李在明(イ・ジェミョン)大統領と米国のトランプ大統領との初の首脳会談は、韓米の極右勢力の影響力の強まりと連帯の動きが外交にまで影響を及ぼしうる水準に達したという警戒心を呼び起こした。会談直前に「粛清や革命のようにみえる」として韓国に爆弾メッセージを発したトランプは、会談では「誤解」だったと述べてまとめたものの、綿密な対処が必要だ。
トランプ大統領は、首脳会談の2時間半あまり前のSNSへの投稿は「韓国の捜査当局による教会と軍部隊に対する捜索を指したもの」だと記者団に語った。ちょうどカン・フンシク大統領秘書室長が、予定されていたホワイトハウスのスージー・ワイルズ首席補佐官との面談で特検捜査について説明し、それをトランプ大統領に正確に伝えてほしいと要請したところだった。トランプは会談で「うまく解決されると確信している」と引き下がり、会談は順調に進んだ。秘書室長と首席補佐官との緊迫したコミュニケーションが事態収拾に寄与したのだ。
だが安心できないのは、トランプの「粛清・革命」メッセージには極右勢力の影響力が反映されているのではないかという疑問が湧くからだ。このところ、韓米双方で中国嫌悪と不正選挙論で武装した極右が声を強めると共に、結託の動きが続いている。彼らは尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の弾劾反対と李大統領への嫌悪を共有する。米国ではローラ・ルーマー、ゴードン・チャンらトランプ大統領の核心支持層であるMAGA(米国を再び偉大に)系の人物らが李大統領を共産主義者、反米主義者と称するなど、否定的認識をまき散らしている。李大統領の当選直後にホワイトハウスが「中国の干渉と影響力行使に対して懸念し、反対する」という論評を発表したのも、MAGAの痕跡ではないかという観測を呼んでいる。韓国では保守教会の関係者と極右勢力が「トランプが尹錫悦を救う」という荒唐無稽な主張をおこなってもいる。チョン・グァンフン牧師は23日の光化門集会で、「トランプ大統領には(李大統領に)尹錫悦前大統領を釈放するよう命ずることを願う」と述べている。先月の韓国の不正選挙を主張するモース・タン教授の訪韓やソウル大学での講演取り消し問題からも分かるように、両国の極右勢力はネットワークを形成しつつある。
韓米の極右勢力は、ユーチューブなどを通じて虚偽情報と主張を広め続けようとするだろう。これは韓米関係と国益にまで悪影響を及ぼす恐れがある。政府は今回の秘書室長と首席補佐官とのホットラインなど、様々なチャンネルを通じて徹底的に遮断すべきだ。トランプの真夜中のメッセージに、待っていたかのように「李在明政権の政治報復のせい」だと反応した国民の力の議員たちにも、自重を願う。