中国の北京では今月18日から、2000余りの書店が参加する「北京ブックフェア」が開かれている。円明園、朝陽公園など4つの主要拠点をはじめ、都心の8つの通りや広場で本と読者の交流が繰り広げられている。通常は1週間ほどの開催だったフェアの期間が今回1カ月に延長された。22日、朝陽公園でブースを見て回っていた郭さんは「この会場は去年より規模が小さくなったようだが、北京全体で見ると拡大したように思う」と言い、他の会場も数カ所回る予定だと語った。
中国各地で「ブックフェスティバル」が盛り上がっている。今年初めて「全人民読書週間」が実施され、フェスの熱気はさらに高まっている。中国国務院は昨年11月、「全人民読書促進条例」を可決し、今年2月1日から施行された。全45条からなるこの条例は、読書活動の促進に対する政府の責任や予算編成の義務などを明記している。
読書活動においても中国当局が欠かさず強調するのは、やはり「習近平思想」だ。中国共産党の機関紙「人民日報」は20日、「習近平新時代中国の特色ある社会主義思想、特に習近平文化思想の指導のもと、全国民の読書が推進されている」と報じ、条例の法制化の意義を指摘した。さらに習主席の読書に関する発言を取り上げた。要点は、読書を通じて「絶えず人民の思想の境地を高め、精神的な力を強化しなければならない。そうしてこそ中華民族の精神世界はより深く、厚みが増す」という呼びかけだ。
国家主導の「読書奨励」には裏の側面もある。条例は「読書振興活動の発展を奨励する」としつつ、その前提として「内容が健全で前向きであること」という条件を付けている。同時に「大衆の読書促進のための活動を行う社会団体は、県級以上の報道・出版当局の指導と監督を受けなければならない」と定めている。
先月30日、北京で存続してきた数少ないフェミニズム書店「另一個書屋(もう一つの書店)」が閉店した。書店の運営者である崔さんは、閉店を知らせる文で「抵抗には代償が伴うことを思い知らされた」と記した。「独立した空間は次第に脆弱になり、ますます多くのテーマが『語ることのできない』ものになっていった」「表現には勇気が必要であり、公開討論会を維持するにはより大きなコストが必要になった」。この書店では過去3年間に200回余りの読書討論会などが開かれたが、たびたび「技術的な問題」や「不可抗力」などを理由に行事が中止された。
中国のある大都市で独立書店を運営している匿名の人物は、もう書店で開くイベントの情報をソーシャルメディアに掲載しなくなった。書店の情報を発信していたアカウントが、理由もわからず遮断された経験をしてからのことだ。より多くの人が読書会などに参加するのは難しくなったが、もっと自由に語るために、あえて閉鎖的な広報手段を貫いている。こうした困難に直面しながらも、立ち止まることなく本と書店を通じて人々をつなぎ続けている。
「健全で前向き」なブックフェスが盛況な一方で、中国で「不健全で不穏な活動」をやめない人々のことを思い起こす。「実体は変わっても、私たちの関心の方向は変わらなかった」。北京での活動を終えた崔さんは、別の都市に移って新たなフェミニズム書店を開き、オンライン書店も運営しているという。彼らの不穏な旅路が終わることなく続くことを願う。
イ・ジョンヨン|北京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)