本文に移動

【社説】トランプ支持の右派活動家の暗殺、さらに懸念される米国の分裂

米国の若手保守のアイコンであるチャーリー・カーク氏が10日(現地時間)、米ユタバレー大学のキャンパスで殺害される前に、イベントに参加した観客に「MAGA」(米国を再び偉大に)の帽子を投げている/ロイター・聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米大統領の強力な支持者であり側近だった「ターニング・ポイントUSA」代表のチャーリー・カーク氏が、演説途中に銃に撃たれて死亡した。昨年7月のトランプ大統領を対象にした暗殺未遂に続いて、今回の惨事まで起き、米国内の政治対立と相互憎悪が手のほどこしようもなく膨らむのではないかと懸念される。米国のような超大国で社会対立が極端に突き進むことになれば、全世界に悪影響を及ぼすことになる。米国が、一時は最大の強みだった包容と開放の精神を再び取り戻すことを望む。

 米国で若手保守のアイコンとなっていたカーク氏は10日(現地時間)、ユタ州のユタバレー大学で演説中に首に銃撃を受け、血を流して倒れ死亡した。18才だった2012年、「ターニング・ポイントUSA」を設立した彼は、若い世代を対象に活発な講演活動に取り組み、右派思想を伝播してきた。23歳だった2016年に共和党全党大会で最年少で演説し、昨年の大統領選挙の時もトランプ大統領の勝利に大きな貢献をしたと伝えられている。

 悲報に接したトランプ大統領は激しく反応した。14日までに全米に弔旗掲揚を指示した後、追悼映像で「極左勢力はチャーリーのような素晴らしい米国人をナチスや世界で最も悪辣な殺人犯、犯罪者に比喩してきた」とし、徹底した捜査と犯人検挙を誓った。徹底した真相究明が必要なのは当然だが、政治指導者として分裂した米国を収拾しまとめようとする努力が全く見られない。

 現在、米国は主要政治家や活動家に対する暗殺の試みが公然と続くほど、社会分裂が危険水位を越えた状態だ。政治対立が特定の政策に対する賛否を越えて「誰がこの国の主人なのか」を巡るアイデンティティの対立に広がっているためだ。

 自由貿易のせいで自分たちが大きな被害を受けたと考える白人の低学歴労働階級の力で再選してトランプ大統領は、全世界を相手に無謀な「関税戦争」を行っている。カーク氏の死で米国社会の分裂がさらに極端化すれば、その余波は全世界に及ぶことになる。他国の話には思えない状況だ。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1218269.html韓国語原文入力:2025-09-11 18:37
訳C.M

関連記事