中国は米国・イスラエルとイランとの戦争下での供給不足を懸念し、銅やリン酸肥料などの生産に不可欠な硫酸の輸出を5月から停止する見通しだ。外国メディアが報じた。
ブルームバーグ通信は13日、中国の硫酸メーカーと輸出企業が当局から輸出停止についての事項を通知されたことを、情報筋の話を引用して報じた。中東戦争で深刻化している原材料の供給不足は、輸出停止措置によってさらに悪化する見通しとなっている。硫酸は銅の抽出やリン酸肥料の生産に必要不可欠な原料で、石油精製やバッテリーなど産業全般で使用されている。中国は農作物の種まきの時期に合わせ、リン酸肥料の生産のために硫酸を備蓄しようとしていると思われる。
今回の戦争でホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで、中東産の硫酸の供給には大きな支障が出ている。中東は世界の硫黄供給の3分の1を占める。中東では、硫黄の原料となる硫酸を原油の精製過程で得ている。中国は中東とは異なり、銅や亜鉛の精錬過程で生じる二酸化硫黄(SO2)から硫酸を生産している。中東戦争によって硫酸生産用の硫黄そのものの供給不足が同時に進行しているため、代替供給源も確保しにくい状況だ。
ブルームバーグによると、中国の硫酸輸出制限はチリ、コンゴ民主共和国、ザンビアなどの主な銅生産国に打撃を与える可能性がある。中でも世界最大の銅生産国であるチリは、毎年中国から100万トン以上の硫酸を輸入していることが知られる。原材料市場分析機関「アーガス」のサラ・マロウ氏は「中国の硫酸輸出停止が今年いっぱい続くと、チリは硫酸価格のさらなる高騰に直面することになるだろう」と分析した。