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国家情報院が 今‘従北帳簿’を取り出した理由は

登録:2013-08-28 20:33 修正:2013-08-29 06:49
‘進歩党捜査’国家情報院の逆襲?
‘組織縮小’の危機に追い詰められた国内パート・捜査局 突破口が必要
イ・ソクキ‘従北烙印’狙いやすい対象…3年余りかけ内偵したもよう
検察・警察を差し置いて直接‘国会捜索’政治的意図を後押し
朴大統領‘改革’発言の2日後‘電撃’…時点も怪しい
国家情報院と検察が内乱陰謀などの疑いでイ・ソクキ統合進歩党議員の住居地など17ヶ所を電撃押収捜索した28日午前、押収品を入れる箱を持った国家情報院職員らがソウル汝矣島(ヨイド)の国会議員会館520号のイ議員事務室で進歩党関係者たちと対峙している。 ニュース1

 国家情報院が28日イ・ソクキ統合進歩党議員などに内乱陰謀罪を適用して押収捜索に乗り出し、発表された疑惑内容は衝撃的だ。 ‘銃器準備’‘主要施設打撃’等、多少あきれる内容があるが、実際にそのような試みがあったとすれば単純に‘時代錯誤的妄想’でない実定法にともなう処罰対象になりうる。 だが、大統領府と与野党政界の双方から‘改革’対象に名指しされている国家情報院が、何故この時点に‘国土僭窃・国憲紊乱・暴動’を準備したとし、ソウル汝矣島(ヨイド)の国会議員会館に押し入ってきたことについては様々な政治的解釈が出ている。

 国家情報院は9月定期国会が始まれば、この間準備した自主改革案を国会に提出することになる。 自らの改革案の具体的内容はあきらかになっていないが野党と市民社会が要求する国内パートおよび対共捜査権の廃止は盛り込まれていない可能性が高い。 だが、野党が国家情報院改革を理由に院外闘争を継続し、宗教界・学界の時局宣言と一般市民が参加するろうそく集会が相次いでいる。 民生法案処理などで野党の協調を求めなければならない与党としては、国会議論過程で野党側改革案を一部受け入れる可能性も排除できない。 大統領府と与党までが立ち上がって国家情報院組織の一部縮小は避けられないと繰り返し明らかにしている状況も、国家情報院にとっては大きな負担だ。

 そのために国家情報院がいつでも引っ掛けられる‘弱い輪’である統合進歩党と京畿東部を狙ったことには何らかの目的が含まれているのではないかという解釈が出てくる。 国家情報院の内部組織に詳しい関係者は「イ・ソクキ議員はすでに‘オープン’になった人物で、国家情報院が対共捜査を行いやすい対象だ。 最も核心となる国内パート、捜査パートの縮小・廃止を阻むための国家情報院の存在証明の性格が強い捜査と思われる」と話した。 内国人、特に政治家が関連した今回の事件の場合、検察や警察公安部署が行なうことが適切だが、国家情報院があえて直接乗り出したのにはそれなりの理由があるということだ。

 去る6月24日、国家情報院が2007年南北首脳会談対話録を無断公開したことは、ナム院長の‘個人技’に近かったという見解が多い。 反面、今回の捜査はナム院長よりは国家情報院、その中でも国内パートと捜査局側の組織的動きが優先された結果という分析が出ている。 国内パートと捜査局は、国家情報院内でいわゆる‘甲’だ。 北韓・海外パートより人材も多く昇進も先んじる。 これら組織の生存意志が今回の捜査に反映されているということだ。 反面、南北首脳会談対話録無断公開の時のようにきわめて保守的な形態を見せるナム院長の独断的状況判断に重きを置く分析も多い。 ナム院長は対話録無断公開後 「野党が度々攻撃するから国家情報院の名誉のために(対話録を公開)した」と明らかにした経緯がある。

 朴大統領が去る26日 「国家情報院改革を必ずやり遂げる」と明らかにしてから二日後に国家情報院が動いたことも妙だ。 一部では朴大統領に対して‘国家情報院の機能を認めてほしい’という一種のデモだという言葉も出ている。 国内情報収集、対共捜査権など国家情報院の力を支える核心組織を存続させるために、自らの改革案発表直前に自分たちの存在を大統領に刻印させようとする試みではないかということだ。 実際、国家情報院は去る3年間イ議員らに対する内偵を始めたと言う。 遠い昔に主要疑惑を捉えても、今になって公開捜査に入った点については説明が必要だ。

 これに対してハ・キョンジュン国家情報院スポークスマンは 「このような捜査は一日でできることではない。 公開捜査に着手する時は(疑惑を立証する内容を)全て確保してからする。 我々が国会聴聞会まで全て受けたので、捜査時点が妙だといわれる理由もない」と話した。 セヌリ党のある議員は「裁判所が令状まで発行して国家情報院が議員会館まで入るほどならば、疑惑立証に相当な確信があるからだと見える。 今回の捜査を国家情報院の存在証明と解釈することは無理がある」と話した。 その一方で「実際に裁判まで行った時、決定的証拠が出てこなければ国家情報院の政治的意図が疑いを受けかねない。 特に国家情報院が北韓との連係性を立証できなければコーナーに追い詰められた国家情報院が形勢をひっくり返すために焦ったという批判を受けることになる」と語った。

