新しい「韓米連合指揮構造」暫定合意案
専門家「依存的だった韓国軍 実際に米軍指揮可能か疑問」
空軍作戦統制権は今後も米国が保有
1日に公開された韓米連合指揮構造の新しい下絵は、既存の韓米連合軍司令部(CFC)とほとんど同じ構造になっている。ただし、連合司令部の最高指揮官は、駐韓米軍司令官から韓国軍合同参謀本部議長に変わることになる。
今回の会談以前に韓米の実務陣が暫定合意した案によると、韓国軍と米軍が単一指揮体系を備えるという原則が強調された。これにより、合同参謀と駐韓米軍司令部を連合戦区(作戦区域)司令部に統合して、その下に陸・海・空・海兵隊・特殊作戦司令部(特戦)など5つから構成される「連合構成軍司令部」を設定するようにした。ただし、戦時作戦統制権(戦作権)を韓国軍が持つという象徴性を生かすために、韓国軍合同参謀議長が連合戦区司令官、駐韓米軍司令官が副司令官をそれぞれ引き受けるようにした。統合司令官を韓国軍の将軍が引き受けるようにしたのだ。国防部関係者はこれに関して「現在の状況から韓米が互いに席を変えると見ればいい」と話した。事実上、現在の連合司令部体制を維持しながら、韓国軍が主導権を行使する形を備えるという意味だ。
また、連合戦区司令部内での韓国軍と米軍の参謀の比率が現在の1.5対1から2対1に変わり、韓国軍の比重が増え、その下に作られる陸海空軍と海兵隊・特戦との連合構成軍司令部の中で、空軍を除く残りの構成軍司令部の司令官も、すべて韓国軍が引き受けることになる。言い換えると、韓米連合戦区司令官と連合構成軍司令官を韓国軍が引き受け、米軍は2番目の席を担当することになる。韓米連合軍全体の指揮を韓国軍がとることになるわけだ。
ただし、現代戦争の核心戦力といえる空軍は、現在と同様に米軍司令官が戦時にも作戦統制権を持つようにした。 強大な空中戦力と長年の経験を誇る平沢(ピョンテク)の米第七空軍を意識した措置と解説される。
このような内容は、戦作権還収を積極的に推進した盧武鉉政権が当初描いた図とは相当な差がある。盧武鉉政権で強調された戦作権還収の核心は、我々は我々自らが守るという「自主国防」の原則だった。当時存在した戦作権タスクフォース(課題班)が、2006年8月に作成した文書「戦時作戦統制権還収問題の理解」によると、当初、新しい連合指揮構造の内容は、我が国を防御する任務を韓国軍が主導し、しかし、米軍はこれを支援するという骨組みだ。現在の連合司令部を解体後、韓米両軍が個別の司令部を構成して、それぞれ指揮権を行使するものの、両国軍隊間の協議機構を新たに作り、緊密に協力していくようにした。両国は2007年2月、戦作権を2012年4月17日に韓国軍へ切り替えることに合意したが、李明博政権はこれを自分の任期後である2015年12月へと3年延期した。
キム・ジョンデ『ディフェンス21プラス』編集長は「今回、国防部が明らかにした案によると、当初の戦作権還収の核心だった自主国防の意志がよく見られない」として「これまで米国に依存的な姿を示してきた韓国軍が米国軍を指揮できるかも疑問で、米国がこれを受け入れるかも疑問」と話した。 戦争が勃発すれば、韓国と米国の国家目標と利益が違わざるを得ないのに、国防部が韓国の運命を自ら決めるという戦略的態度を堅持できず、依然として米国に依存する戦術的容易性に安住しているという指摘だ。
市民団体側では、更にもう一歩踏み出した。ユ・ヨンジェ『平和と統一を開く人々』米軍問題チーム長は「戦作権転換の核心は、韓国軍がわが国だけの単独の司令部を持つということであったのに、実務ラインの合意案からはその部分が抜けたので、これは事実上、戦作権転換を白紙化したも同然だ」と批判した。
キル・ユンヒョン記者