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基礎生活保障法を変えても‘3母娘’に福祉恩恵はない

登録:2014-03-06 22:24 修正:2014-03-07 07:02
チョン・ヨンゴン国民年金を正す国民行動 執行委員長が6日午前、ソウル汝矣島(ヨイド)の国会前で開かれた‘基礎年金法、国民基礎生活保障法、障害者年金法 改悪反対記者会見’で、政府とセヌリ党を批判する発言をしている。 キム・ソングァン記者 flysg2@hani.co.kr

‘福祉3法’調べて見れば
3人世帯の中位所得 313万ウォン
3母娘の月所得150万ウォンだが
個別給付支給基準によれば
生計・医療・住居給付 全て受けられない

需給対象は増やすものの恩恵を分ける
‘基礎生活法’政府改編案 改悪論難
‘基礎年金法’‘障害者年金法’も
朴大統領の公約と違う

 与野党が6日に国会保健福祉委員会を開き、基礎生活保障法・障害者年金法改正案と基礎年金法制定案など、いわゆる‘福祉3法’の議論に入った。 2月国会で争点に対する異見のために処理が失敗に終わった法案が緊迫感をもって常任委のテーブルに上がったのは朴槿恵(パク・クネ)大統領の功労が大きい。 朴大統領はソウル松坡区(ソンパグ)‘3母娘自殺事件’を契機に "福祉死角地帯解消のために早急な処理を要請" した。 問題は基礎生活保障法改正案が通過すれば‘3母娘’のような福祉死角地帯が解消されるかどうかだ。 福祉関連専門家と市民団体は首を横に振る。

■‘改悪論難’呼んだ基礎生活保障法改正案

 政府がユ・ジェジュン セヌリ党議員を前面に出して議員立法で押しこんだ基礎生活保障制度改編案は、一言で言えば‘需給対象者は増やすものの、恩恵は分けること’だ。 現在の基礎生活需給対象者を選定する際に基準としている最低生計費(今年基準で3人世帯 月額132万9118ウォン)を廃止する代わりに、中位所得を新たな基準にするということだ。 中位所得は全世帯を所得により順に並べた時にちょうど中間に該当する世帯の所得をいう。今回の制度変更のまた別の特徴は、基礎生活受給者に選ばれればすべての恩恵を与える現在の‘一括給付’から△生計(中位所得の30%以下である世帯)△住居(43%以下) △医療(40%以下)等と給付体系を分け、これに該当する人にのみ給付する‘個別給付’方式に変えることだ。

 問題は最低生計費に代わる中位所得の概念が曖昧で、政府の財政状況に応じて対象者選定が右往左往しかねないという点だ。中位所得はその時の経済状況によって変わりうるという指摘が出ている。 ムン・ジニョン西江(ソガン)大教授(社会福祉学)は 「中位所得のように曖昧な概念を導入して、貧困層が政府の善意に寄り添わなければならない状況になりかねない」と批判した。

 特に保健福祉部は生計給付の対象が‘中位所得の30%’としたが、実際には法案では "一定比率" とだけしておき、具体基準は施行令に任せた。 法律とは異なり施行令は大統領が主宰する閣僚会議さえ通過すれば効力が発生する。 去る2月に開かれた国会保健福祉委法案審査小委で野党議員は法に具体的比率を明示することを要求したが、セヌリ党と福祉部が反対して法案処理が失敗に終わった。‘国民基礎生活保障を守る連席会議’は 「(福祉対象者のための)適合型個別給付ではなく、予算適合型個別給付」と批判した。

 現在の受給者の内、政府から受け取る給付金額が削られる人が出てくることも論議の的だ。 制度が政府目標どおり10月に施行されれば、受給者数は昨年より37万人多い176万人になると福祉部は見通した。 だが、個別給付に転換されることにより、既存受給者の内、29万人は法改正前より少ない金額を受け取ったり、受給資格そのものを失うことになる。 政府はこれらの人々のために既存と同額を支援すると明らかにしたが、これは一時対策に過ぎない。

 松坡区(ソンパグ)の3母娘が生きていたとすれば、朴槿恵大統領の言葉通りに福祉恩恵を受けられることになるだろうか? 福祉部が昨年9月の家計金融福祉調査に基づいて社会保障委員会に報告した資料を見れば、2013年の3人世帯の中位所得推定値は313万ウォンであった。 3母娘の所得は母親が食堂の仕事をして稼ぐ150万余ウォンが全てであった。 それでも、これは生計給付対象である中位所得の30%(93万9000ウォン)はもちろん、医療給付対象である中位所得の40%(125万2000ウォン)になるには‘あまりに’多い。 最も給付範囲が広い住居給付対象金額(中位所得の43%・134万5900ウォン)も軽く跳び越える。 結局、朴大統領の願いとは異なり、3母娘は個別給付制度に変わった後にも基礎生活受給制度の網からは抜け落ちることになるわけだ。

■国民年金に連係した基礎年金が最大争点

 今年7月の施行を目標に政府が推進してきた基礎年金法は、朴槿恵大統領の公約破棄論難と共に国民年金長期加入者に不利な制度という点が浮き彫りになり、最も‘深刻な問題’に浮上した。 現行基礎老齢年金法は、65才以上の老人の内、所得下位70%に国民年金加入者の平均所得の5%である約10万ウォンを支給している。この制度をそのまま維持すれば2028年まで段階的に10%(現在価値で約20万ウォン)に引き上げられる。 だが、改正案どおりになれば、国民年金に加入した期間が無いか短い場合、最大20万ウォンを受け取れる反面、国民年金加入期間が10年以上ある長期加入者はむしろ基礎年金額が減り10万ウォンを受け取ることになる。 当然、国民年金誠実加入者と加入期間が長くなると予想される‘未来の老人’である青壮年層の反発につながった。

 障害者年金法改正案も公約廃棄論難に包まれた。現行の障害者年金法は、18才以上で所得下位63%の重症障害者に対して毎月10万ウォン程度の基礎給付を支給している。 だが改正案では、所得基準を70%に少し上げて毎月20万ウォンを支給するようにした。問題は大統領選挙時に "すべての重症障害者に20万ウォンを支給する" という朴槿恵大統領の公約より対象者が大幅に減ったという点だ。 ナム・ビョンジュン全国障害者差別撤廃連帯政策室長は 「朴大統領は障害者年金受給対象を縮小し、公約を破棄しただけでなく障害等級制の廃止公約も破棄した。 障害等級をなくせば支給対象が増えて財政負担が大きくなるので公約を守らない」と批判した。

ソン・ジュンヒョン記者 dust@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/627198.html 韓国語原文入力:2014/03/06 21:27
訳J.S(2741字)

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