 国家情報院はちょうど5年前の2008年8月27日、脱北者を装った北韓国家安全保衛部工作員が軍将校らとつきあい、情報を得て北韓に渡したという、いわゆる‘女スパイ ウォン・ジョンファ事件’を発表した。 一部関連者に対して裁判所で無罪が下されたこの事件は、李明博政府初年度に米国産牛肉輸入反対ろうそく集会に続いてまき起こった公安政局の渦中に発表された。 そのためにキム・ギチュン大統領府秘書室長、ホン・ギョンシク民政首席、ファン・ギョアン法務部長官など検察出身公安通で完成された司正ラインが本格的に稼動するのではないかという展望も提起されている。 キム・ナムイル記者 namfic@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/politics/assembly/601260.html 韓国語原文入力:2013/08/28 19:57
訳J.S(2507字)

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統合進歩党人士 押収捜索に対する政党の反応

セヌリ "衝撃 越えて 恐怖感"…政治攻勢は自制
民主党 "厳重に見守る" …‘公安弾圧’発言慎重

イ・ソクキ議員など統合進歩党人士に対する国家情報院の捜査と関連して与野党の反応は交錯している。

 ユ・イルホ セヌリ党スポークスマンは国会ブリーフィングで 「国家情報院はすでにかなり以前からイ議員が体制転覆を目標に数年間にわたり反国家活動をしていたという疑いに対して資料を確保し内偵してきたと言う」として「衝撃を越えて恐怖感まで持つ」と話した。 彼は「国民に与える衝撃と社会的波紋を考慮して、徹底して綿密に捜査しなければならない」として「イ議員を含む統合進歩党関係者たちが本当に後ろめたくないならば押収捜索を妨害せずに検察の捜査に協力しなければならない」と明らかにした。 だが、政治攻勢よりは捜査結果を静かに見守ろうという意見も出てきた。 国会情報委員長であるソ・サンギ議員は<ハンギョレ>との通話で 「今回の事件は純粋な捜査の領域であるから、政界が乗り出す事案ではない」と話した。 情報委所属のユン・ジェオク議員も「現役議員の事務室を押収捜索したのを見れば、国家情報院が捜査の端緒を確保しているようだ。 そのような面でショッキングだが、捜査結果を見守らなければならない」と話した。

 民主党など野党はさらに慎重な反応を示した。 ペ・ジェジョン民主党スポークスマンは「国家情報院が国会にまで入ってきて、現役議員を相手に押収捜索を行う現在の事態を非常に厳重に見守っている。 今後、進行される状況を見る」という程度の公式論評だけを出した。 押収捜索の便りが伝えられた直後に開いた民主党最高委員会でも、この事件と関連した発言は出てこなかった。 キム・ハンギル代表は昼食記者懇談会でこの事件に関する質問を受けたが、「状況がよく分からない。 真相が分かってから話す」として言及を避けた。 イ・ソクキ進歩党議員に対する内乱陰謀疑惑などの実体を正確に知らない状況で、公安弾圧だと断定できないばかりか、ややもすれば従北勢力をかばっていると言った‘逆攻勢’を自招しかねないという憂慮が作用した結果と見える。

 昨年、進歩党から分かれた正義党のイ・ジアン副報道担当者は「国家情報院の改革理由を‘セルフ証明’する焦点ボカシ用の押収捜索は残念だ。 時期と意図が疑わしい」と論評した。

キム・ジョンチョル、ソン・ホジン記者 phillkim@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/601263.html 韓国語原文入力:2013/08/28 19:51
訳J.S(1107字)

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民主党‘国家情報院捜査権廃止’改革案 確定

対共捜査・国内情報収集 できなくし
国会で予算統制 方案も含む
‘統一海外情報院’で変更を推進

 民主党が国家情報院の対共捜査権と国内情報収集権を全て廃止する国家情報院改革案を用意した。 民主党は29日‘議員ワークショップ’で、党政策委員会が整理した改革案草案を検討した後、国家情報院改革立法を党論として確定することにした。

 党政策委首席副議長であるムン・ビョンホ議員は28日<ハンギョレ>との通話で、民主党の国家情報院改革案と関連して 「対共捜査権など国家情報院が持つ捜査権を全てなくすことに決めた」と明らかにした。 国家情報院は現在、対共捜査権と国家情報院職員の職務関連犯罪に対する内部捜査権を持っている。 対共捜査権は1996年新韓国党が安全企画部法などを闇討ち通過させた際に復活したものだ。

 ムン議員は「(国家情報院の政治関与を禁止するために)国内情報収集権も廃止し、国家情報院の‘統一海外情報院’への変更も推進することにし、国家情報院に対する予算統制方案も含めた」と話した。 この間、国家情報院の予算審査を国会情報委員会で非公開で実施してきたが、今後は情報委と国会予算決算特別委員会で一緒に審査し国家情報院に対する予算統制を強化するということだ。 また、国家情報院が非常対備用として毎年4000億ウォン規模の一般予備費を別に受ける法的根拠である‘予算会計に関する特例法’を廃止する法律案も同時に発議して、国家情報院予算を全て本予算に入れ統合審議する予算統制方案も含まれた。 これと共に情報・セキュリティー業務に対する国家情報院の企画・調停権を国家安全保障会議(NSC)事務局に移す内容も盛り込まれた。

ソン・ホジン記者 dmzsong@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/601312.html 韓国語原文入力:2013/08/28 22:20
訳J.S(855字)

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