検察が2004年全斗煥前大統領の次男チョン・ジェヨン(49)氏の租税脱税事件の捜査・裁判過程で、73億5500万ウォン相当の全 前大統領秘密資金債券を発見したにもかかわらず、実際には追徴しなかったことが確認された。 これまで検察の未納追徴金執行意志が足りなかったことを端的に見せる事例だ。
最高検察庁関係者は「2004年当時、検察が全斗煥前大統領秘密資金債権追徴のために必要な法律的手続きを進めなかったために、追徴がなされなかった」と23日明らかにした。 チョン・ジェヨン氏の所有に渡っていた秘密資金債券を全前大統領の所有に戻す訴訟を経た後に追徴しなければならなかったのに、検察がこの訴訟自体を提起しなかったとのことだ。
チョン・ジェヨン氏は当時、自身が保有する73億5500万ウォン相当の債券について「1987年結婚の祝儀金として受取った金を母方の祖父(全前大統領夫人の父)のイ・ギュドン前大韓老人会会長が14年間転がして作ったもの」と主張した。 しかし最高検察庁中央捜査部は捜査と裁判の過程でこの債券が全前大統領の秘密資金であることを立証し尽くした。 裁判所は「被告人(チョン・ジェヨン氏)が贈与を受けたという債券のうち、額面価73億5500万ウォン程度は資金源が全前大統領が管理していた口座から出たもの」と判断し、これは2007年ソウル高裁破棄控訴審で確定された。
しかし追徴には障害物があった。 すでに全前大統領からチョン・ジェヨン氏に債券の所有権が移転された状態なので、法律上は贈与税を賦課できるだけであり追徴は不可能だった。 検察がチョン・ジェヨン氏を相手に贈与が不法行為であるから取り消しを求めるという「詐害行為取り消し訴訟」を提起し、債券の所有者を全前大統領に戻して初めて追徴が可能だった。
2004年11月のある新聞を見れば、追徴実務を担当したソウル中央地検は「詐害行為取り消し訴訟は取り消しの原因を知った日から1年以内、不法行為があった日からは5年以内に提起すれば良いので、チョン・ジェヨン氏が2000年12月に贈与を受けたこの金(73億5500万ウォン債券)に対しては特別な事情がない限り訴訟が可能だ」と明らかにした。 検察はこのように発表しながらも、いざ訴訟はと言えば提起しなかったのだ。 詐害行為取り消し訴訟の提起可能な期間は、2013年現在、すでに過ぎた状態だ。 検察はどんな理由で詐害行為取り消し訴訟を起こさなかったのかは説明しなかった。
一方、ソウル中央地検はこの日全斗煥前大統領未納追徴金還収を専門的に担当する特別チームを構成した。 検察関係者は「全前大統領追徴金徴収を目的とするチームを設けた。 執行課を中心に捜査経験豊富なベテランでチームを構成した」と話した。 <ハンギョレ>が全前大統領の隠匿財産を探し出すための "クラウド ソーシング" の企画を始めた翌日の21日、チェ・ドンウク検察総長は全前大統領など巨額追徴金未納者に対して追徴金を還収できるように特別対策を立てよと一線の検察に指示した。
キム・ウォンチョル、コ・ナム、キム・ソンシク記者 wonchul@hani.co.kr