「Just shut your mouths. And invest everything in me!!(いいから黙って、全部俺に投資しろ)」
今月1日に東京で開かれた「未来投資イニシアチブ」(FII)で、日本の高市早苗首相の率直な発言にサウジアラビアの富豪たちから拍手と笑いが沸き起こった。首相のこの日の発言は、日本の有名アニメ「進撃の巨人」の名セリフ。人類を襲撃する超大型巨人と戦っていた主人公エレンが周囲の人々に「力を貸してほしい」と激情的に訴える場面で出てくる。サウジアラビアで現在、日本アニメの人気が高いことを狙って用意したものだ。さらに、「Japan is back. Invest in Japan(日本が帰ってきた。投資してほしい)」という言葉で大きな反響を呼んだ。
日本の歴代首相のうち、似たようなことで話題を集めた人物が菅義偉元首相だ。菅元首相は2020年の国会の対政府質疑の際、人気アニメ「鬼滅の刃」の台詞を取って「『全集中の呼吸』で答弁させていただく」と述べた。「全集中の呼吸」は同アニメで血鬼と戦う鬼殺隊が超人的な力を引き上げる時に使う戦闘技術の一つ。野党議員の質問に最善を尽くすという意味だったが、態度が軽いという批判を受けもした。
「生粋の漫画好き」で知られる麻生太郎元首相は、日本のアニメと漫画を外交と国の広報手段として「昇華」させることを試みた。麻生元首相は1週間に漫画関連の本を10冊余り読み、忙しい選挙シーズンにもこれを欠かさなかったという。外相時代の2007年、「日本国際漫画賞」を新設するなど、「漫画長官」と呼ばれたりもした。自伝などで「日本文化を世界に知らせる方法としてアニメと漫画を考えた」、「漫画には日本を動かす力がある」と述べた。
日本のアニメはかなり強力な力を誇る。日本動画協会(AJA)の「アニメ産業レポート2025」によると、昨年日本のアニメ産業の売上全体の3兆8407億円のうち輸出が2兆1702億円を占めた。前年に比べ海外売上が26%増加するほど止まらぬ成長をみせた。
ところが最近、日本のアニメは最大の海外市場である中国で苦境を強いられている。先月7日、高市首相が「台湾有事の際、自衛隊出動の可能性」を示唆して以来、罪のない日本アニメが「流れ弾」に当たっている。子どもたちが好きな劇場版「クレヨンしんちゃん」と「はたらく細胞」の封切りが突然延期された。「となりのトトロ」で有名な宮崎駿監督の作品展示会、「セーラームーン」のミュージカルもキャンセルされた。有名なアニメ「ワンピース」のテーマ曲を歌った日本の歌手、大槻マキさんは、先月上海で追い出されるように舞台から降りなければならなかった。高市首相の発言以降、中国政府が下した「限日令」の結果だということにほぼ異論はないようだ。残念なのは日本側だけではない。 香港「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」(SCMP)は「多くの中国の若者たちは日本のアニメ、漫画、ゲームなどに幅広く接しながら成長してきた」とし、「彼らは(中日)文化交流への悪影響を懸念している」と報じた。
ちょうど高市首相は4日、X(旧ツイッター)への投稿で「『マンガ』『アニメ』『ゲーム」といった日本の強力なコンテンツを生み出すクリエイターの皆様の海外展開を支援し、文化の力で、国境を越える『つながり』を実現する」と綴った。首相は自身の「舌禍」で触発されたこの状況を解決し、中国で退出危機に置かれた日本アニメの主人公たちを救い出せるだろうか。