もした。

 ペクお婆さんは5年前から一週間に1、2回ずつキムお婆さんの家を訪ねる。ペクお婆さんは高齢者が高齢者を世話する「老老ケア」に従事する。老老ケアは65歳以上の低所得の高齢者が志願できるが、1カ月に30時間程度の高齢者ケアの活動で20万ウォン(約2万200円)を受け取れる。

 キムお婆さんはペクお婆さんが来る日を「外出する日」と言った。2年前に脊椎手術を受け、昨年は家で倒れて手首と足首をケガした。キムお婆さんは「家でも一人では転んでしまう状態なので、ペクお婆さんなしでは家の外に出て行く意欲もわかない」と話す。

 ペクお婆さんもキムお婆さんのように一人で暮らしている。一緒に暮らした息子は5年前に先に亡くなった。その頃に老老ケアという仕事を初めて知ったという。ペクお婆さんは「方背老人総合福祉館の紹介でキムお婆さんに会うことになった。お婆さんと一緒に豚の腸詰めスープ食べに行く楽しみだってある。今度の旧正月にはお婆さんが食事を用意できないのではと思って肉も分け合って食べた」と言う。

 5年も互いを助け合っていると、二人のお婆さんどうしで似通っていくという。「今キムお婆さんが着ているズボンも私が選びました。もう友達も同然。ある時は姉さんのようになるし」。ペクお婆さんはすっかり町内の福祉専門家になった。「基礎生活受給者であるキムお婆さんは1カ月に49万ウォンほどの支援を受けますが、家賃25万ウォンを出したら残りはほとんどないです。そこで福祉館に私が必要なものを伝えます。周辺で他の生活に困難があるお婆さんがいれば、そのことも住民センターに伝えたり」

 ペクお婆さんのようにソウルの25自治区の老老ケアで高齢者の世話をする高齢者は5332人。キムお婆さんのように支援を受ける高齢者は5737人になる。高齢者人口は年々増えているのに、高齢者福祉の死角地帯を埋めるはずの公務員はかなり不足した状態だ。身体的かつ経済的に難しい互いの境遇を理解する共感能力が老老ケアの利点でもある。

 このように市民が参加する町内福祉は育児にも活用される。ソウル市は2年前から育児ノウハウのある女性を「保育班長」に選び、町内に住む“初歩”の母親たちを助ける「私たちの町保育班長」制度を運営している。九老(クロ)区で保育班長として働くファン・ヒョンスク氏(46)は11歳の長女と8歳と6歳の息子がいる。ファン氏は「大学で児童学を専攻しました。子供の家や遊び場、文化センターの授業情報を初歩の母親たちに教えている」と話した。

 イ・ジェワン公州大社会福祉学科教授は「互いに共感できる高齢者と高齢者、母親と母親をつなげる町内福祉は福祉死角地帯の解消に役に立つ」と語った。

ソ・ヨンジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.03.04 22:11

https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/680831.html 訳Y.B

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