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「国家の完全責任保育」が公約だった朴大統領が予算難を地方に転嫁

登録:2014-11-07 00:12 修正:2014-11-07 06:51
「0~5歳保育は国家が支援」の誇大公約
大統領選候補討論会時の約束も覆す
無償給食・無償保育に関連する朴槿惠大統領の過去の発言//ハンギョレ新聞社

 政府が3~5歳無償保育政策であるヌリ課程予算を地方自治体に押し付けたことに対する論議が高まるなか、朴槿恵(パク・クネ)大統領がこの予算を地方教育財政交付金で充当する方針を立てたものの、「国家の完全責任保育」が‘誇大公約’だったのではないかという批判が出ている。 来年の場合、3~4月以後に政府が予算を調達するというが、財源を用意するための格別の措置がなされなければ予算配分順位を巡って毎年地方自治体および教育庁との葛藤を生じさせる可能性が高い。

 2012年当時、朴大統領の大統領選挙福祉公約作業に深く関与したアン・サンフン ソウル大学教授は6日『ハンギョレ』との通話で、「(公約を作る時)ヌリ課程は地方教育財政交付金で充当するという話になった。 出産率の向上にも役に立つ政策であるから、教育側で余裕ができる金でやろうという論理だった」と話した。 これは大統領選挙があった年の2012年に改正された乳幼児保育法施行令に従ったもので、施行令第23条1項は「幼児無償保育実施にかかる費用は予算の範囲内で負担するものの ‘地方教育財政交付金法’ にともなう普通交付金で負担する」とされている。 中央政府ではなく、地方自治体の予算で無償保育を実施する方向ですでに決まっていたという話だ。

 そんな状況で朴大統領は、2012年12月当時に大統領選候補放送討論会で「0~5歳保育は国家が責任を負う。 子供を育てる費用を国家が支援する」として ‘国家の完全責任保育’ を公約した。 当選直後の昨年1月、全国市・道知事懇談会でも「保育事業のように全国単位で行われる事業は、中央政府が責任を負うのが正しい」として、無償保育予算を中央政府が賄うという趣旨の話をした。

 ヌリ課程予算を地方財政で充当するということを知らずにした話であるなら、朴大統領は公約さえ熟知していなかったということになり、知っていながら中央政府の責任を約束したとすれば嘘をついたことになる。 基礎年金公約を作る時にも初めから国民年金と統合・連係させ差別支給する方向で設計しておきながら「65歳以上のすべての老人に毎月20万ウォンを支給」と公約し ‘詐欺公約’ 批判を買った時と事情が似ている。

 事実、ヌリ課程は朴大統領が永く研究し、野心に充ちて出した「韓国型生活福祉」の核心的な課題だ。朴大統領は2010年末に社会保障基本法改正公聴会を開き、「生涯周期別オーダーメード型福祉」構想を打ち出した。当時、野党と市民社会が主張する普遍的福祉に対抗して、生涯周期別に必要な保育、教育、働き口、老後の健康などの社会的サービスを国家が提供するということだった。朴大統領はこのような内容を核心とする社会保障基本法改正案を2011年初めに発議した。朴大統領自身が非常対策委員長として責任を負った2012年総選挙、候補として出たその年の大統領選挙で、無償保育は核心公約として採択された。

 反面、野党が主導した無償給食の場合、朴大統領は積極的でなかった。このような背景で、政府が来年3~4月以後にはヌリ課程予算を負担すると譲歩案を出したが、実際に履行されるか否かは未知数だ。 増税など格別の歳入増加対策がないならば、時間が過ぎたところで財政状況が大きく変わることはないので、今のように容易に無償給食予算を削ってヌリ課程予算に充当しようとする試みが繰り返される可能性を排除できない。

チョ・ヘジョン、イユ・チュヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/663409.html 韓国語原文入力:2014/11/06 22:47
訳J.S(1633字)

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