国防部が8日、2007年第2次南北国防長官会談を控えて、盧武鉉当時大統領が‘西海(ソヘ)北方境界線(NLL)尊重および遵守’と‘NLLを基準として同面積で共同漁労水域設定’という2点の交渉原則を承認したことを公式確認したことにより、この間‘NLL政争’を主導してきたセヌリ党の攻勢根拠が相当部分説得力を失うことになったという指摘が出ている。 特に国防部がこの間こういう事実を知りながらも野党の度重なる確認要請を拒否してきたことが明らかになり、国家情報院はもちろん国防部までが与党の‘NLL放棄’争点化に協調したという批判を避け難いものと見られる。
セヌリ党は大統領選挙を控えた昨年10月、チョン・ムノン議員の発言を手始めに 「盧前大統領が2007年南北首脳会談でNLL放棄発言をした」という疑いを提起し、首脳会談対話録(対話録)公開要求を大統領選挙に積極的に活用した。 結局去る6月、野党の‘国家情報院コメント事件国政調査’要求で窮地に立たされるや国家情報院と合作して対話録無断公開を敢行したが、実際には対話録に盧前大統領のNLL放棄発言がないことが明らかになり、セヌリ党は 「事実上 NLLを放棄したこと」と言葉を変えて攻勢の手綱を締め続けた。 基礎年金公約の後退などで困窮したセヌリ党は、最近では「対話録が国家記録院になく、ポンハ村のe-知園で抄本の削除跡を発見した」という検察中間捜査結果発表を契機に、首脳会談録音ファイルの公開まで挙論して‘NLL政争’の火種を再点火している。
しかし国防部の答弁を通じて盧前大統領が首脳会談以後にNLL守護意志を明確にしていたという事実が確認されただけに、セヌリ党の‘NLL放棄攻勢’の正当性は根元から揺らがざるをえなくなった。 国防部の公式確認により‘反転’を迎えはしたが、盧前大統領が首脳会談前後にNLLを守ろうとしていたという情況はすでに何回も明らかになっていた。 首脳会談当時、国防部長官として盧前大統領に随行したキム・ジャンス大統領府国家安保室長は去る4日国会運営委員会全体会議に出席して、NLL問題について盧前大統領と異見がなかったと確認した。 キム室長はこの席で首脳会談の後続として開かれた南北国防長官会談を控えて盧前大統領と会った事実に言及し、 「大統領から確答を受けるために私が‘南北国防長官会談に行って心おきなくできる権限をください。 一切会談と関連して訓令を送ったり中間に何らかしたり、そんなことはしないで欲しい’と建議したし、これに対し大統領は笑いながら‘国防部長官として心おきなくやって来い’、それで私は心おきなくNLLを守ることができた」と証言した。
これに先立って、キム室長はセヌリ党が対話録抜粋本を公開した翌日の6月21日にも国会運営委で同じ内容の発言をした経緯がある。 キム室長のこのような証言は、盧前大統領がNLLに関連して2点の交渉原則を承認したと言った国防部の説明と同じ脈絡だ。 首脳会談の後続措置過程だけでなく事前準備過程でもNLL守護基調は維持された。 首脳会談を一ヶ月後に控えた2007年8月18日に開かれた対策会議に、キム・ジャンス長官の代わりに参加したキム・クァンジン合同参謀議長(現 国防部長官)は「大統領府のNLLに対する認識に全く問題がない。 会議結果に満足している」という内容でキム長官に会議結果を報告していたことが分かった。
状況がこうであるにも関わらず、国防部は先月までも南北国防長官会談に関連した2点の交渉原則を盧大統領が承認したか否かを尋ねるチョン・ヘチョル民主党議員の質問に「(国防部の会談方針)報告時、どんな指示や対話があったかは承知しておらず、前任大統領に関連した事案に対して国防部が評価することは適切でない」と答弁を回避してきた。そのために国防部が‘NLL政争’を主導しているセヌリ党を支援するために意図的に関連事実を隠してきたのではないかという疑問も提起されている。
実際、国防部キム・ミンソク スポークスマンは去る7月11日 定例ブリーフィングで「言論に公開された対話録を見れば、金正日は北韓が主張する軍事境界線と我々のNLLとの間の水域を共同漁労区域、あるいは平和水域に設定すればどうかと言った」として「NLLの下で我々が管理する水域に共同漁労区域を作ろうという内容であり、その結果はNLLを放棄するものと解釈されうる」と明らかにして、セヌリ党のNLL放棄主張に力を加えたことがある。 このブリーフィングは国家情報院がスポークスマン声明を通じて、北韓の軍事境界線を実際よりはるかに南側に表示した歪曲された地図を根拠として提示して「首脳会談対話録の内容はNLL放棄」と主張した翌日に出てきたことなので、国家情報院と国防部がセヌリ党と調子を合わせて政治攻勢に出ているという批判が出もした。
キム・スホン記者 minerva@hani.co.kr