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【社説】部下に責任転嫁、浅はかな外交認識…聞くに堪えない尹前大統領の法廷陳述

登録:2025-11-25 09:05 修正:2025-11-25 10:45
尹錫悦前大統領が19日、ソウル瑞草区のソウル中央地方裁判所で開かれたハン・ドクス前首相の内乱裁判に証人として出席し、陳述している=ソウル中央地裁提供/聯合ニュース

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の内乱容疑裁判での陳述が連日、国民に怒りと惨憺たる気持ちを抱かせている。依然として12・3非常戒厳の違憲・不法性を否定し、自分の部下に責任を押し付けようとする卑怯な態度を示している。このような者が大韓民国の大統領だったとは、ぞっとする。

 尹前大統領は20日、ソウル中央地裁刑事合議25部が開いた自身の内乱首謀容疑の公判で、証人として出席したホン・ジャンウォン前国家情報院第1次長を自ら反対尋問し、「内乱当日に主要政治家の逮捕を指示したことはない」と主張した。ホン前次長、電話で尹前大統領から「みんな捕まえろ」と指示され、ヨ・インヒョン前防諜司令官から政治家のリストを聞いたと暴露した主要証人だ。公判で尹前大統領は「対共捜査のノウハウがある防諜司令部を国家情報院が支援するよう言っただけ」だとし、スパイ逮捕を意味するものだったという趣旨で説明した。これに対し、ホン前次長は「李在明(イ・ジェミョン・当時共に民主党代表)、ウ・ウォンシク(国会議長)、ハン・ドンフン(当時国民の力代表)が反国家団体やスパイではないだろう」と反論した。尹前大統領はまた、位置追跡に裁判所の令状が必要だという事実を承知している自分が、防諜司令官に政治家の逮捕を指示するはずがないという趣旨で尋問した。これを受け、ホン前次長は「それではヨ・インヒョンが独自に逮捕しようとしたというのか」、「部下に責任を転嫁するのか」と問い返した。政治家の逮捕指示を自分が下したわけではないと主張しようとしてむしろ恥をかいたのだ。

 尹前大統領は19日、ハン・ドクス前首相の裁判に証人として出席し、内乱当日に民間機関の「世論調査コッ(花)」や報道機関などに軍兵力を送ろうとしたのはキム・ヨンヒョン前国防部長官であり、自分はそれを引き止めたと供述した。自身の刑事裁判が進行中という理由で証言を拒否していたが、報道機関に対する電気・水の供給断絶の指示に関する質問に対し、「参考までに言っておく」として、やはり部下に責任を押しつける陳述をした。尹前大統領は非常戒厳宣布後にチュ・ギョンホ議員と交わした通話について、裁判所が「あの緊迫した状況で、あらかじめお知らせ出来なくて申し訳ないという会話だけだったのか」と尋ねると、「その時まあ、緊迫とか…特にすべきことがなかった」と答えた。国を無法地帯の大混乱に追い込んでおいて、当の自分はのんびりと時間を送っていたと平然と語るとは、言葉を失う。

 浅薄な外交認識もあらわにした。法廷で尹前大統領は、「戒厳直前の11月にペルーのアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議と主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席したところ、元々加盟国でもないいわゆるポピュリズム的な左派政権の首脳が大勢招かれていた」とし、次からそのような会議は首相に任せ、自分は「重要な外交」に集中すべきだと考えたと述べた。外交対象を「左派政権」と「重要な国」に分ける認識も偏狭で危険だが、前職の大統領ともあろうものがそれを公の場で口にするのも驚くべきことだ。これに先立ち、尹大統領は法廷で、クァク・チョングン前特殊戦司令官に「一緒にソメク(焼酎とビールを混ぜたもの)の爆弾酒をたくさん飲んだのに、非常大権の話が出たはずがない」という趣旨で質問したりもした。自分に不利な発言に反論するため、大統領在任中に泥酔が日常だったと自白したのだ。

 尹前大統領は12・3内乱を「野党の暴走を(国民に)知らせ、訴えるための戒厳」だったと主張し、一度も違憲・不法性を認め責任を取る姿勢を見せたことはない。裁判にも何度も出席せず、非協力的な態度を示した。このように、卑しい前大統領の姿を目にしなければならない国民は、苦しい日々を送っている。大韓民国の民主主義と国民の日常、国家経済、国際的威信を奈落に落とす蛮行を犯したにもかかわらず、全く反省の色を見せず、自分の安危だけを図る内乱首謀者に下されるべきは、厳しい法の審判だけだ。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1230593.html韓国語原文入力:2025-11-21 18:51
訳H.J

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